朝鮮半島の南北分断体制打破=統一は、プロレタリア世界革命の不可欠の課題 鍵を握るのは安倍打倒・日帝打倒だ 革命的共産主義者同盟政治局

週刊『前進』04頁(2939号01面01)(2018/05/14)


朝鮮半島の南北分断体制打破=統一は、プロレタリア世界革命の不可欠の課題
 鍵を握るのは安倍打倒・日帝打倒だ
 革命的共産主義者同盟政治局


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 4月27日、朝鮮半島を南北に分かつ軍事境界線の板門店で南北両政権の首脳が会談を開いた。北のキムジョンウン朝鮮労働党委員長が初めて南側に足を踏み入れ、ムンジェイン韓国大統領と会談した。発表された共同宣言では、1950〜53年の朝鮮戦争での休戦協定から65年となる今年、戦争を終結させて「平和協定」の締結に進むことが宣言された。また「南と北は完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現する」という文言も目標として掲げられた。続いてトランプ米大統領とキムジョンウンとの米朝首脳会談もセットされ、今や朝鮮半島をめぐって、南北両政権のみならず米日や中ロなどの大国がそれぞれの利害をかけて激しく動き出している。世界史を揺るがすこの事態に、革共同は、闘う全朝鮮人民と連帯し、今こそ反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命に向かって突き進むことを宣言する。

韓国の「ろうそく革命」がたぐり寄せた歴史的地平

 まず最初に確認したいことは、戦後73年続いた帝国主義とスターリン主義による朝鮮半島の南北分断体制が、今や根底から揺らぐ情勢に突入したということである。情勢をここまで突き動かした力は何よりも、パククネを打倒し監獄にたたき込んだ韓国労働者人民の1700万「ろうそく革命」のうねりと、その不屈の継続・発展にある。その最先頭に立つ民主労総(全国民主労働組合総連盟)の2015年4月以来の波状的なゼネスト決起にある。このことが、過去にも何度か繰り広げられてきた朝鮮半島をめぐる「対話」「協議」とその破産とは、まったく違う情勢を生んでいる。
 朝鮮半島の南北分断体制とは何か。第2次大戦の終結後、日本帝国主義の植民地支配から解放された朝鮮人民は一斉に「人民共和国」の樹立を宣言して立ち上がった。それは間違いなく革命だった。この朝鮮における革命はしかし、帝国主義とスターリン主義による戦後世界の分割支配体制のもとで圧殺された。北緯38度線を境に南は米軍が、北はソ連軍が占領したのを起点に、朝鮮半島は二つの国家に暴力的に引き裂かれた。その分断は、朝鮮戦争での朝鮮全土の破壊と400〜500万人にも達する膨大な血の犠牲の上に、半永久的に固定化された。
 以来、今日まで続く38度線での軍事的対峙と緊張こそ、戦後一貫して南北朝鮮人民はもとより、東アジアの労働者人民全体をそのもとに縛りつけてきたあらゆる抑圧と支配の根源である。38度線とは反革命の象徴だったのだ。
 民主労総を先頭とする韓国人民は、この南北分断体制の一方の柱であったパククネ政権を実力で打倒し、続いてイミョンバク元大統領をも監獄にぶち込んだ。「積弊清算」を掲げて社会の全面的・根底的な変革を求める闘いが、ついに分断の歴史に終止符を打つことを求める巨大な力となって噴出し始めた。この力が南北の両政権に首脳会談を強制して、「板門店宣言」を出させた原動力である。「南北の民衆が力を合わせれば軍事境界線など一瞬にしてぶっ飛ばせる!」----この声が今やソウルの街にあふれている。
 民主労総は即座に声明を発表し、歴史を動かすのは労働者階級の闘いであることを確認するとともに、南北の統一を最終的になしとげるためには、米帝や日帝をはじめ「朝鮮半島の統一と平和を望まない」全勢力と徹底的に闘いぬくことが不可欠であると宣言した。そして直ちにムンジェイン政権をものりこえる新たな闘いに突入した。
 民主労総と連帯し、ともに戦後革命の敗北をのりこえて進む時がついに来た。朝鮮半島の真の統一は、分断を強いてきた元凶である帝国主義とスターリン主義をともに打倒することによってこそかちとられる。革共同は綱領草案で次のように宣言してきた。
 「日本革命の勝利は、朝鮮半島の南北分断体制打破・革命的統一をめざす朝鮮プロレタリアートの闘いと連帯し、また中国スターリン主義打倒をめざす中国プロレタリアートの闘いと連帯してかちとられる。そしてこの勝利は、帝国主義の総本山であるアメリカ帝国主義打倒へ向けたアメリカ労働者階級の歴史的決起と結合して、今日の大恐慌をプロレタリア世界革命の勝利に転化する突破口となる」(綱領草案第13項)
 この綱領を今こそ実践しぬくために立ち上がろう。

