「3年ルール」で大量首切り 派遣労働者の雇い止め許すな

週刊『前進』02頁(2970号01面05)(2018/09/06)


「3年ルール」で大量首切り
 派遣労働者の雇い止め許すな


 今年9月末を前に、全国で派遣労働者が雇い止め・派遣切りに直面している。これまで何年も同じ職場で働いてきた派遣労働者が、「10月からその職場で働くことを派遣先に拒否された」ということが相次いでいる。
 2015年の9月に安倍政権は改悪労働者派遣法を施行し、同じ派遣労働者を3年を超えて同じ部署へ派遣することを禁止した。それから3年を迎えた今年の9月30日以降、派遣労働者の大量解雇が始まる。2015年の改悪までは秘書や通訳、ソフトウェア開発、受付、取引文書作成など政令で定められた専門26業務については、派遣労働者が同じ部署で働き続けることに制限はなかった。15年当時は、54万人がこの26業務で派遣労働者として働いていた。安倍政権が強行採決した働き方改革法案と一体で、労働者を資本の好きなように使い捨てにしようとする攻撃である。

改憲推進派が派遣切りを促進

 派遣法の改悪によって、派遣労働者は派遣切りにあうが、派遣先企業は労働者を別の人に代えれば、継続して派遣労働者を使い続けられるようにされた。1985年に派遣法ができた時は、労働者派遣は特殊な業務だけが対象だった。今はこの原則が180度転換されて、ほとんどの業種において派遣労働者を使えるようになった。
 改悪派遣法でも、3年を超えて働いた派遣労働者をそのまま同じ職場に置いておくならば、派遣先が直雇いしなければならない、という規定はある。しかし、この規定は解雇を促進するものでしかない。圧倒的に多くの派遣労働者は解雇され、働く場所を奪われようとしている。
 この改悪派遣法によって、派遣労働者は派遣先と派遣元の両方に搾取・収奪される労働者として固定化される。仕事の紹介料をとって金もうけをしている派遣元会社にとっては、派遣労働者は唯一の稼ぎの源泉であり、商品だ。そして、派遣先にとっては、雇用者責任の発生しない都合のいい労働力としてこき使える。派遣労働者は新しい職場を紹介されるたびに、職場を転々とさせられ、働けなくなるまで資本によってこき使われる。
 派遣法の改悪や労働者の非正規職化は、安倍をとりまく改憲推進の資本家たちによって進められてきた。

「雇用に基づかない働き方」が狙い

 安倍政権が狙っていることは、9割の労働者を非正規職化・最低賃金にして、残りの1割を高度プロフェッショナル制度で労働時間の制限なく死ぬまで働かせることだ。さらにその先に、「雇用関係に基づかない働き方」として、労働者を労働基準法も最低賃金も社会保障も関係ない存在にまでしようとしている。
 しかしそれでも、労働者は職場で働き、仲間と労働を通して協力し、団結し、人間関係を日々築いている。労働者が派遣切りを許さないと訴え、職場の直雇いの労働者との団結をつくり、ともに派遣先の資本に対する闘争をつくり上げれば、安倍と資本家階級にとって大打撃となる。
 世界がリーマン・ショックで大恐慌に突入してから10年がたち、資本は賃下げ、非正規職化、外注化によって利潤をあげている。資本の利益のために、膨大な数の労働者が底辺に突き落とされている。
 労働者の闘いだけがこの状況を突破することができる。ゼネストに立ち上がる全世界の労働者とともに、職場で労働者を組織し、労働組合を立ち上げ、資本と闘い、自分と仲間を守り、共同性の中に生きよう。日本でもゼネストを実現しよう。
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