杉田水脈の差別扇動弾劾 「生産性ない」は極悪の優生思想

週刊『前進』02頁(2972号02面02)(2018/09/13)


杉田水脈の差別扇動弾劾
 「生産性ない」は極悪の優生思想


 自民党衆議院議員の杉田水脈(みお)は、月刊誌「新潮45」8月号掲載の「日本を不幸にする朝日新聞」という特集に寄稿した「LGBT(性的少数者)支援の度が過ぎる」と題した文章で次のように書いた。
 「子育て支援や子供ができないカップルへの不妊治療に税金を使うというのであれば、少子化対策のためにお金を使うという大義名分があります。しかし、LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」
 絶対に許すことができない暴言だ。直ちに数千人規模のデモが起きるなど、激しい抗議の声が殺到した。LGBT当事者に限らず、多くの人がこの発言に深く傷つき、恐怖を感じ、怒りを表した。
 この発言はLGBTへの無知無理解の上に、おぞましい差別を助長し扇動している。それだけでなく、「生産性」という資本主義の価値基準を意識的に人間に適用し、人間を侮辱し否定し切り捨てている。国のために子どもをつくることが「生産的」であり、そうでないものは「生産性がない」、価値が低い人間だ、そこに税金を使うなというのだ。権力の側から人の命に優劣をつけて、「劣った者は社会から抹消しろ」とする優生思想そのものだ。
 ナチスは「6万マルク。障害者を一生養護するためのドイツ民族共同体の負担額だ。国民よ、これは皆さんの税金だ!」とポスターで呼びかけ、障害者・病者を虐殺した。
 2016年の津久井やまゆり園事件で入所者19人を殺害した男は、ヒトラーに心酔し「障害者がいなくなれば国家の経済的な負担が軽くなる」と周囲に漏らしていた。杉田の暴言は対象をLGBTに置き換えただけで、これらとうり二つだ。
 日本をはじめ世界の国々で、「優生学」などのエセ科学を根拠に「財政負担軽減」を呼号し、国家が法律で人間の優劣を定め不妊手術を強制した歴史がある。
 優生思想は資本主義における人間疎外の極致の価値観だ。それが政権政党の国会議員の口からあからさまに飛び出したのだ。
 杉田の言動はすべて安倍政権の考え方そのものだ。

安倍の本音を語る

 杉田は16年に国連の「女性の地位向上委員会」の関連イベントで「慰安婦は性奴隷ではない」と題する講演を行い、大ブーイングに包囲されたことを「武勇伝」として得々と語っている。さらにこれまでさまざまな右翼反動的暴言を吐き散らしてきた。
 「女性差別は存在しない」
 「(レイプ被害者には)女としての落ち度がある」
 「世の中に『待機児童』なんて一人もいない。待機してるのは預けたい親だけ」
 「旧ソ連崩壊後、コミンテルンは息を吹き返しつつある。その活動の温床であり、一番のターゲットが日本」
 杉田は桜井よしこに目をかけられ、その推薦で安倍首相のお気に入りとなり、自民党比例中国ブロックで当選。自分が右翼的発言を強めるほど自民党一強支配の政界でウケがいいことに味をしめ、言動をエスカレートさせてきた。卑劣にも安倍は自分が直接語れない本音を杉田にしゃべらせ、利用し尽くしてきたのだ。

改憲と一体の攻撃

 自民党は8月1日付で杉田発言について、「問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現があった。本人には注意するよう指導した」とするコメントを発表した。そして2年前に発行された自民党のLGBTに関する「政策パンフ」をウェブサイトに掲載した。
 だがその内容はというと、「議員・党員が問題発言をしないための手引き」として書かれたもので、自民党が人びとの性的指向や性自認の多様性、個別性などを認める気がまったくないことを証明している。
 杉田発言に限らず、帝国主義社会の体制的危機が深まる中で、優生思想、人種主義、民族排外主義、反共主義、社会的弱者への攻撃がはびこっている。これこそが安倍の改憲を支持・待望する連中の忌(い)むべき正体だ。共産主義の思想と実践が、これらの右翼反動を根底からことごとく粉砕する使命を担っている。
(田宮龍一)
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