過労死法案の採決弾劾 連合が法案推進の大裏切り 命奪う「働き方改革」許すな

週刊『前進』04頁(2945号02面01)(2018/06/04)


過労死法案の採決弾劾
 連合が法案推進の大裏切り
 命奪う「働き方改革」許すな


 安倍政権による「働き方改革」法案の採決強行を徹底弾劾する。自民・公明両党と日本維新の会、希望の党が賛成し、通過した。森友疑獄、加計疑獄を居直る安倍は国会会期の延長も検討し、今国会での成立を狙っている。絶対に許せないのが連合本部が官邸を後押しし、法案採決に動かせたことだ。連合は労働者の命を安倍政権と資本に差し出した。だが、労働者人民の中には激しい危機感と怒りが渦巻いている。職場からの総反撃に立って断末魔の危機にある安倍政権打倒へ闘い、参院段階で法案を絶対に廃案に追い込もう。

安倍は遺族との面会拒否

 国家犯罪にまみれ、そのすべてを居直る安倍が、全世界の労働者の血と汗の結晶として長年にわたる闘いでかちとってきた8時間労働制を破壊しようとしている。自らと働く仲間の生死をかけ、労働組合が総反撃に立ち上がる時だ。
 衆院強行採決を狙う安倍に対し、「全国過労死を考える家族の会」は官邸前に座りこんだ。「私たちの地獄の苦しみを、もう誰にも味わわせたくありません」「命より大切なものはありません。命より大事な仕事はありません。高プロ(高度プロフェッショナル制度)には絶対反対します」という訴えは、過労死・過労自殺によって殺された全労働者と家族の無念と悔しさ、今現に過労によって心身を破壊されている全労働者の怒りの声だ。安倍は遺族の求めた面会すら拒否し、強行採決した。
 法案の重大な柱である高プロは、労働時間規制を完全に撤廃し、年104日、4週のうち4日休みがあれば毎日24時間連続で働かせても合法とする。加藤勝信厚生労働相は国会で、高プロが適用された労働者が1日8時間以外に月200時間働かされても「直ちに違法ということではない」と説明した。
 労働者に残業代や深夜・休日の割増賃金は一切支払われず、資本は労働時間管理の責任も免れる。過労死しても「労働時間の上限はない」ので、過労死と扱われることもなくなる。
 厚生労働省の発表しているデータでさえ、2006〜15年度の10年間で、過労死は2839人、過労自殺は1776人、計4615人が過労によって命を奪われている。現実にはその数十倍、数百倍もの過労死・過労自殺と認定すらされない労働者がいる。
 さしあたり年収1075万円以上の専門職に適用されるとするが、すでに15年に高プロを盛り込んだ法案について当時の経団連会長・榊原定征は、年収400万円の労働者への拡大を要求した。当時の厚労相・塩崎恭久は「小さく生んで大きく育てる」と、無制限の拡大を公言した。全労働者の労働時間規制を完全に解体する攻撃だ。

「同一賃金」は総非正規化

 さらに、「残業時間の罰則付き上限規制」は長時間労働を規制するものではまったくない。
 これまで上限がなかった残業時間に制限を設けるとしているが、実際には月100時間残業まで合法化する。これは過労死ラインとされる月80時間を超える上限であり、過労死を一層促進するものだ。改悪されれば、この時間内であれば資本は長時間労働の責任を問われず、過労死認定もされない。労働者の命を奪う攻撃だ。
 「同一労働同一賃金」は、「正規・非正規の待遇差の解消」のペテンのもとに労働者を総非正規職化する攻撃だ。評価制度を使って一人ひとりの労働者をばらばらに分断し、労働組合を解体する攻撃である。
 連合本部の裏切りへの怒りが広がっている。
 17日に連合の神津里季生(りきお)会長が菅義偉官房長官と面会し、法案の早期実現を官邸に要請した。これが引き金となり安倍は衆院強行採決へ動き出した。連合は現在と未来の労働者の命を安倍政権と資本に差し出した。最悪の犯罪行為だ。その先にあるのは改憲勢力化であり、産業報国会化だ。職場から立ち上がり、絶対に阻もう。

決着をつけるのは労働組合の闘いだ

 労働者の雇用と権利への攻撃、労働組合解体は、法の成立を待たず労働現場で次々と始まっている。JR資本は東労組を解体し乗務員制度改悪の強行へ踏み切った。郵政職場での評価制度、自治体での会計年度任用職員制度導入などをめぐり、全産別・全職場で「働き方改革」をめぐる現場攻防が決戦に入っている。安倍と結託する東京都の小池百合子知事は、地方公務員法で禁止されている1年単位の変型労働時間制を、国家戦略特区を使って東京都の職員に導入することを17年の特区会議で提案した。都労連解体を狙う攻撃だ。
 決着をつけるのは職場での労働組合の闘いだ。韓国、フランスなど全世界で労働法制改悪阻止でゼネストと政権を揺るがす大決起が巻き起こっている。日本で連合本部を倒す労働組合の決起をつくり出す勝負の時だ。新たな労働委員会闘争を開始した国鉄1047名解雇撤回闘争を基軸に、闘う労働組合をよみがえらせよう。6月国会闘争に結集し、「働き方改革」法案を絶対に葬り去り、7・1国鉄闘争全国運動集会に攻め上ろう。
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