墨塗り証拠の開示を勧告 耕作権裁判 NAAの偽造を追及

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週刊『前進』04頁(2941号04面02)(2018/05/21)


墨塗り証拠の開示を勧告
 耕作権裁判 NAAの偽造を追及

(写真 決起集会後、反対同盟を先頭に千葉地裁に向けて市内デモ【5月14日 千葉市】)


 5月14日、千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で耕作権裁判が開かれた。
 午前9時、千葉市中央公園に60人が結集し、三里塚反対同盟の決戦本部長である太郎良陽一さんの司会で決起集会を行った。最初に東峰の萩原富夫さんが「NAAは市東さんを〝不法耕作者〟と決めつけ、農地を奪おうとしている。安倍の戦争と農業破壊を許さず闘おう」と訴えた。
 動労千葉の川崎昌浩書記長などの連帯発言を受け、反対同盟を先頭に市内デモに出発。デモは千葉地裁に力強く迫り、その気迫で地裁の所持品検査・検問を弾劾・突破し傍聴に臨んだ。
 10時30分に開廷。弁護団はあらためて、強制収用を意図して空港公団(NAAの前身)が「同意書」「境界確認書」をでっち上げ、市東東市さん(孝雄さんの父)の署名・印鑑を偽造した経緯を暴露・弾劾した。そしてNAAが出した筆跡・印鑑の鑑定、特に「類似分析」のインチキ手法を批判し、偽造であることを一層鋭く突きつけた。さらにNAAが隠す文書の全面開示を強く求めた。
 ここで内田裁判長は原告NAAに向け、墨塗りされた証拠「乙84〜86」について全面的に「任意開示」するよう勧告した。証拠評価として不十分になるから、墨塗りを取って全部開示せよということだ。
 乙84〜86は、2012年の文書提出命令でNAAに開示させた書証で、1970年当時の南台の農地について、小作者の根本、石橋、市東の3軒の耕作状況の調査などが記されている。だがかなりの部分が黒く塗りつぶされたままだった。弁護団は全面開示を強く求めてきたが、裁判長もそれを認めたことになる。
 NAA代理人は当惑と失望の表情を隠せないまま、この勧告に応じるか否か、1カ月以内の回答を約束させられた。次回期日を9月3日として閉廷した。
 千葉県弁護士会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。最初に市東さんがあいさつし、「今日は三里塚らしくない、裁判らしい裁判でした」と一同を笑わせ、5・24請求異議裁判への結集を訴えた。
 葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が法廷でのやりとりを解説し、「開示勧告は粘り強い闘いでかちとった前進」として確認した。
 最後に伊藤さんが、5・24請求異議裁判、7・8天神峰樫の木まつりへの参加を呼びかけ集会を締めた。

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