JR東が新経営計画 乗務員制度解体が最大の焦点

週刊『前進』04頁(2959号02面04)(2018/07/23)


JR東が新経営計画
 乗務員制度解体が最大の焦点

鉄道事業に見切りつける意思あらわ

 JR東日本は乗務員制度の解体と、鉄道の全業務を分社化し、そこへの転籍を労働者に強いる第3の分割・民営化攻撃に踏み込んでいる。JR東日本は7月3日、その指針を「グループ経営ビジョン『変革2027』」と題する経営計画として打ち出した。
 これは2012年10月に策定された「グループ経営構想Ⅴ」に代わるもので、JR東日本はそれを「2027年頃までの経営環境の変化を見据えた」「グループ一体の新たな成長戦略」と位置づけている。
 この文書の冒頭には、「『鉄道を起点としたサービスの提供』から『ヒトを起点とした価値・サービスの創造』に転換していかなければなりません」と書かれている。駅ナカさらには駅外での商業や、スイカによる電子マネー事業で生き延びるということだ。新経営計画は、これらの事業に「経営資源を重点的に振り向け、新たな『成長エンジン』としていく」と言う。鉄道事業は限りなく軽視されている。
 「グループ経営構想Ⅴ」の策定後、JR東日本は2014年2月の川崎駅構内での回送電車と保守作業車との衝突事故、15年4月の山手線の電柱倒壊事故、16年3月の高崎線・籠原駅の炎上事故などの重大事故を立て続けに起こした。そのたびにJRは、「究極の安全」「安全・安定輸送のレベルアップ」を叫んだ。
 JRが事故対策として実際に行ったことは、外注化の拡大であり、IT依存を深めての検査・修繕業務の縮小であり、安全をより一層、破壊するものでしかなかった。だが、それでもこれまでは、安全運行が鉄道会社としてのJRの存立基盤だという建前は掲げられていた。
 しかし、深沢祐二社長のもとで策定された今回の経営計画は、これまでのものとはまったく異なる。鉄道事業について新計画は、人口減少の結果、「鉄道による移動ニーズが縮小し、固定費割合が大きい鉄道事業においては、急激に利益が圧迫されるリスクが高い」と言う。鉄道事業は重荷でしかないということだ。
 鉄道の安全確保について、新計画はほとんど触れない。鉄道の安全は、駅ナカや駅外での商業や電子マネー事業を展開する上で、乗客や地域住民から「信頼」を得るためのものとしてのみ位置づけられている。金もうけがすべてなのだ。毎日数百万人の乗客の命を預かり、鉄道を運行しているという感覚は、JR幹部にはまったくない。

自動運転化を明記した初の経営計画

 新経営計画は「ドライバレス運転の実現」をあからさまに掲げた。列車の自動運転化が経営計画に明記されたのは、これが始めてだ。乗務員制度解体に向けた提案の中で、JRは運転士や車掌は将来は単なる「輸送スタッフ」になると言い放った。それが資本の公式な方針にされたのだ。
 今回の計画は、乗務員制度の解体を当面最大の目標として押し通すために出された。「JR東日本グループの全社員を主役に働きがいを創出する」と称して、「勤務制度改正、職場再編、現業部門・企画部門間の業務遂行体制の見直し、ダイバーシティの推進」などを打ち出している。「勤務制度改正」の直接の標的は乗務員であり、「現業部門・企画部門間の業務遂行体制の見直し」とは、短時間行路を作って支社課員を片手間で乗務させることを意味する。「ダイバーシティの推進」とは、「女性活躍」などを名目に、女性労働者からさらに労働を引き出すために資本が使う用語だ。JRは、育児・介護を抱える労働者のためと称して乗務員制度の解体を打ち出したが、それも「ダイバーシティの推進」の一環とされている。
 新計画はまた、車両の機器や線路の状態をIT装置でモニタリングすることで「設備・車両の適切な維持管理と戦略的な更新・強化」が可能になるという。車両の検査・修繕や線路の保守・点検を極限的に削減する大合理化は、鉄道の安全をさらに破壊する。

8月を山場にストを構える動労千葉

 乗務員制度解体の攻撃に対し、動労千葉は8月と、来年3月のダイヤ改定時に山場を設定し、数波のストで反撃する方針を確立した。国鉄分割・民営化反対の2波のストライキの時を上回る決意で、動労千葉は決戦に立とうとしている。
 新計画を策定した深沢社長は、国鉄分割・民営化に際して動労千葉争議団らの名前をJR採用候補者名簿から削り落とした張本人でもある。その深沢を直撃する国鉄1047名解雇撤回の労働委員会闘争も、7月31日から始まる。
 東労組を解体した上、すべての労組の絶滅を狙うJRは、「労働組合のない社会」をつくろうとたくらむ安倍の攻撃の最先兵だ。これは改憲攻撃そのものだ。だから動労千葉は総力で立ち向かおうとしている。これに応え、8月から秋へ、改憲阻止!大行進の運動を職場・地域で組織しよう。
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