2018年夏季アピール 改憲阻止・日帝打倒! 戦争・核武装へ突き進む安倍政権を国際連帯とゼネストで打ち倒そう 青年・学生が歴史を変える先頭に

週刊『前進』04頁(2961号01面01)(2018/07/30)


2018年夏季アピール
 改憲阻止・日帝打倒!
 戦争・核武装へ突き進む安倍政権を国際連帯とゼネストで打ち倒そう
 青年・学生が歴史を変える先頭に


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(写真 3月25日、東京・日比谷野外音楽堂で「9条改憲発議絶対反対!朝鮮戦争とめよう」を掲げて集会をかちとり、改憲・戦争阻止!大行進運動を発足させた。集会後のデモ)

(写真 6月3日、四国地方更生保護委員会のある香川県高松市に全国から1千人が集まり、無実の星野文昭さんの解放を求めて集会とパレードを行った)

はじめに

 第2次世界大戦での敗北から73年。日本帝国主義・安倍政権はこの秋、いよいよ憲法改悪の国会発議に踏み込んでくる。最大の狙いは9条を改悪し、再び「戦争をする国」をつくることだ。「戦後的なあり方」を粉砕し、大資本家が労働者人民を無制限に搾取し、支配し、殺す社会をつくることだ。
 中核派は「改憲=戦争国家化阻止・日帝打倒!」を掲げ、2018〜19年の改憲阻止決戦に総決起する。労働者・学生・市民のみなさん、ともに立ち上がろう! 安倍政権を倒し、改憲を止めよう。戦争でしか生きられない資本主義社会をひっくり返し、人間が人間らしく生きられる社会をつくろう。
 西日本豪雨大災害ではっきりしたのは、政府は人民の命を守らないということだ。地方切り捨て、公務員削減で防災・避難もままならず労働者民衆が逃げ惑っているとき、安倍は酒宴に興じて見殺しにした。こんな「命よりカネ」の連中が過去最大の防衛費でミサイルなどを買いあさり、「自衛」を掲げて戦争をやる――こんなふざけたことがあるか。こんなやつらを延命させていいのか。
 安倍政権は「働き方改革」関連法を成立させた。これは「もう一つの改憲」攻撃だ。8時間労働制を解体して長時間労働地獄に追い込み、賃下げ・非正規職を強制して労働組合をつぶす。団結が解体されてバラバラになった時、労働者は職場でモノのように扱われ、戦争に駆りだされていく。
 改憲とは「国のあり方」を変えることだ。改憲を許して資本家独裁の戦争国家をつくるのか。資本主義を打ち倒す革命で労働者が主人の社会をつくるのか。歴史選択をかけた闘いだ。中核派は「憲法を擁護する」立場ではなく「革命を実践する」立場で改憲阻止闘争を闘う。全人民の怒りとつながる革命的な労働者政党をめざして闘う。動労千葉(国鉄千葉動力車労働組合)などが呼びかける「改憲・戦争阻止!大行進」運動を発展させよう。

Ⅰ「世界戦争か、世界革命か」の歴史選択が問われる時がきた

⑴世界は大激動に突入した

 安倍政権はなぜ9条改憲を狙うのか? 世界史が「戦争か革命か」の時代に入っているからだ。アメリカ帝国主義や日本帝国主義、欧州帝国主義、そしてロシア・中国など大国を巻き込んで、市場・資源・勢力圏をめぐる戦争的手段も含む争闘戦が繰り広げられている。かつての第1次大戦(1914〜18年)、第2次大戦(39〜45年)と同じく、労働者民衆を塗炭の苦しみに追いやる第3次世界大戦が現実味を帯びてきている。とりわけ、戦後世界の「覇者」であった米帝は、トランプ政権が「アメリカ第一」を掲げ、米帝自らがつくった第2次大戦後の世界秩序を暴力的に打ち壊している。「核先制攻撃戦略」を打ち出し、世界市場の再分割戦に突き進んでいる。
 1980年代以来の新自由主義政策は破産し、資本主義・帝国主義は世界戦争を引き起こすことでしか生きていけなくなった。労働者の力で資本主義を打倒し、革命をやる以外に戦争を止める道はない。このことを4月27日の南北朝鮮首脳会談―6月12日の米朝首脳会談、そして米中貿易戦争=全面激突からはっきりさせたい。

朝鮮情勢の新段階

 4・27南北朝鮮首脳会談―6・12米朝首脳会談は世界史的事件となった。日帝の敗北と植民地支配からの解放、米ソ両軍の分割支配と朝鮮戦争、帝国主義とスターリン主義による「二つの国家」の建設----73年にわたって朝鮮人民の「統一と平和」の願いを抑えつけてきた南北分断体制を打破する時代がきた。
 これは一つに、パククネを打倒した韓国労働者人民1700万人の「ろうそく革命」、その先頭で波状的ゼネラルストライキに決起した民主労総(全国民主労働組合総連盟)、そして南北朝鮮人民の闘いがたぐりよせたものだ。それは「積弊清算」を掲げて社会の根底的変革を求める闘いとして噴出している。これが朝鮮半島情勢を最も深いところで突き動かしている。
 二つに、朝鮮半島の南北分断体制とは何だったか? それは、第2次大戦後に解放された朝鮮人民が樹立した「朝鮮人民共和国」を帝国主義とスターリン主義が圧殺してつくったものだ。これは、朝鮮戦争での全土の破壊と膨大な血の犠牲の上に固定化されてきた。北緯38度線での軍事的対峙こそ、朝鮮・東アジアの労働者人民全体を縛りつけてきた抑圧・支配の根源だった。
 三つに、4・27南北会談から6・12米朝会談と進んだ過程は、「平和と統一」を求める朝鮮人民の思いに真に応えるものではなく、朝鮮侵略戦争と核戦争の危機が遠のいたわけではない。それは、南北分断体制を下から打ち破って進む労働者民衆の闘いの圧殺を狙っている。
 朝鮮半島危機の元凶はトランプと安倍による侵略戦争策動だ。米帝は没落を深め、世界を保護主義・貿易戦争に巻き込んでいる。北朝鮮キムジョンウン政権は核・ミサイル保有で帝国主義者と取引して延命しようとしている。
 いずれも朝鮮半島での革命を抑えつけようとしている。一時的「合意」が成立しても、早晩より大きな破綻・対決に転じ、トランプが対北朝鮮先制攻撃にうって出ることもありうる。
 四つに、戦争に反対する労働者の国際的団結が必要だ。とりわけ日韓米の国際連帯であり、戦争に突き進む自国政府との非和解の闘いだ。国境をこえた労働者の闘いが戦争を止める。朝鮮半島問題の解決は唯一、帝国主義とスターリン主義の打倒、プロレタリア世界革命の勝利の中にある。
 「日本革命の勝利は、朝鮮半島の南北分断体制打破・革命的統一をめざす朝鮮プロレタリアートの闘いと連帯し、また中国スターリン主義打倒をめざす中国プロレタリアートの闘いと連帯してかちとられる。そしてこの勝利は、帝国主義の総本山であるアメリカ帝国主義の打倒へ向けたアメリカ労働者階級の歴史的決起と結合して、今日の大恐慌をプロレタリア世界革命の勝利に転化する突破口となる」(革共同綱領草案第13項)----これを実践する時代がついに来たのである。

