ローカル線の廃止を阻もう 災害を口実に廃線狙うJR

週刊『前進』02頁(2968号01面03)(2018/08/30)


ローカル線の廃止を阻もう
 災害を口実に廃線狙うJR

 JR資本は各社とも、ローカル線の廃止に向けて動いている。JRが強行する第3の分割・民営化攻撃は、鉄道業務の全面的な外注化や労働組合の破壊とともに、地域住民から必要な交通手段を奪う廃線化でもある。

「財政支援」の名で廃線を迫る国

 JR北海道は16年11月に「13線区1237㌔メートルは維持困難」と発表して以来、ローカル線の廃止を地元にのませようと必死になってきた。すでに石勝線の新夕張―夕張間の廃止は夕張市との間で合意がなされ、留萌線、札沼線の北海道医療大学―新十津川間、根室線の富良野―新得間、高波の被害を受けて運休中の日高線の鵡川(むかわ)―様似(さまに)間の4線区についても、JRは廃止を既定方針にして自治体との協議に臨んでいる。
 安倍政権は、そのJR北海道に対し、さらに廃線を加速しろと迫っている。
 7月27日、石井啓一国土交通相が、JR北海道に対し経営改善を指示する監督命令を出すとともに、2019~20年度の2年間で総額400億円の財政支援を行うと公表した。その際、石井国交相は「2年間で目に見える成果を挙げることが重要」とJR北海道に突きつけた。
 財政支援と言っても、対象は施設や車両の修繕費、青函トンネルの維持管理費などに限られている。JR北海道の経営を抜本的に立て直すものではない。しかもその支援策は、国と同額の負担を地元自治体が負うことを前提にしたものだ。
 安倍政権はJR北海道が求めた2030年までの長期支援さえ拒んだ。要は、2年後には「成果が出なかった」として全面的な廃線を強行することが狙いだ。

ストを構え反撃する動労西日本

 7月に西日本一帯を襲った豪雨災害は、安倍政権による人災だ。JR西日本はこの災害を口実に、ローカル線を廃止しようと狙っている。
 JR西日本は芸備線の狩留家(かるが)―備後落合間、福塩線の府中―塩町間、呉線の三原―安芸川尻間の復旧は来年1月以降になると発表した。特に芸備線の狩留家―三次間の復旧は1年以上かかるという。
 JR西日本の来島達夫社長は7月18日の記者会見で、「存廃は地元自治体との協議次第」と表明した。地元自治体が金を出さなければ、鉄道を復旧しないということだ。
 JR西日本は、今年3月の三江線の廃止に続いて、ローカル線の切り捨てを強行しようとしているのだ。
 JR四国でも、予讃線の卯之町―北宇和島間が不通になったままだ。同社の半井真司社長は、「豪雨災害により今年度は赤字」「JR北海道のように国の支援が必要になる」と述べた。これは、やがてはJR北海道のように廃線に進むという意思表示だ。
 こうしたローカル線の切り捨てに対し、動労西日本は9月10日、山陽本線五日市駅を拠点にストライキを構えている。労働組合の闘いこそが、地域住民の生活を守るのだ。

地方を破壊してリニアに3兆円

 ローカル線の廃止に動いているのはJR東日本も同じだ。JR東日本が7月に発表した経営計画「グループ経営ビジョン『変革2027』」は、「地域特性に応じた輸送モードへ転換」を掲げている。ローカル線のバス転換・廃止を推し進めるということだ。
 この攻撃に対し、動労千葉は地域の住民と結び、内房線や外房線を守る運動を繰り広げている。
 JRによって必要な交通手段を奪われようとしている地域住民の怒りの矛先となっているのが、リニア新幹線への3兆円もの財政投融資資金の投入だ。ローカル線を維持するためなら、これほどの巨費はいらない。それを拒む安倍政権が、完成の見通しすら立たないリニア新幹線には湯水のように金をつぎ込んでいる。JR東海名誉会長の葛西敬之は安倍の盟友であり極右・日本会議につながる経営者集団「さくら会」の重鎮だ。何より国鉄1047名解雇の首謀者だ。リニア新幹線への国費の投入は、森友や加計を上回る公費の私物化、大疑獄だ。
 改憲・戦争に突き進む安倍政権とJR体制を倒そう。ローカル線の廃止を阻み、住民の生活を守る道はそこにある。

このエントリーをはてなブックマークに追加