学生が鉄道ストに連帯 仏全土で大学占拠闘争が爆発

週刊『前進』04頁(2941号03面03)(2018/05/21)


学生が鉄道ストに連帯
 仏全土で大学占拠闘争が爆発

(写真 鉄道労働者と学生は社会保障、教育、文化、公共サービスのために共に闘う!——マクロン改革に反対して労学が共闘【5月 フランス】)

大学進学制度が選別方式に改悪

 フランス階級闘争が激動情勢に突入している。SNCF(フランス国鉄)の労働者がマクロン政権の鉄道改革法案に反対して、4月3日から「5日のうち2日スト」を開始し、6月まで継続しようとしている(本紙2932号に既報)。この闘いに呼応し、学生たちが大学制度の改悪に反対して全国数十都市で大学封鎖・占拠闘争に立ち上がっている。
 一連の闘いは、「68年5月」——パリ・カルチェラタンの学生反乱に呼応してルノー自動車工場を先頭に全国数百万人がゼネストに決起し、ドゴール大統領を一時パリ脱出に追い込んだ闘い——の再現かとフランス全社会を揺るがしている。
 マクロン政権は、昨年末に大学進学制度改悪法案を議会に提出し、2月15日に可決・成立、3月9日の官報で公表した。これまで高校卒業時に行われるバカロレア(大学入学資格試験)に合格した生徒はどの大学にも入れたが、これを改め、選別方式に転換する。近年、一定の学部の志望者が許容人員を超える場合が多く、くじ引きで進学を決めることが慣行となってきた。それを、志望者に成績・能力・進路希望・家庭環境などを記入した願書を提出させ、大学当局が審査し、適性を判断し、入学の可否を決定する方式にする。学生の進路が大学当局の「密室での判断」で決められる大転換だ。絶対に認められないという声が学生から沸騰し、学生大会で次々に大学封鎖・占拠の方針が出され、闘争が全国的に広がった。
 大学の教職員の中からもこのような目的のための願書の審査を受け持つことはできないという拒否の声明が次々に出された。大学進学を目前にした高校生も闘いに合流している。
 闘争を爆発的に拡大させたのが、南仏モンペリエ大学法学部で大講堂を占拠中の学生に対する大学当局の暴力的襲撃であった。3月22〜23日の深夜、学部長を先頭とする一部教職員が覆面した一団とともに侵入し、学生たちを力ずくで排除したのだ。この状況は直ちに全国に報道され、怒りの炎に油を注いだ。各所で開始されていた大学占拠が爆発的に拡大した。

学生と鉄道員が肩並べメーデー

 新たにCNE(全国共闘組織)が結成され、闘争を拡大し、鉄道労働者のストに連帯することを決定、「鉄道民営化反対 大学は学生のもの」というスローガンを掲げてパリ―全国の街頭でデモを行った。
 闘争の爆発に恐怖したマクロン政権は4月12日、パリ第4大学(ソルボンヌ)文学部に機動隊を突入させ、教室を占拠していた学生たちを暴力的に排除した。さらに数多くの大学への機動隊の襲撃が続いた。
 こうした激動の中でメーデーが闘われた。12万人削減攻撃に怒る公務員労働者、13週目のストに突入したエールフランス労働者などの隊列が学生とともに国鉄労働者の大部隊に合流した。パリの中央メーデー会場では四大労組の代表が先頭に立ってきた例年の形が崩れた。鉄道ストをめぐる5月7日の政労交渉を前に体制内労組の不一致が露呈したのだ。
 デモの最中に反ファシズムを掲げるブラックブロックと称する集団の1200人が機動隊と激突、109人が逮捕された。大学占拠への襲撃を続けてきた警察権力の凶暴性が全面化した。
 国鉄ストは開始以来一月半。スト参加の組合員数が減っているとのマスコミ報道もあるが、運転士の参加は依然として75%を超える高率である。現場のスト態勢に揺らぎはない。
 CGT(労働総同盟)やCFDT(民主労組連盟)などは、5月7日の政労交渉でマクロン政権との妥協点を見いだそうとした。しかしSUD(連帯・統一・民主)は、現在の断続的なストではなく、ゼネストあるいは無期限ストをめざして独自に職場を組織する方針を打ち出し、5月3日から連続闘争に入っている。
 学生たちは「闘争は始まったばかりだ」「ストライキを続ける国鉄労働者と連帯しよう」というスローガンを掲げ、闘争を拡大している。
 フランスでも階級的労働運動の復活と革命的指導部の建設が緊急の課題となっている。
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