⑵貿易戦争から世界戦争へ

 世界的な戦争情勢を規定するのは、07年「パリバ・ショック」―08年「リーマン・ショック」以来の大恐慌だ。資本主義・帝国主義の経済的危機が戦争を求める反動的エネルギーとして噴出している。
 08年以降の世界大恐慌は、膨大に蓄積された過剰資本・過剰生産力の矛盾が爆発したものだ。これに対し、米・欧・中・日などは「恐慌対策」として天文学的な財政を投入し、超低金利政策の継続で経済をバブル的に浮揚させようとした。しかし、それは一時しのぎにすぎなかった。今、このバブルの崩壊が目前に迫り、新たな金融恐慌・大恐慌の爆発が不可避となっている。
 すでに各国は競い合って保護主義・国益主義を展開している。世界経済はブロック化され、生き残りをかけた争闘戦は異次元の激しさとなる。最後的破局が戦争だ。「資本主義の基礎の上では、一方における生産力の発展および資本の蓄積と、他方における植民地および金融資本の『勢力範囲』の分割との間の不均衡を除去するのに、戦争以外にどのような手段があるだろうか?」(レーニン『帝国主義論』)。この中で大恐慌は真に激烈に爆発していく。

米中貿易戦争の爆発

 トランプが争闘戦の最大標的に据えるのが中国だ。米帝は中国による「知的財産侵害」への制裁として、7月6日に340億㌦分の中国製品に関税を上乗せした。さらに第2弾で、7月下旬に160億㌦分の追加制裁=関税上乗せを発動し、加えて計2千億㌦分の追加関税措置も発表している。制裁総額は2500億㌦となり、米の中国からの輸入額の約半分にあたる。これは事実上の禁輸措置だ。
 米が名目GDP(国内総生産)世界1位、軍事費世界1位、中国がいずれも同2位であることからすれば、世界戦争並みの危機をはらんでいる。
 ことは米中貿易だけではない。トランプはすでに今年3月から鉄鋼とアルミニウムの関税を引き上げており、EU(欧州連合)やカナダ、メキシコ、トルコなども報復関税を発動している。これを受けてトランプは、日本とEUの基幹産業である自動車関税を引き上げることを狙っている。日本の対米輸出に占める自動車の割合は約30%、EUでは約10%。もしこれが発動されれば、特に日帝には壊滅的打撃となる。
 1929年世界大恐慌は第2次世界大戦を引き起こした。米帝は30年6月に「スムート・ホーリー法」を成立させ、2万品目の輸入関税を平均60%まで引き上げた。31〜32年に各国は一斉に関税を引き上げ、貿易戦争=通貨戦争=ブロック経済化が本格化した。世界貿易は急収縮し、29年1月に30億㌦だった世界貿易額は33年1月には9億㌦台となった。米の貿易額も29〜33年の間に4分の1となった。「ブロック化と貿易戦争は戦争に直結する」----この総括から戦後にGATT(関税及び貿易に関する一般協定)―WTO(世界貿易機関)がつくられたが、トランプはその体制を自らぶち壊している。
 米欧激突も本格化している。7月11〜12日のNATO(北大西洋条約機構)首脳会議で安全保障をめぐる米欧同盟には亀裂が入った。帝国主義間・大国間の分裂・激突は一線を越え始めている。

戦争放火者トランプ

 トランプは戦争放火者だ。昨年12月に米政府が発表した「国家安全保障戦略」(NSS)は「米国第一」を安保政策の柱に据えると宣言し、軍事力を前面に押し出した対外政策を米一国の利益のために展開するとした。「強国同士の競争の時代が再び戻ってきた」という時代認識を基調に、中国とロシアを「競争勢力」「(米基軸の世界秩序に対する)修正主義国家」と名指しし、「力による平和」を掲げた。さらに今年2月に「核戦略見直し」(NPR)を発表し、核戦力の優位性を確保するために「核兵器の役割を拡大する」「核攻撃の抑止や反撃に限定せず、通常兵器で攻撃を受けた場合も核で反撃する」と、核兵器使用基準を大幅緩和した。
 さらに北朝鮮の核・ミサイル施設の攻撃を想定し、「弾道ミサイルに搭載する低爆発力の小型核兵器の開発・配備」を進めるとした。
 トランプは核戦争=第3次世界大戦も辞さない構えで争闘戦を推し進めている。現在の貿易戦争は、必ず東アジア・中東・ウクライナを焦点とした新たな世界戦争に転化する。

「非核化」は破産する

 トランプの対北朝鮮政策は、中国との全面対決下で北朝鮮を中国の影響力から切り離し、「非核化」「体制保証」の名目で朝鮮半島を軍事制圧しようとするものだ。
 7月6〜7日に米国務長官ポンペオが訪朝して非核化策を討議したが、北朝鮮は米帝の突きつける核・ミサイル計画申告や検証要求に反発している。北朝鮮は絶対に非核化できない。すでに、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)関連施設の増築、ミサイル「北極星2」の移動式発射台の増産、寧辺(ニョンビョン)の核施設での黒鉛減速炉用の新たなポンプ施設建設など、米系マスコミがいくつもリークしている。
 トランプは対中国政策で必要ならば、北朝鮮の「裏切り」をあげつらって先制攻撃を行うこともありうる。米帝の利益追求のため、東アジアで新たな大戦争を開始する現実性はある。いかなる「平和」演出も帝国主義的連合も、「資本主義的現実の中では......不可避的に戦争と戦争との間の『息ぬき』にすぎない」(レーニン『帝国主義論』)。朝鮮―中国―東アジアをめぐる非和解的対立構造は発展している。