戦争の危機は続いているとどめ刺す闘いに立とう

 南北首脳会談・板門店宣言と、続く米朝首脳会談への動きが示すものは、韓国で始まった革命のうねりが全朝鮮半島に、さらには東アジア全域に波及することへの帝国主義者とスターリン主義者の恐怖である。とりわけ米帝・トランプ政権と北朝鮮・キムジョンウン政権自身の体制的危機の激しい進行である。
 トランプ政権は昨年12月のNSS(国家安保戦略)と本年2月のNPR(核戦略の見直し)で、核兵器を実際に使う方針を公然と打ち出した。「核先制攻撃」をも口にして、キムジョンウン政権の軍事的転覆を狙う「斬首作戦」などの演習を繰り返してきた。キムジョンウン政権はこれに対抗して核兵器とICBM(大陸間弾道ミサイル)の保有・強化に全力を挙げてきた。これらはつい先日のことだ。南北・米朝会談でこの朝鮮戦争・核戦争の危機が去ったわけでは断じてない。現在の「対話・融和」ムードがいつ、何をきっかけとして暗転してもおかしくない。
 朝鮮半島での一触即発の戦争の危機をもたらしていた元凶は、トランプと日帝・安倍による北朝鮮の体制転覆を狙った侵略戦争策動だ。「非核化」へのキムジョンウンの「路線転換」は、このままでは自らの政権がもたないという絶望的な危機に追いつめられた結果である。だが米日帝国主義の側もまた、新自由主義の破産と崩壊のもとでの積もりに積もった矛盾と危機の爆発によって、政権崩壊のふちに立たされている。
 その背後には、リーマン・ショックをも超える世界大恐慌の新たな爆発が不可避となる中で、米英独仏日などの帝国主義列強に中国スターリン主義やロシアを加えた資源・市場・勢力圏の強奪戦がますます激化している情勢がある。それはすでに貿易戦争として火を噴き、東アジア・中東・ウクライナを最大の焦点として、新たな世界戦争(第3次大戦)へと急速に転化し始めている。しかもそれは核戦争の危機でもある。
 すでに各国が核軍拡・核武装を含めた大軍拡競争にのめり込んでいる中で、米朝会談はそれを本質的にはますます促進していくものとなる。実際に、板門店宣言における「核のない朝鮮半島」という文言にもかかわらず、米帝・トランプも韓国・ムンジェインも、「在韓米軍の完全撤退」要求には応じない態度を明確にしている。また北朝鮮は「核完全放棄」に伴い中国の「核の傘」の下に入ることも取り沙汰されているが、それ自身が東アジアにおける新たな軍事的緊張を呼び起こすものだ。
 民主労総の闘いが最先頭で示したように、世界の労働者の団結した行動だけが戦争を止める唯一の力だ。朝鮮戦争を「始まる前に止める」第一歩がかちとられた今こそ、日韓米を軸とする戦争絶対阻止の国際連帯闘争をさらに大きく発展させよう。戦争に突き進む自国政府との絶対非和解の闘いをどこまでも貫こう。帝国主義戦争を内乱に転化した1917年のロシア革命に続く歴史的な闘いへと突き進もう。

