入管は収容・再収容するな 労組先頭に6・20難民デー行動へ

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週刊『前進』04頁(2945号04面02)(2018/06/04)


入管は収容・再収容するな
 労組先頭に6・20難民デー行動へ

(写真 東日本入国管理センター)

 改憲・戦争と労働法制改悪を推し進める安倍政権は、6月にまとめる「骨太の方針」に「最長5年間の新たな就労資格を設ける方針」を明記し、「人手不足に悩む建設・農業などの5分野で50万人超」の外国人労働者の導入をもくろんでいる。その一方、東京オリンピックを前に難民申請者を含む法外滞在の外国人を一掃しようとしている。人権無視の入管法—入管体制の象徴とも言える入管収容所の実態を明らかにしたい。今、入管収容所で何が起きているのか。

誰が被収容者を殺しているのか

 4月13日、茨城県牛久市にある東日本入国管理センター(牛久入管)でインド人男性Dさん(32)が自殺した。昨年4月、成田空港で乗り継ぐ際にインドの反政府政党の党員であることを理由に難民申請を行い、1カ月の仮滞在となった。しかし、難民申請が却下され、7月13日に東京入管に収容。退去強制令書が発付され、12月21日に牛久入管に移管された。そして再度の難民申請が却下されことを知った翌日、シャワー室で命を絶った。
 彼と同じブロックだった被収容者たちは、亡くなったDさんに花を手向けること、長期収容をやめることなどの要求を出し、始めた抗議ハンストは120人にも広がった。
 しかし、「牛久入管収容所問題を考える会」によると、5月中旬、収容中の日系ブラジル人男性が2回、さらにカメルーン人男性とトルコ国籍のクルド人男性が、タオルで首をつったり、洗剤を飲んだりして自殺を図った。3人とも病院に搬送され、命は助かったが、監視カメラ付の一人部屋に入れられた。この部屋で日系ブラジル人は、再度自殺を図り、精神病院に措置入院となった。
 日系ブラジル人(42)は在日20年、定住ビザで家族と暮らしていたが、服役。刑期終了と同時に退去強制令書が発付され牛久へ、収容期間は2年9カ月に及ぶ。このような収容は二重の刑罰だ。被収容者は、強制送還の恐怖に加え、先の見えない収容に例外なく心身をむしばまれている。

「仕事をさせろ」「再収容するな」

 粘り強く闘って、仮放免が許可になり外に出られても、仮放免者は仕事をしてはいけない、他の都道府県への移動は事前申請・許可を取らなければならないなど、厳しい制限を課される。特にこの仮放免遵守事項に違反したとして再収容される人が増えている。
 すでに2年半以上の長期収容になっているパキスタン人が再収容された理由は、同じアパートの2階から3階に移ったことを届け出なかっただけだ。
 現在、牛久には約350人、東京には約700人が収容されている(5月17日現在、全国で1440人が収容されている)。うち4割近くが6カ月を超える長期収容となっており、2年、3年を超える超長期収容も激増している。

東京五輪を前に吹き荒れる弾圧

 改憲・戦争に向けて国内治安管理強化の一環として法務省は、東京五輪を前に「社会に不安を与える外国人を縮減することは喫緊の課題」と入国管理局長名で全国に通達(16年4月7日付)し、法外滞在外国人の摘発・国外追放に躍起となっている。難民申請者・仮放免者も追放の対象だ。
 さらに今年1月12日には、「難民認定制度の運用の更なる見直し」を打ち出し、15日には運用を開始した。昨年1万9628人と過去最高となった難民申請者に憎悪を抱き、その大半が「就労目的の偽装難民」だと断じて弾圧に打って出たのだ。
 新自由主義攻撃がもたらした資源略奪の侵略戦争の結果、世界で7千万人とも言われる難民・避難民が生み出され、大問題となっている中、昨年、日本が難民として受け入れたのはたった20人! 認定率は0・1%! これが安倍政権の戦争政治だ。

国際連帯と階級的団結の拡大を

 4月の入管集会で「外登法・入管法と民族差別を撃つ全国実行委員会」は、難民・難民申請者、外国人技能実習生、留学生を含む外国人労働者問題に各地区で労働組合の課題として取り組み、国際連帯と階級的団結を拡大しようと訴えた。
 そして今年も、牛久と東京で6・20世界難民デー行動を闘い、さらに東京入管を包囲するキャンドルデモを呼びかけた。
 これに応え、東京労組交流センターを軸に合同労組、ユニオンの旗を掲げた労働者の隊列で東京入管を包囲し、被収容者を激励し、「収容・再収容やめろ!」「家族のもとに返せ!」「仕事をさせろ!」と抗議の声を上げよう。
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