⑶存亡の危機深める日帝

 日帝・安倍は朝鮮半島情勢をめぐって蚊帳の外に置かれ、国際争闘戦でも劣勢になり危機を深めている。戦争のできない、核を持たない国家がいかに無力かを突きつけられ、戦争=核武装衝動を募らせている。
 それは一方での9条改憲であり、他方での朝鮮侵略戦争発動に向けての日米安保同盟の軍事的飛躍だ。日帝は日米安保でトランプの戦争戦略とますます一体化するしかないが、米帝との経済的対抗性をもって独自利益を追求せざるをえない矛盾の中にある。
 戦後の日帝は日米安保同盟政策のもとで、沖縄をはじめとする日本全土を朝鮮戦争やベトナム戦争、イラク・中東での戦争のための米軍の最前線出撃基地として提供し、米帝による全世界的な軍事支配に全面的に依拠して経済発展を遂げることを基本政策としてきた。それはまた憲法9条の制約を突破する唯一の道でもあった。しかし今、日米間の利害対立が深まる中、日帝が自らの利害を真に貫くためには軍事大国化し、敵基地攻撃能力を保有し、核武装する以外になくなった。日米安保だけでは情勢に対応できなくなっている。9条改憲はその絶望的あがきだ。
 安倍政権は9条改憲にすべてをかけた政権だ。第1次政権(06〜07年)と第2次政権(12年〜)で安倍がやったことは何か? 教育基本法改悪(06年)、改憲国民投票法の制定(07年)、特定秘密保護法の制定(13年)、「集団的自衛権行使」容認(14年)、安保・戦争法制定(15年)、新共謀罪の制定(17年)、過去最大の大軍拡、自衛隊の敵基地攻撃能力の確立、際限なき国債発行と日銀引き受け(戦時型予算化)、戦後労働法制・労働基本権の解体、労働運動つぶしと産業報国会化、国家主義・排外主義の扇動......。すべては改憲をやり、「戦争のできる国」をつくるためだ。改憲・戦争のために天皇制も強化しようとする(19年の天皇退位―新天皇即位)。20年東京オリンピックも使って国家総動員体制をつくろうとしている。
 森友・加計問題こそ戦争国家化の中で生み出された腐敗であり、権力犯罪だ。しかし、見苦しい言い逃れに象徴されるように安倍政権は万全ではなく、労働者民衆の怒りに包囲されて動揺している。「働き方改革」関連法の成立に、過労死遺族を先頭に憤激は高まっている。安倍は必ず打倒できる。

⑷国際連帯闘争の大前進

 帝国主義の戦争・貧困・圧制に対して人民は必ず立ち上がる。
 アメリカでは「赤い州の反乱」が巻き起こっている。今年2月、ウェストバージニア州で全州55郡の全公立学校を閉鎖した教育労働者のストライキが打ち抜かれた。低賃金、健康保険制度改悪、教育費削減に抗議するものだ。このうねりはケンタッキー、オクラホマ、アリゾナ、コロラド、ノースカロライナなど各州に燎原(りょうげん)の火のように広がった。このほとんどが16年の大統領選でトランプが勝利した「赤い州」であり、トランプは足もとから揺さぶられている。
 韓国では、「未完の革命」=「ろうそく革命」を貫徹する闘いが続いている。ろうそく革命で打倒されたパククネに代わって登場したムンジェイン政権は、資本家の利害の体現者というその本質をむきだしにし始めている。
 ムン政権は5月に最低賃金制度を改悪し、7月1日からは改悪勤労基準法を施行した。6月30日、民主労総はソウル・光化門広場を8万人で埋め尽くし、非正規職撤廃集会を行った。7月には全国建設労組3万人と全国金属労組12万人が全面ストに突入した。この労働者階級の決起が朝鮮半島情勢を根源で規定している。
 日米韓の国際的団結を固め、日本からも改憲・戦争阻止、安倍政権打倒の闘いを巻き起こそう。

Ⅱ安倍の9条改憲攻撃打ち砕き、労働者権力樹立めざし闘おう

⑴安倍の改憲プラン粉砕を

 今秋臨時国会での改憲案発議を粉砕しよう。労働者・学生の数十万人の大隊列が国会を包囲するような政治的高揚をつくり出そう。全国の職場・キャンパスから改憲・戦争反対の労働組合と学生自治会の嵐のようなストライキを巻き起こそう。1960年安保闘争、70年安保・沖縄闘争も超えるような戦後史上最大の闘いをやろう。
 安倍は9月の自民党総裁選で3選し、今年3月の自民党大会決定の改憲案の線で臨時国会発議を狙ってくる。衆参両院で3分の2の賛成があれば、その日から60日以後180日以内に国民投票が実施される(過半数の賛成が必要)。いざ改憲発議、国民投票となれば、安倍は天皇代替わり・五輪キャンペーンの洪水で「国民融和」宣伝をまき散らし、改憲反対運動を圧殺してくる。
 安倍は「東京オリンピックの2020年に新憲法を施行」と宣言した。来年4月30日には天皇アキヒト退位、5月1日には新天皇ナルヒト即位が控えている。今秋臨時国会で発議し、来年3月頃までに国民投票をやらなければ、安倍は日程的に追い詰められる。秋の改憲発議阻止が決戦中の決戦だ。

⑵「国家と革命」を問う問題

 安倍は一貫して、改憲の目的を「戦後レジームからの脱却」としている。「戦後レジーム」とは、第2次大戦での日帝の敗北後、連合国軍総司令部(GHQ)占領体制下で制定された日本国憲法(1947年5月3日施行)を軸とする戦後民主主義的な統治形態だ。
 日本国憲法は戦後革命の爆発と敗北の中から生まれた。「二度と戦争を繰り返すな!」「戦争犯罪人を処罰しろ!」----45年8月15日の敗戦直後から労働組合を中心に怒濤(どとう)のような闘いが起こった。戦争への怒りが原動力だった。それは一個の「革命」であり、日帝は打倒寸前に追い詰められた。労働者階級による権力奪取を防ぐため、「上からの民主革命」で旧天皇制国家を解体・再編するしかなくなった。その切り札が新憲法制定であり、核心は「象徴天皇制」と「軍備放棄」にあった。とりわけ9条は天皇と日帝への怒りをそらす「避雷針」だった。
 闘いは当時の吉田茂内閣打倒をめざす47年2・1ゼネストにまで上りつめるが、日本共産党スターリン主義の裏切りで敗北する。戦後革命のうねりは、「象徴天皇制」と「議会制民主主義」という新たな統治形態の枠内に収束させられ、「戦後レジーム」が形成される。帝国主義は延命し、安倍の祖父・岸信介(対米開戦時の東條内閣の商工大臣)を先頭に、かつての戦争犯罪人が政治中枢に返り咲く。
 憲法とは「政治の子」だ。現行憲法は戦後革命の敗北から生まれた。しかしそこには9条に象徴されるように、政府に力で強制して獲得したものが刻みつけられている。それは戦後の国家と社会を規定してきた。他方で、日帝と天皇の戦争責任をあいまいにしたこと、9条は日米安保と沖縄の米軍政への売り渡し(72年本土復帰後も全島を基地化)を前提にしたことなど、解決不能の矛盾を最初から抱えていた。
 日帝は戦後一貫して改憲を狙ってきた。1950年の朝鮮戦争開戦直後、警察予備隊をつくり、52年に保安隊となり、54年に自衛隊を発足させ、9条を骨抜きにしてきた。自民党は55年の結党時から「自主憲法制定」を掲げてきた。日本を「再び戦争のできる国」にするという願望は今も変わらない。しかし、日本労働者人民と在日を含む朝鮮・中国・アジア人民の闘いがそれを阻んできた。「戦争は二度としない」「改憲は許さない」という労働者の階級意識があらゆる闘いの土台となってきた。日教組(日本教職員組合)のスローガン、「教え子を再び戦場に送るな」はそれを象徴している。60年安保闘争、70年安保・沖縄闘争、沖縄や三里塚の闘い、国鉄闘争などが、改憲をさせない力関係を築いてきた。安倍はこれに憎しみを募らせ、闘いの蓄積と階級意識そのものをぶち壊そうとしている。
 改憲阻止闘争は本質的には「改憲か護憲か」を問うものではない。資本主義の危機は末期的だ。支配階級も労働者民衆も、「このままではやっていけない」という限界点に達しつつある。安倍は「戦後レジーム」を破壊しようとしている。クーデター的(予防反革命的)に改憲をやって戦争に突入しなければ資本主義を維持できないと感じ、戦争で革命を圧殺しようとしている。労働者人民は戦後革命の敗北をのりこえ、日本帝国主義を打倒する中にしか活路はない。改憲阻止闘争は「戦争か革命か」の決着しかない。

