知る・考える 用語解説 関東大震災時の大虐殺―国家権力が意図的にデマ流し扇動

週刊『前進』02頁(2970号02面05)(2018/09/06)


知る・考える 用語解説
 関東大震災時の大虐殺―国家権力が意図的にデマ流し扇動 


 1923年9月1日に発生した関東大震災に際し、「朝鮮人が放火し、井戸に毒を入れた」などの事実無根のデマが流布され、軍隊、憲兵隊、警察、自警団の手で6千人以上の朝鮮人、700人以上の中国人が虐殺された事件。労働運動の指導者や共産主義者も多数殺害された。
 重要なことは、一部の民間人による「流言飛語」が虐殺の根本原因なのではなく、国家権力が意識的に虐殺を扇動し組織したという事実である。政府は震災発生直後に戒厳令を布告し、陸軍兵力6万4千人と軍艦150隻を東京一帯に動員。内務省警保局は「(朝鮮人が)爆弾を所持し石油を注ぎて放火」「厳密なる取締りを加えられたし」と各地の地方長官に通達し、警察はビラやポスターで「朝鮮人襲来」のデマを大宣伝した。そして軍隊や警察が銃剣や日本刀で白昼公然と朝鮮人を惨殺し、在郷軍人会や消防団を中心に組織された自警団もこれにならった。
 当時、17年ロシア革命を機に労働運動が大高揚し、19年には朝鮮の3・1独立運動や中国の5・4抗日闘争が闘われ、22年にはコミンテルンのもとで極東勤労者大会が開催される中で、日帝・国家権力は日朝中労働者の連帯した闘いを白色テロルで破壊するために、震災に乗じた大虐殺に手を染めたのである。
 この歴史を二度と繰り返させてはならない。排外主義と対決し労働者の国際連帯を守り抜くことは、階級的労働運動の不可欠の課題だ。
このエントリーをはてなブックマークに追加