SKさくら交通労組 職場の怒り背景にスト 正規・非正規一体で

週刊『前進』04頁(2951号03面03)(2018/06/25)


SKさくら交通労組
 職場の怒り背景にスト
 正規・非正規一体で

(写真 正規職・非正規職の組合員が固く団結してストライキ集会をかちとった【6月5日 札幌市】)

 北海道札幌市のタクシー運転手の労働組合・自交総連SKさくら交通労働組合は6月5日、本採用(正社員)3人の24時間ストに立ち上がりました。昨年12月20日に続く24時間ストは、前回を上回る大きな団結をつくり出しました。
 ことの発端は、6月の夏季賞与をめぐり、4月末に会社が「嘱託社員(1年雇用の非正規社員)の夏季賞与のランクを変更する」と言い出したことにあります。会社全体としても組合としても正社員は少数派で、嘱託社員が多数派(7割)を形成しています。組合はこの問題に総力で取り組むことにしました。
 嘱託社員の賞与は本人の半年間の売上総額に対して7段階のランクを設定して支給されます。このランクのハードルをそれぞれ10%引き上げると言ってきたのです。実質的な賃下げであり、嘱託社員は誰もが怒りと疑問に包まれました。話し合いで会社は「これは団交ではない。嘱託の賞与は会社が一方的に決めることができる。あくまで紳士的なお知らせである」「個々の売り上げは伸びているので、ランクを変更しても前年対比でほぼ賃下げにはなっていない」などと言いました。組合は「支給直前に会社が一方的に決めて、交渉もしないなど到底納得できない」と抗議しましたが、会社は姿勢を変えませんでした。
 組合の全体会議で議論した結果、①本採用3人が24時間ストライキを構えて次回団交を行う、②ストの場合、スト参加者を支援するため嘱託社員は有休をとれる人はとって、極力全員がスト突入集会に参加する、③全社員に呼び掛けて「会社決定の撤回」を求める署名を集めて提出する、④労働委員会に申し立てる、という方針を決定しました。
 職場全体にこのことを知らせるビラまきを行い、さらに今回初めての試みとなる署名活動に取り組みました。私たちも驚くほどの大きな共感が寄せられ、わずか2日間で全社員175人の7割を超える125人から署名が集まりました。職場全体の怒りを背景に5月31日の団交に臨みました。
 団交で会社は「嘱託の賞与は会社が一方的に決定できる」と繰り返し、「皆さんは数字のための争いなんでしょう。一円玉、百円玉の世界なんでしょう」という態度でしたが、組合が署名を提出すると態度が変わりました。署名用紙をめくる目が泳いでいるのが分かりました。明らかにショックを受けていました。全自交労組(幹部は会社の言いなり)も署名しています。組合が「7割以上が撤回を求めている、この125人がストライキをやってもいいのか?」と会社の姿勢をただすと、会社側は「125人の署名は大きなこと、真摯(しんし)に受け止めます」と言わざるを得ませんでした。
 後日会社から「文書で説明したい」と回答がありましたが、組合は大きな勝利感の中でストライキ突入を宣言し、ビラで全社員に知らせました。ビラまきの過程で「嘱託のために本採用がストをやってくれるのか?」と驚きの声が上がり、「組合に入るよ」と組織拡大が実現されました。
 当日のスト突入集会には、本採用3人に加えて嘱託社員7人が参加し、うち5人が有給休暇を取って集会に参加。当該の嘱託社員が司会を担い、嘱託社員全員が発言しました。まさに正規と非正規が一体となってストライキとスト集会をかちとり、感動的で歴史的な闘いとなりました。
 会社はスト当日に、「部外者立ち入り禁止」の立て看板を急きょ設置し、私服刑事3人が弾圧を狙ってきました。さらに、スト4日後に委員長に対して「スト集会に参加した者には有休を認めない」「これは動労千葉の津田沼事件の最高裁判決でも出されている」などと言ってきました。
 組合では議論を重ね、①どのような理由で有休をとろうが労働者の自由だ、②スト参加者を支援するための有休取得は正義である、③今回のストライキに対するあらゆる会社の敵対行為は絶対に許さない、という3点を確認して闘っています。本当に貴重な経験を積み重ね、個々の確信を深め、確実に団結を強化し拡大しました。
 7・1国鉄闘争全国集会に向けて、全国の皆さんと共に闘っていきます。
(自交総連SKさくら交通労働組合委員長・河野晃興)
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