⑶「戦争する国」への大転換

 今年3月25日の自民党大会で安倍は、「憲法改正に取り組むときがきた」「自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打とう」と演説した。これを受け、自民党憲法改正推進本部は「改憲4項目」(9条改正、緊急事態条項、参院「合区」解消、教育の充実)の条文案を大会報告した。
 9条改憲案は、現在の1項と2項は残したうえで「9条の2」を新設し、「前条の規定は我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として......自衛隊を保持する」としている。
 9条1項は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と宣言している。続いて2項で「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と明記している。1項の「戦争放棄」と2項の「戦力不保持・交戦権否認」がセットとなって、「自衛のための戦争」も含めたすべての戦争を放棄する、としてきたのだ。だが「9条の2」で自衛隊が明記されれば、2項が否定・破壊されるだけでなく、9条全体が破壊されて空文化する。「二度と戦争をしない」ことを前提に成り立つ戦後憲法の全体系が転覆される。
 とくに「9条の2」で、「前条の規定は......自衛の措置をとることを妨げず」とすることは重大だ。政府認定の「自衛の措置」を掲げさえすればどんな武力行使も可能となる。「我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つ」ためだと言えば、自衛隊の装備・演習、武力行使にいたるまで際限なく拡大できる。これは日帝の全世界への「戦争突入宣言」だ。
 「緊急事態条項」は9条破壊と一体だ。自民党「憲法改正草案」(2012年)は国家緊急権を明記し、「内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において......緊急事態の宣言を発することができる」「緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も......国その他公の機関の指示に従わなければならない」とする。これも戦後的統治形態を転換させる。9条破壊と連動して、戦時に憲法停止の「戒厳令状態」=国家総動員体制をつくり、労働者民衆の一切の反対運動をたたきつぶして政府の命令に従わせようということだ。
 改憲とは「戦争のできる国」のための安倍による「上からのクーデター」だ。

改憲と核武装は一体

 改憲欲求は核武装衝動を引き起こす。日帝は戦後一貫して核武装を見据えて原発政策を推し進めてきたし、安倍も「自衛のための必要最小限度を超えない限り、核兵器保有を憲法は禁じていない」(02年に早稲田大で講演)と、根っからの核武装論者だ。
 安倍政権は7月3日に4年ぶりに「エネルギー基本計画」を決定し、原発再稼働と原発新設を目標とした。完全破綻している核燃料サイクル政策は推進する。すでに日本が原爆6千発分に相当する約47㌧のプルトニウムを所有していることに、米帝も危機感を吐露している。7月4日には名古屋高裁が関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた一審判決を取り消した。すべてが改憲・核武装と連動している。
 過去最大の軍事予算(18年度で約5兆1900億円)を計上するとともに、陸上自衛隊の五つの方面隊を一元的に指揮する「陸上総隊」や敵地殴り込みのための「水陸機動団」(=日本版海兵隊)の新設(3月)、護衛艦「いずも」の空母への改修、敵基地攻撃能力保持のための長距離巡航ミサイル導入の検討など、自衛隊の参戦準備と大軍拡、軍事大国化は着々と進んでいる。

労働組合解体が前提

 労働組合的団結を破壊して戦後的意識を一掃しない限り改憲はできない----この「突破」を図ったのが中曽根康弘政権(1982〜87年)だ。「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根は国鉄を分割・民営化してJRに移行させ(87年4月)、その過程で当時の総評労働運動の中軸だった国鉄労働組合(国労)と国鉄労働運動を解体しようとした。狙いはもちろん改憲=戦争だった。中曽根は「国労をつぶせば総評・社会党が崩壊する。明確に意識して(国鉄分割・民営化を)やった」「行政改革でお座敷をきれいにして床の間に立派な(新)憲法を安置する」とあけすけに語っている。分割・民営化から新自由主義攻撃は本格化する。
 国鉄分割・民営化は戦後最大の改憲攻撃だった。当時の社会党(現社民党)、共産党、総評(日本労働組合総評議会)指導部は一戦も構えられなかった。唯一、動労千葉だけが団結を守り、85〜86年に2波の大ストライキを打ち抜いた。この闘いが1047名解雇撤回闘争と国鉄闘争(JRにおける労働運動とその支援陣形)を生み出し、30年を経た今も改憲を許さない力関係をつくっている。分割・民営化とその後の攻防が現在も日本階級闘争と労働運動を規定している。日帝は改憲・戦争のために、闘う労働運動つぶしに全力を傾注している。
 改憲を阻止する道は、ナショナルセンター「連合」(700万人)の腐った指導部を打倒し、動労千葉―動労総連合を先頭にゼネストを闘える労働組合をよみがえらせることだ。韓国・民主労総のような労働運動を日本につくろう。国鉄闘争30年の地平の上に改憲阻止を闘おう。
 連合内最大組織のUAゼンセン(全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟、172万人)は徴兵制賛成であり、改憲も容認している。しかし、UAゼンセンが連合をのっとる計画は破綻した。昨年夏、「働き方改革」=労働法制改悪に賛成した連合指導部に組合員の怒りが爆発し、UAゼンセン元会長で連合事務局長だった逢見直人の次期連合会長就任は粉砕された。
 連合は、労働組合を丸ごと改憲勢力にするために国鉄分割・民営化後の89年につくられた。しかし、改憲が焦点化するこのタイミングで連合内は分岐・流動している。階級的労働運動が飛躍し、改憲を止めるチャンスだ。

