韓国映画 「タクシー運転手」 光州蜂起とろうそく革命の連続性を実感

発行日:

週刊『前進』04頁(2939号03面03)(2018/05/14)


韓国映画
 「タクシー運転手」
 光州蜂起とろうそく革命の連続性を実感


 韓国映画「タクシー運転手~約束は海を越えて」が今、上映されている。1980年5月に光州(クァンジュ)で起きた民衆蜂起とそれに対する戒厳軍の凶暴かつ凄惨(せいさん)な武力弾圧事件を描いている。
 朴正煕(パクチョンヒ)大統領が79年12月に民衆デモの高まりの中、政権の内部対立で殺され、軍部のクーデターで実権を握った全斗煥(チョンドファン)が翌80年5月に再度のクーデターで戒厳体制を敷く。これに対して、光州市では学生を先頭に激しい闘いが爆発、戒厳軍対労働者市民の衝突に至る。軍は光州市を閉鎖し、出入りを禁じ、電話回線も不通とし、情報統制で完全に孤立させた。
 この時東京にいたドイツ人記者がこの事態を報道する使命感に燃えて訪韓し、ソウルから光州行きをめざす。韓国の名優ソンガンホ演じるタクシー運転手が、「光州へ日帰りで10万㌆」という好条件に飛びつき、このドイツ人を自分のタクシーに乗せる。それまで学生のデモに反感をもっていた保守的な運転手が、光州に行って見たものは、目を疑う軍隊の暴虐だった。この運転手の恐怖と義憤、葛藤と決断などの変化していくさまが映画の見どころ。蜂起の現場に放り込まれた(知らずに飛び込んだ)一労働者の体験から、軍と人民との関係が浮かび上がってくる。「外来者の目に映った光州」という描き方なので、観客も主人公と同時に「体験」する。運転手と一緒に事態を知り、驚き、悲しみ、怒り、闘争心をかき立てられる。
 この映画、実話をもとにしながら、ソウルの運転手が光州のタクシー運転手たちと心を通わせ、つながっていくという感動的な物語になっている。手に汗握るアクション映画でもある。
 昨年韓国で1200万人が観賞した大ヒット映画だそうだ。まさに民主労総ゼネストとろうそく革命の過程でつくられ上映された。光州蜂起とろうそく革命の脈々とした連続性を実感させられる。多くの人がこの映画を体験してほしい。
(高田隆志)
このエントリーをはてなブックマークに追加