杭48本の偽装を居直る小池 豊洲移転は権力犯罪だ

週刊『前進』04頁(2969号02面03)(2018/09/03)


杭48本の偽装を居直る小池
 豊洲移転は権力犯罪だ


 小池百合子・東京都知事が狙う10月11日からの豊洲市場開場と築地市場解体を、労働者の団結と総決起で絶対に阻止しよう。小池は7月31日の「安全宣言」に続き、翌日に農林水産省への認可申請を行うなど、10月11日移転への動きを次々と強行している。都は農水省の認可を見込んで9月13日に豊洲開場記念式典を行うと発表している。この9月、闘いはいよいよ最大の正念場に入った。

9・13開場記念式典を中止せよ

 都とゼネコンがぐるになった犯罪が新たに発覚した。豊洲市場の7街区(水産卸売場)通勤駐車場棟の施工を担当した労働者が、杭打ち偽装について怒りの告発を行った(『週刊現代』9月1日号)。なんと合計114本の杭のうち48本が基準となる高さの誤りのために支持層(建物を支える固い地盤)に届いていないことが工事の途中で発覚しながら、杭打ちを最初からやり直すのではなく杭の頭を500㍉メートルカットしてごまかしたというのである(図参照)。
 つまり、支持層に届いていない杭が48本ある。杭頭のカットを施工業者も都も認めたが、大変な問題だ。これらは死に体であり、駐車場で990台の荷重がかかれば沈み込む。最悪の場合は倒壊する。横浜市都筑区の傾斜マンションでは傾いた棟に使われた杭の15%にあたる8本が強固な地盤に届いていなかった(現在、全棟立て替え)。豊洲の偽装は杭全体の40%を超えている。
 8月25日の記者会見で小池知事は杭打ち偽装について質問され、「問題はない」「チェックする必然性もない」と居直った。横浜市のマンションでは施工業者が地盤調査を行ったように装う虚偽データを作成していた。豊洲でのデータ改竄(かいざん)の可能性については、工事を落札した熊谷組から改竄していないと「報告があった」として、調査すら拒んだ。
 とんでもない暴論だ。安全を考えるならば最低でも調査はすべきだ。10月11日開業に間に合わせるために、労働者が建物の下敷きになろうが構わないというのか。都がやっていることは、国が地方切り捨てで豪雨災害の被害を激増させたのと同じ権力犯罪だ。

違法建築物への移転強行阻止を

 毒物まみれ、大量のかび発生、床が荷重に耐えられない、地震で倒壊の危険のある法令違反の建築物、営業権無視の違法・無法な都のやり方など、どこをとっても豊洲市場は失格だ。移転後の使用料は数倍にはね上がり、大量の仲卸が廃業に追い込まれ、仲卸の消滅も危ぶまれる。「茶屋」の労働者をはじめ、市場で働く労働者への解雇攻撃が迫っている。そして市場は巨大資本が支配する物流センターになる。
 豊洲市場の年間150億円もの赤字のせいで不可避となる都の市場会計全体の赤字を口実に、11市場の丸ごと民営化がもくろまれている。民営化は安全破壊と首切り、労働組合破壊だ。豊洲移転はそのために強行されようとしている。
 だが、闘えば勝てる。豊洲移転に正義はない。うそと腐敗と不正まみれの市場移転は必ず止められる。
 豊洲市場の水産仲卸売場棟の設計における建築基準法令の規定に関する違反について、築地仲卸の代表らが起こした行政訴訟の第1回口頭弁論が、9月21日に東京地裁で開かれる。都は訴状への反論を「意見書」として出してきたが、すべてが虚偽にまみれている。全力で結集し粉砕しよう。
 建築構造の法令違反にかかわる当該官庁である国土交通省は、原告団を先頭とする申し入れを受け取ることすら拒否している。都と日建設計の違反があまりに明白なため、質問・追及に耐えられないからだ。
 移転反対で闘う誇りある仲卸の仲間と連帯し、都労連をはじめとする労働組合こそ「一人の首切りも許さない。市場民営化絶対反対」で闘いに立とう。「築地を活かし、豊洲を止める」会の賛同を、全都・全国の労組に拡大しよう。
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