⑷「自衛戦争」論を弾劾する

 「自衛戦争」とは、労働者民衆をだまして戦争に動員する常套(じょうとう)句だ。古今東西いかなる戦争も「自衛」の名で正当化された。真の目的は資本家が支配する政府が市場・資源・勢力圏を他国から強奪するためであり、そのための武力行使=戦争だ。戦争の原因は資本主義にあることを誰も語ろうとしない。
 ロシアの革命家・レーニンは第1次世界大戦時、「100人の奴隷をもつ奴隷所有者が、200人の奴隷をもつ奴隷所有者に対し、『より正しい』奴隷の分けなおしのために戦争をやっている」(『社会主義と戦争』)と弾劾し、労働者を抑圧する政府と戦争をやる政府は同一であり、資本家こそ共通の敵だと訴えた。「自衛戦争」論に屈して戦争にくみした自称社会主義者を糾弾し、1917年ロシア革命を勝利させた。
 戦争で利益を得るのは「1%」の大資本家であり、「99%」の労働者民衆は戦争に駆り出されて殺し合わされる。帝国主義戦争への絶対反対を貫き、自国政府打倒の内乱=革命で応えるのが労働者の立場だ。

共産党の転向と腐敗

 「自衛戦争」論に賛同するのが日本共産党だ。共産党は、自党が非自民の「国民連合政府」に入った際の「自衛隊活用」論を唱えている。共産党委員長・志位和夫は「自衛隊の有事活用」を力説し、共産党参画の政権で「急迫・不正の主権侵害など必要に迫られた場合には、自衛隊法に基づいて自衛隊を活用する」「有事の際には政府として安保条約に基づいて米軍に出動要請する」とした。共産党は政府の一員として武力行使するのだ。
 帝国主義国家の戦争はすべて不正義の侵略戦争だという真理をねじ曲げ、「国民一体」の正しい戦争があるかのように描いている。「自衛」の解釈に違いがあるだけで、言っていることは安倍と同じだ。共産党は戦争反対ではなく戦争賛成、改憲反対ではなく憲法破壊の党だ。1946年の帝国議会での新憲法案審議で、共産党代議士の野坂参三が「自衛権を放棄して民族の独立を危うくする」と9条に反対したのを、首相・吉田茂が「かくのごときを認めることは有害である。近年の戦争の多くは国家防衛権の名において行われたることは顕著なる事実である。正当防衛権を認めることが、戦争を誘発するゆえんである」と答弁したのは有名なエピソードだが、共産党は一貫して「自衛戦争」に全面賛成している。
 「自衛戦争」論と一体で改憲阻止闘争の妨害物となるのが、「立憲主義」と「野党共闘路線」だ。立憲主義とは「憲法に立脚した政治を求める」だけで、改憲絶対阻止の立場ではない。安倍反対であれば改憲派とも手を組む野党共闘路線と同じだ。改憲派の立憲民主党や国民民主党を「立憲野党」と持ち上げ、労働者の存在をおとしめて、労働者が改憲阻止闘争の主人公であることを否定する。この中で、「臨時国会での改憲発議は絶望的」と武装解除をあおり、決戦から逃亡する動きも始まっている。「自衛戦争」論と「立憲主義」をのりこえ、戦争の元凶である帝国主義を撃つ荒々しい労働者の闘いをつくり出そう。

⑸全国に大行進運動の旗を

 「労働者は祖国を持たない」「万国のプロレタリア、団結せよ!」----1848年にマルクスとエンゲルスは、『共産党宣言』で国際連帯の精神を打ち立てた。改憲・戦争を止めるために、国境をこえた労働者の団結と労働組合のゼネストが必要だ。朝鮮半島での革命へ進む民主労総の苦闘から学び、日本の地で職場・キャンパスに闘う労働運動と学生運動をつくろう。

職場と街頭を一つに

 資本の攻撃は「内への階級戦争―外への侵略戦争」として一体だ。いかに改憲阻止闘争と職場闘争を一体で闘うか。動労千葉の故中野洋顧問は、「労働運動の闘いの基軸に、反戦の闘いを路線としてきちっと押さえなければいけない」「労働組合運動とは本来、階級的労働運動であり、いや応なしに権力問題を含んでいるわけだ。だから自国政府の侵略戦争......に対する闘いを展開しなければ、そもそも労働組合運動として成り立たない。そういう方針をはっきりと貫かない限り、戦争に加担する側に労働組合がつかざるをえない。つまり中間の立場はないという意味で、労働運動と反戦闘争は完全に一体のものである」(『甦る労働組合』)と語った。
 改憲阻止を闘う立場に立てば、職場闘争が階級決戦の一環であるとはっきりし、労働者の団結への確信が強化される。逆に、改憲阻止闘争に職場から労働者を立ち上がらせようと考えれば、職場闘争をより強化しなければならなくなる。職場闘争が土台になって、改憲阻止闘争は本格的に発展する。その「相互作用」を経て階級的労働運動は強化される。職場に闘いと分岐をつくり、改憲阻止闘争を通して労働運動の強力な拠点を生み出そう。

青年・学生の未来かけ

 「改憲・戦争阻止!大行進」運動を全国につくり出そう。大行進運動は、労働者の力への信頼を基礎に全人民と深く結合する壮大な挑戦だ。帝国主義戦争にすべてを奪われるか、労働者が主人公の社会をつくるか----改憲阻止は人生をかける価値のある闘いだ。
 具体的には、①秋の臨時国会までに、大行進運動を全国の職場・地域に立ち上げよう。②新たな仲間と可能性を盛り込んだ、魅力ある運動体をめざそう。③政府・権力との激突に勝ち抜ける原則性、そして広範に結びつく大衆性をもった運動としよう。④労働者一人ひとりが自己の可能性に確信を持ち、闘いの主役として解放性を発揮できる構想をつくろう。⑤「臨時国会での改憲発議阻止」から政策を逆規定し、すべての闘いの土台に改憲阻止を据えよう。
 青年・学生の決起が重要だ。青年層が膨大に立ち上がれば絶対に改憲はできない。安倍がいくら腐敗しても、それで既成野党に支持は集まらない。既成野党が一方で、職場・キャンパスでの貧困や非正規職化、団結破壊と闘わないため重大な不信を呼び起こしているからであり、他方で改憲阻止闘争を現状変革性をもったラジカルな闘いとして提起できずに求心力を失っているからだ。職場闘争と政治闘争を一体のものとし、革命に向かって改憲阻止を闘おう。
 60年安保闘争も70年安保・沖縄闘争も国鉄分割・民営化阻止闘争も、根底ではすべて改憲阻止闘争として闘われた。この蓄積の上に、青年・学生の未来を切り開く展望をもって立ち上がろう。