改憲にしがみつく安倍の打倒は日本労働者の任務

 この中で最大の危機を深め、韓国人民の闘いの圧殺と朝鮮侵略戦争への衝動をますますつのらせているのが日帝・安倍政権である。
 安倍政権こそ、朝鮮半島での戦争をトランプ以上にあおり、けしかけてきた張本人だ。9条改憲と戦争国家化への道をこじあけるために北朝鮮脅威論をあおり、圧力と制裁の強化を誰よりも声高に叫んできた。Jアラート(全国瞬時警報システム)を使った避難訓練を全国の自治体などに強制し、排外主義を徹底的にあおり組織してきた。原発事故を「終わった」ことにして福島を切り捨てる攻撃も、原発再稼働と日帝自身の核武装を狙う策動だ。
 しかし、今回の南北会談―米朝会談プロセスから日帝は完全にはじき飛ばされた。今や安倍政権の極悪の戦争放火者としての正体が全世界に暴かれ、安倍は国際的にも孤立を深めている。「拉致問題解決」を叫んでの介入策動もまったく相手にされていない。相次ぐ腐敗の暴露で、昨年5月に安倍が叫んだ「2020年改憲プラン」そのものも破産しかかっている。
 だが、だからこそ安倍と日帝ブルジョアジーは、改憲・戦争攻撃の一点に帝国主義としての生き残りのすべてをかけて、なりふり構わず突き進む以外にない。「改憲のできない安倍」「戦争のできない日帝」は倒れる以外にないからだ。
 「安倍を監獄へ!」----安倍政権打倒は今や、日本国内のみならず、アジア人民、世界人民の声となりつつある。韓国・釜山では、日本領事館前の「少女像」横への「徴用工像」の設置をめぐり、日帝による侵略は二度と許さないとする労働者民衆の決起が機動隊との激突となって巻き起こっている。米軍のサード(THAAD=高高度迎撃ミサイルシステム)配備の現地では、サードの全面撤去を求める実力闘争が始まった。韓国労働者人民の闘いは、ブルジョア政権であるムンジェイン政権との激突をもはらんで、さらに前進しようとしているのだ。
 今こそ日本労働者階級の本格的決起をかちとろう! それこそが最大の連帯の道だ。勝利への真の展望を切り開くものだ。
 民主労総を先頭とする南北朝鮮人民との国境を越えた団結を形成し、朝鮮革命と日本革命―東アジア革命を一体の闘いとして、ともに世界革命へ向かっての前進を開始しよう。日帝植民地支配との闘いに始まり、戦後の南北分断という帝国主義とスターリン主義による巨大な反革命とも断固対決し、不屈に闘いぬいてきた朝鮮労働者人民の生きた闘いから学び、それに応える日本の地からの闘いをつくりだそう。在日を含めた全朝鮮人民の「統一」にかける思いに肉薄しよう。それは日本の労働者階級が階級性=国際性を取り戻すこととも一体だ。
 今や日本共産党をはじめとする全野党、体制内改良主義を掲げてきた全勢力が愛国主義・排外主義・国家主義を深め、雪崩を打って改憲・戦争翼賛勢力に転落している。その一方で、JR東労組や連合の分裂・崩壊情勢が示すように、日帝の労働者支配は大崩壊を開始した。膨大な人民が安倍への怒りを煮えたぎらせ、行動を求めて必死に動き出している。
 動労総連合を先頭とする階級的労働運動が一切の任務と課題を引き受け、闘いの最先頭に躍り出て、「改憲・戦争阻止!大行進」運動を全労働者人民の新たな大衆的結集軸として打ち立てよう。
 革共同は、すべての闘う労働者、学生、人民とともに、安倍打倒・改憲阻止の決戦をプロレタリア日本革命への突破口として闘う。ゼネストと国際連帯で戦争を阻止し、韓国・民主労総と団結して「反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命」の勝利に向かって前進しよう!

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