過労死遺族 怒りの訴え 6月10日国会前 御用組合ではだめだ!絶対に高プロの撤廃を

週刊『前進』04頁(2949号02面02)(2018/06/18)


過労死遺族 怒りの訴え
 6月10日国会前
 御用組合ではだめだ!絶対に高プロの撤廃を


 6・10安倍政権退陣・国会前大行動におけるNHKで過労死した佐戸未和さんの母・佐戸恵美子さんの発言を紹介します。(編集局)

 NHKで報道記者をしておりました佐戸未和の母、佐戸恵美子でございます。未和の過労死の事実を世の中にきちんと伝えたい。いてもたってもいられず駆けつけてきました。
 ニュースで「以上選挙報道でした」と言う未和が、脳裏に焼きついています。なぜ最愛の娘を守ることができなかったのか、深い後悔の念にさいなまれ、自分を責め、今もなお喪失感にもがき苦しんでいます。
 未和の死はあまりに突然でした。異常な猛暑日が続く炎天下、2カ月にわたる都議選と参院選と立て続けに選挙があり、未和は記者として駆け回りましたが、選挙が終わった直後に自宅でひっそりと亡くなり、婚約者によって発見されました。
 選挙取材は本来の業務に加え、新たに発生する待ったなしの集中業務です。候補者や政党の取材、演説への同行、出口調査や街頭調査、夜中の票読み会議や形勢展望会議、選挙情勢についてのテレビ報道、テレビ出演、当確判定業務に奔走し、土曜も日曜もなく連日深夜まで働いており、まともに睡眠をとっていませんでした。夜中の2時まで働き、翌日は6時に出社。こういう日が続きました。生身の体は壊れます。疲労こんぱいしていようが、体調が悪かろうが、途中で戦線離脱できるはずもなく、体にむちうちながら選挙が終わるまで、突っ張るしかなかったんです。どこに裁量がありますか!
 未和の残業は、亡くなる直前、209・9時間。その前の月は188・9時間でした。後で聞いた話や未和のノートから、同じ職場の男性ベテラン記者に比べて、はるかに仕事量は多かったと聞きました。
 死後、上司から「記者は時間管理ではなく、裁量労働で個人事業主のようなもの」と何度も言われました。労働時間を自己管理できずに死んだ未和が悪かった、と言われているようでした。制度を乱用した労務管理の怠慢による明らかな人災でした。会社は未和の過労死について責任を取ることなく、事実を4年間、伏せてきました。今回公表するにあたり、私たちと話し合う中で、過労死は労災認定されたが会社は法律違反していない、という考えでした。
 組合もありましたが、何も動いてません! 何のための組合か、誰のための組合か、今でもわかりません。御用組合ではだめだ!
 未和は、一橋大学に在学中から報道の世界に興味を持ち、夜討ち朝駆けのハードな生活にも弱音を吐かず、報道記者という仕事に誇りと愛情を持っていました。7月末には県庁キャップとして勤務し、9月には結婚と、生きる気まんまんでした。しかし体は正直で、おりのように疲労がたまっていたのでしょう。
 ただただ生きていてほしかったです。娘はかけがえのない私の宝、生きる希望、夢、そして支えでした。私たちと同じ苦しみを背負う人が今後2度とあらわれないよう、高プロという過労死促進法を絶対に絶対に通さないよう、過労で命を落とさざるをえなかった娘、息子たちが命がけで母親の背中を押しています。なんとしてでも高プロ、撤廃です。みなさんともに闘いましょう。
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