Ⅲ戦争へのあらゆる怒り結集し、今秋臨時国会決戦へ総決起を

⑴闘いはもう始まっている

 改憲阻止闘争の爆発へ、5〜7月の闘いは前進してきた。国鉄闘争全国運動が呼びかけた7・1全国集会には1500人が結集し、国鉄1047名解雇撤回闘争の新たな発展、乗務員制度改悪阻止=第3の分割・民営化攻撃粉砕とともに、「9条改憲・国会発議許すな」と全参加者が誓った。分割・民営化以降の31年間を不屈に闘う国鉄労働運動を中軸に「改憲・戦争阻止!大行進」運動をつくろうと、秋の臨時国会決戦へ檄(げき)を飛ばした。
 6月3日には、無実で獄中43年の星野文昭同志の解放のため、四国地方更生保護委員会がある香川県高松市で全国集会とパレードを行った。冤罪(えんざい)を打ち砕く熱い思いが、1千人の大闘争として実現された。5月20日の四国新聞と朝日新聞大阪本社版への全面意見広告が大きな反響を呼んだ。
 5月13日の大阪・泉佐野市議選では、中川いくこ候補に981票が寄せられた。悔しくも次点だったが、階級的労働運動の立場からの「戦争・改憲をとめよう!」「安倍と千代松市長を倒そう!」というスローガンが市内を席巻し、新たな出会いと決起を生み出して革命的選挙闘争の力を存分に発揮した。
 5月12〜14日の「復帰46年」沖縄闘争は、全国から結集した青年を先頭に成功した。名護市・辺野古で米軍新基地建設が強行され、米軍の事故・事件が相次ぐ中、沖縄全島は怒りのマグマで沸騰寸前だ。「オール沖縄」の破産をのりこえ、「基地の島」「非正規の島」を根底から変革する全島ゼネストへ、沖縄の青年・学生が指導部として屹立(きつりつ)した。
 さらに、成田軍事空港建設による農地取り上げと闘う三里塚闘争だ。反対同盟・市東孝雄さんの農地をめぐり、5〜7月連続する請求異議裁判と千葉市内デモを闘い、「100年耕した農地」を死守する市東さんの烈々たる意志を、国家権力と成田空港会社(NAA)に突きつけた。
 京都大学からも闘いの火柱が上がった。キャンパスでの立て看板全面規制に抗議し、4月27日には吉田南キャンパスで「京大解放祭」が200人を超える結集で打ち抜かれた。続く5月1日には、看板実力撤去を策す教職員とぶつかる実力阻止闘争を大衆的に闘った。これらが7月同学会執行部選挙での安田淳敏候補者団の勝利に結実した。
 全国の職場・キャンパス・街頭ですべての取り組みが一体となり、改憲攻撃に反撃する陣形を形成している。この力を基礎に秋の決戦にうって出よう。

今秋が最大の激突点

 「改憲・戦争阻止!大行進」は、労働運動を軸に日本人民の総決起をめざしている。現在は多くの労働運動・市民運動が「総がかり行動」など体制内勢力による既成の護憲運動の枠内にあり、他方で多数の青年・学生は行動方針を求めながらも未組織状態にある。既成の護憲勢力は、議会主義に逃げる、労組の存在をおとしめる、「改憲はない」論で決戦から身をそらすなど、指導勢力としては危機的状態だ。改憲実力阻止へ、労働者が主人公となった実力闘争の思想を復権させよう。
 「国民投票で否決すればよい」という考えは誤りだ。教育労働者や公務員労働者、労働組合による反対運動が厳しく取り締まられる一方、有料のテレビ・新聞・ラジオの広告は投票2週間前まで無制限に容認される。国民投票の過程全体が改憲を暴力的に強行する攻撃だ。改憲発議阻止の闘いこそ最大の決戦場だ。
 8・5〜6広島、8・8〜9長崎反戦反核闘争、東京での8・12集会を国際連帯の発展と飛躍をかけて闘い、その地平の上に9月臨時国会冒頭からの大闘争に突き進もう。何より秋の闘いは、動労千葉・全国金属機械労組港合同・全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部などが呼びかける11月の全国労働者集会(日比谷野外音楽堂)に集約される。11月集会の3労組共闘こそ「改憲・戦争阻止!大行進」運動の牽引(けんいん)軸だ。民主労総をはじめ世界の闘う労働者が結集するこの場で、日本労働者階級の名で改憲絶対阻止の宣言を発しよう。

⑵国鉄・教労・自治体先頭に

 「働き方改革」=労働法制改悪との対決はこれからだ。「働き方改革」法案が「成立した時、心の中で娘に『これがあなたを追い詰めた日本の姿だよ』と話しかけていた」(過労死遺族の言葉)----労働者を殺すこの「日本の姿」をひっくり返す革命が必要だ。
 「働き方改革」攻撃は「8時間労働制解体」を中心内容とし、労働者階級が必死にかちとってきたすべての権利、つまり戦後労働法制と労働基本権を解体するものだ。これが職場で貫徹されれば、労働者は総非正規職化され、首切りは自由となる。
 安倍の意をくんで攻撃の最先頭を走るのがJR東日本だ。JRの現場で重大事態が起きている。一つは、JR東資本が乗務員制度改悪攻撃をかけていることだ。JR労働者すべての雇用を破壊し、「労働組合のない会社」をつくる攻撃であり、全労働者にかけられた攻撃だ。戦後最大の労働運動破壊攻撃だった国鉄分割・民営化以降31年、労働運動のとりでを守る動労千葉・動労総連合を解体して改憲を貫徹しようとしている。これに対して動労千葉は渾身(こんしん)のストライキで歴史的反撃にうって出ようとしている。
 もう一つは、JR東日本内の最大労組である東労組が崩壊し始めていることだ。今年2月からの「東労組解体」情勢は、4万7千人の組合から3万5千人が脱退するところまで進展している。東労組を牛耳ってきたカクマル派は、国鉄分割・民営化に全面協力して20万人首切りの先兵となった反革命党派だ。そのカクマルすら使い捨てようというのがJR資本の方針だ。
 国鉄闘争は労働者の未来にかかわっている。①1047名解雇撤回闘争、②乗務員制度改悪阻止、③ローカル路線の廃止反対運動、④非正規職撤廃、⑤動労水戸を先頭とする被曝労働拒否闘争、⑥動労総連合の組織拡大闘争を推し進めて、国鉄闘争に勝利しよう。この国鉄闘争を先頭とするゼネストへ向かう団結が、改憲・戦争を阻む力だ。
 同時に教育労働者、自治体労働者は二度と戦争の担い手にならないという決意をこめて、改憲・戦争阻止の先頭に立とう。国家機構をその末端で動かす位置にいる教育労働者や自治体労働者が、職場生産点から地域住民とともに総反撃する力は巨大である。さらに、安倍の「同一労働同一賃金」=総非正規職化と闘う郵政労働者、「働き方改革」との最前線の攻防に立つ合同・一般労組全国協議会など、全産別が職場の団結破壊との闘いを、改憲・戦争阻止と一体の闘いとして闘おう。
 安倍と一体で労働者に襲いかかる小池東京都知事を打倒しよう。今年10月の豊洲移転強行に対し、7月12日に「築地を活かし豊洲を止める会」の総決起集会が大成功した。築地で働く仲間と団結し、豊洲移転を粉砕しよう。小池の東京都丸ごと民営化と都労連破壊攻撃に対し、東交民営化阻止を掲げて都労連労働者の決起をかちとろう。都庁レストラン解雇撤回闘争に勝利しよう。

