焦点 対中圧力を強めるトランプ政権 世界戦争の危機を急加速

週刊『前進』02頁(2944号02面04)(2018/05/31)


焦点
 対中圧力を強めるトランプ政権
 世界戦争の危機を急加速


 米帝はシリア空爆に続きイスラエルを使ったパレスチナ人民大虐殺、朝鮮戦争準備など、絶対に許せない戦争策動を強めている。米帝は自国の衰退と危機を戦争で突破しようとあがいている。北朝鮮に全面的屈服を迫る米朝首脳会談は、朝鮮侵略戦争と世界戦争の危機を急加速する。
 トランプ政権は中国に対しても強烈な軍事的・経済的圧力を強めている。昨年12月に打ち出した「国家安全保障戦略」は「強国同士の競争の時代が再来している」として、中国とロシアを米帝主導の世界秩序を脅かす「修正主義勢力」と規定し、両国との対決を鮮明にし、核戦争体制の強化を打ち出した。
●中国が到底のめない要求
 5月3、4日に北京で行われた米中通商協議には「米国に挑戦する中国は打倒すべき」を持論とするナバロ通商製造政策局長らが参加した。この協議を前に米国が突きつけた要求「枠組みの草案」は、すさまじい帝国主義的内容である(5月10日付日経新聞)。
 ▲年間3800億㌦(約41兆円)の対米貿易黒字を2千億㌦減らすこと。▲「国益に重大な影響を与えない部門」への関税を米国による関税と同等もしくはそれ以下に下げること。米国が指定するサービスや農産物などの市場への参入を認めること。▲中国がハイテク分野での世界的優位をめざす国家戦略「中国製造2025」の補助金を即時停止すること(これは計画の中止要求に等しい)。▲「市場をゆがめる補助金」を即刻廃止し、外国資本との合弁事業において技術移転を求める慣行を撤廃すること。▲米国の安全保障上重要なIT産業などへの中国からの投資に米国が制限を課すことに反対しないこと。逆に、中国が外国からの投資に課している制限や外国資本の出資率や持ち株の要件を撤廃すること。▲これらを四半期ごとに検証し中国が内容を守っていないと判断すれば、関税や輸入制限を課す。中国はそうした措置にいかなる対抗措置もとらないこと----。
 このように一方的な、中国が到底のめない要求を突きつけた。すでに米国は、「アメリカの安全を脅かす」として鉄鋼やアルミの輸入に高関税を課し、「知的財産権の侵害」を口実に制裁措置を発動し、また中国の大手IT企業、中興通訊(ZTE)が米国でスパイ行為を行っているとして米国企業との取引を禁止した。これによりZTEは部品が調達できず経営危機に陥っている。
●戦争を革命で打ち破ろう
 アメリカは軍事的な圧力も強めている。3月に米空母カール・ビンソンが南中国海で海上自衛隊と共同訓練を行った。また米海軍は、中国が領有権を主張する南沙(スプラトリー)諸島付近で「航行の自由」作戦を強行している。
 こうした米帝の動きに対抗して、中国は4月中旬に南中国海で「中国史上最大」と称する海上閲兵式を行い、そこで習近平が「新時代の強軍思想を貫徹する」と演説し、軍事力増強に突き進んでいる。
 1930年代のように、各国が延命を求めて保護主義と国益主義をむき出しにして行動する時にこそ、大恐慌はその激烈な破壊力を爆発させる。各国は侵略戦争と戦争的激突に進む以外にない。この中で最も追いつめられ、凶暴化するのは日本帝国主義である。
 韓国・民主労総の闘い、アメリカの教育労働者のスト、フランスの鉄道労働者の長期スト、パレスチナ人民の不屈の抵抗闘争......世界で労働者人民の闘いが燃え上がっている。改憲阻止と国鉄決戦を基軸に階級的労働運動―ゼネストで安倍を打倒し、日本革命―世界革命を切り開こう。これこそ戦争を阻む闘いだ。

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