⑶星野解放闘争との結合を

 6・3高松集会と7・22「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議」総会を踏まえ、星野同志奪還をめぐる闘いが重大局面に入っている。
 星野同志への最高裁上告棄却決定で無期懲役判決が確定(87年7月17日)して丸30年にあたる昨年7月から、四国地方更生保護委員会に仮釈放を決定させる闘いが始まった。全国での絵画展の力、総計1万を超えて増え続ける「即時釈放を求める要望書」が日帝と更生保護委員会を追い詰めている。これを恐れた徳島刑務所は、5月に星野同志に懲罰・降格攻撃をかけた。断じて許せない。11月25日、あらためて高松に大結集して声をあげよう。
 星野同志解放の熱望と安倍政権への怒り、改憲への怒りが一つに燃え上がった時、社会はがらりと動く。あらゆる英知を結集して、星野同志を取り戻そう。46年間のでっち上げ指名手配と闘い抜き昨年不当逮捕・起訴された大坂正明同志も、星野同志とともに百%無実だ。卑劣な政治弾圧を暴き、奪還しよう。
 オウム真理教幹部13人の大量死刑執行は、改憲・戦争に向かう内乱鎮圧型国家をつくるためのものだ。治安弾圧強化を許さず、安倍打倒・改憲阻止へ総決起しよう。

⑷学生運動の爆発かちとれ

 改憲阻止闘争の先頭に闘う全学連の旗を! 9・1〜2全学連大会を成功させ、秋の臨時国会攻防への全国学生の決起をかちとろう。大会のテーマは一つに、改憲・戦争阻止の学生運動を復権させることだ。改憲粉砕とは「今の社会を守る」ことではなく、戦争・貧困を押しつけてしか生きられない資本主義体制をひっくり返すことだ。その根源的エネルギーは、未来を体現する学生運動と青年労働者運動の中にある。キャンパスでストライキを打つ力をよみがえらせ、全国大学改憲阻止ゼネストをめざして闘おう。
 二つに、京大での激しいやり合いに勝ち抜き、強固な学内拠点をつくることだ。立て看板規制、吉田寮生強制退去(9月30日期限)―自治寮廃寮、自治会破壊など、戦後大学的なものすべてを一掃しようとしているのが山極壽一総長体制だ。大学自治を粉砕して自由を奪い、軍事研究を進める京大資本は改憲・戦争の先兵だ。山極を京大生の前に引きずり出す大衆団交を実現しよう。
 三つに、新自由主義大学の腐敗への全国学生の怒りを集中することだ。日本大学アメフト部悪質タックル問題、東京医科大不正入学問題など、「教育の民営化」「学生の商品化」の矛盾が噴き出している。04年の国立大法人化がその元凶だ。政府と資本は大学・教育を競争させてカネで支配しようとしている。「大学改革」をキャンパスから粉砕し、学生自治会を再建する闘いが改憲・戦争を止める力だ。法政大、東北大、広島大、沖縄大など全国で自治会建設・強化を進めよう。
 四つに、国家権力・警視庁の妨害策動をはね返すことだ。一昨年の全学連大会襲撃への国家賠償請求訴訟は勝利的に進み、学生運動の不屈の発展の力に転じて、公安警察の動きを縛っている。全学連大会の大成功をかちとり、その地平に立って10月24日の第7回口頭弁論に集まろう。
 五つに、改憲阻止闘争を指導する新たな執行体制を確立する大会とすることだ。その核心は、東京大学に闘う学生運動をつくり出すことだ。今年は日大・東大闘争から50年、全学連結成から70年にあたる。日大・東大闘争は、大学教育の腐敗と堕落、学生の主体性の破壊を告発し、日帝の階級支配の要であった大学支配を粉砕して、全国の大学を安保・沖縄闘争を闘う全労働者人民の一大拠点に変えた。だからこそ日帝は70年闘争の地平の解体に全力をあげ、今日の新自由主義大学をつくり出して青年・学生を一層の孤立と苦境に陥れてきたのだ。今こそ50年越しの課題に決着をつけよう。学生運動の活性化を願って動き始めた学友たちと団結し、大会を成功させよう。
 『中核』№3「第1次大戦下のレーニンの闘い」をはじめ理論活動を強化し、青年・学生をめぐるイデオロギー闘争に勝ち抜き、膨大な数の学生をマルクス主義学生同盟中核派へ結集させよう。

⑸三里塚・福島・沖縄はじめ全戦線での一大決起を

 三里塚闘争は改憲・戦争阻止の闘いのとりでだ。軍事空港建設のための農地強奪=戦時徴用攻撃を阻止し、労働者人民の抵抗を国家暴力で押しつぶす攻撃と50余年にわたって闘い、勝利し続けている。「農地を取られることは農民としての自分の命を取られることと同じです」(6・28請求異議裁判での市東孝雄さんの証言)。市東さんの農地取り上げを許さない決戦に立とう。9・27請求異議裁判最終弁論に攻め上ろう。
 安倍政権は、成田空港24時間化へ向けた「首都圏空港機能強化」を進めている。反対同盟の一斉行動が第3滑走路建設への周辺住民の激しい怒りを引き出している。労働組合・学生自治会を軸に分厚い三里塚支援陣形をつくろう。全国農民会議を拡大しよう。10・14三里塚現地全国集会に結集しよう。
 原発再稼働―原発新設―核武装と「福島の怒り」は非和解だ。安倍政権は避難指示解除と帰還強制、「自主避難者」支援打ち切り、甲状腺検査縮小・打ち切り策動と矢継ぎ早に攻撃をかけている。その最先端がJR東日本の常磐線全線開通攻撃だ。動労水戸を先頭とした被曝労働拒否闘争は、福島現地や被災者の闘いと結びつき、原発労働者と団結し、反原発闘争のもとに全国の労働組合・住民を結集させる画期的闘いだ。「絶対反対の拠点」としてのふくしま共同診療所を守り発展させよう。
 2020年東京オリンピックは、「(福島の)現状はコントロールされている」なる安倍の大ウソの上に開催され、福島の現実を隠すものだ。粉砕しかない。
 沖縄闘争は、国際連帯とゼネストで朝鮮侵略戦争と改憲を阻止する最先端の闘いだ。日米安保を容認し、基地全面撤去の労働者の闘いを排斥する「オール沖縄」路線は破産している。1971年のような全島ゼネストをよみがえらせることが基地・戦争をなくす展望だ。その最先頭に、解雇攻撃と闘うIJBS(日本IBM・ビジネスサービス)労組、沖縄大学学生自治会がいる。
 日本全土を朝鮮侵略戦争の出撃基地にする攻撃も進んでいる。現地住民とともに、米軍のCV22オスプレイの横田・木更津配備に怒りをたたきつけよう。
 部落解放闘争、入管闘争、女性解放闘争、障害者解放闘争、被爆者解放闘争、在本土沖縄戦線、農民戦線など諸戦線の闘いは、労働者階級への差別・分断攻撃を打ち破り、プロレタリア革命への団結強化をつくる闘いだ。愛国主義・排外主義宣伝など、あらゆる差別・分断攻撃と断固対決しよう。「軍服を着た労働者」である兵士を獲得し、労働者のゼネストと並ぶ兵士の隊内反乱をつくる反軍闘争が重要だ。
 戦争は闘う労働運動と革命党への弾圧を不可避とする。
 昨年成立した「新共謀罪」にもとづくあらゆる治安攻撃をうち砕く、大衆的反撃陣形をつくり出そう。改憲と一体の「司法改革」攻撃と闘う弁護士戦線を強化しよう。
 革命的選挙闘争は、革命党による全面的な政治暴露で広範な労働者民衆と結びつき、革命的な意識と政治的決起を呼び起こしていく闘いだ。それは改憲阻止闘争の重要な一環をなす。中核派は、来年4月の統一地方選挙、同7月の参議院選挙に挑戦する。圧倒的な支援を訴える。

Ⅳマルクス主義をよみがえらせ、青年による革命指導部建設へ

 すべての労働者人民、とりわけ青年労働者・学生のみなさん。帝国主義とスターリン主義を打倒し、人間が人間らしく生きられる世界をつくるために中核派に結集してともに闘おう。
 中核派は、改憲阻止と革命勝利へ、①闘う労働組合・学生自治会の拠点づくり、②労働者国際連帯の発展、③弾圧をはね返す非合法・非公然体制をもった革命党建設、という三つの領域に最も力を注いでいる。
 戦前の日本共産党は日帝国家権力・特高警察との闘いに敗北した。党組織は壊滅し、帝国主義侵略戦争を止められなかった。労働運動・学生運動での大衆的基盤を失い、国際的反戦闘争を組織できず、政治警察の苛烈(かれつ)な弾圧をはね返せなかったからだ。その背景には、世界革命を裏切って労働者をおとしめるスターリン主義としての理論的誤りがあった。改憲・戦争が迫る中、中核派はこの歴史をのりこえて「真の労働者政党」をつくる決意だ。
 中核派を「青年・学生の党」に生まれ変わらせよう。青年労働者運動と学生運動での資本・権力との死闘の中から、膨大な数の「革命のリーダー」を生み出そう。

10万人読者網建設を

 『前進』を労働者人民の中に拡大し、10万人規模の網の目のような読者網をつくろう。
 「新共謀罪」法成立のもと、革命党の機関紙発行停止を狙う攻撃が始まっている。絶対に許さず、大衆的怒りを結集して粉砕しつくそう。
 そのためにも大胆に紙面改革を進め、労働者が「自分の新聞だ」と思えるような内容に高めよう。レーニンが『なにをなすべきか?』で提起した、「どこでおこなわれたものであろうと、またどういう層または階級にかかわるものであろうと、ありとあらゆる専横と圧制の現われに反応することができ、これらすべての現われを、警察の暴力と資本主義的搾取とについての一つの絵図にまとめあげることができ......自分の社会主義的信念と自分の民主主義的諸要求を万人の前で叙述し、プロレタリアートの解放闘争の世界史的意義を万人に説明することのできる」新聞、資本とその権力への怒りをかき立て、団結を固める新聞をめざそう。

前進チャンネル活用

 昨年6月開設のユーチューブ動画「前進チャンネル」が快進撃している。150本超の作品がアップされ総視聴回数は55万回を突破した。『前進』紙面を学生同志が分かりやすく解説するという試みは、インターネットを活用した宣伝の新たな可能性を切り開いている。視聴者のほとんどが10〜20代の若者だ。チャンネル視聴を周りの仲間に勧め、『前進』定期購読を拡大しよう。

マルクス主義の復権

 青年・学生の中にマルクス主義を「生きた思想」として打ち立てよう。マルクス主義は19世紀、奴隷的労働と人間疎外に抗する労働者の闘いから生まれた。「労働者階級の解放は、労働者階級自身の手でたたかいとられなければならない」(第1インターナショナル規約)。労働者階級は資本家階級を打倒し、私有財産を廃止して新たな生産関係をつくり出すことを通して階級と階級支配を廃絶し、自らとすべての人間を解放する最も革命的な階級である。労働者階級は社会を変革するとともに、自らと自らにかかわる人間関係も変革する。
 スターリン主義はマルクス主義の神髄を骨抜きにし、公式の「教義」を振り回して人間を従属させるような干からびたものにした。世界革命を裏切って帝国主義と取引し、労働者の闘いを蔑視して血の海に沈めてきた。1991年のソ連崩壊はマルクス主義そのものを否定する思想をはびこらせた。今日、青年・学生の新自由主義への怒りは渦巻いているが、それがマルクス主義での獲得につながらないという「壁」がある。『共産党宣言』に代表されるマルクス主義の復権が最大課題だ。

非合法・非公然の党

 すべての労働者人民に、党の非合法・非公然体制の確立のための協力と決起を訴える。非合法・非公然体制は、帝国主義国家権力を打倒し、革命に勝利する闘いに必要なあらゆる力を生み出す絶対条件だ。結党以来60年、党と運動を守り抜いてきた土台に非合法・非公然の組織建設がある。そして党と階級による強力な財政闘争がそれを支えてきた。労働運動・学生運動の発展と一体で、強固な地区党を建設する中で非合法・非公然の党建設を前進させよう。
 獄中同志の闘いは、党と革命運動を支える最大の土台だ。星野同志と大坂同志をはじめとして、長期・不屈かつ完全黙秘・非転向で闘う獄中同志と固く団結し、その全員を取り戻そう。爆取でっち上げでの16年間の未決勾留に加えて8年3月〜4年7月の下獄攻撃と闘う須賀武敏同志、板垣宏同志、十亀弘史同志、さらに鈴木哲也同志、吉中誠同志とともに闘い勝利しよう。
 労働者のみなさん、青年・学生のみなさん。中核派に結集し、人生をかけてともに闘おう!

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