焦点 新たなパレスチナ侵略を許すな 米が難民救済を全面中止

週刊『前進』02頁(2972号02面04)(2018/09/13)


焦点
 新たなパレスチナ侵略を許すな
 米が難民救済を全面中止


●UNRWAへの資金停止
 米帝トランプは、中東・パレスチナへの新たな侵略戦争政策を展開している。8月31日、米国務省は国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金拠出を全面的に中止するとの声明を発表した。
 米帝はこれまでUNRWAの最大の拠出国として総予算11億㌦(約1220億円)の3分の1を負担してきた。これは本質的にはパレスチナ自治政府にさまざまな政治的圧力をかけ解放闘争を圧殺する手段だったが、他方では530万人のパレスチナ難民の生活を維持するために重要な財源でもあった。
 パレスチナ難民とは、第2次大戦後の米帝による中東支配の軍事的拠点としてイスラエルが1948年に建国されて以来、イスラエル軍によって居住地を追われたパレスチナ人とその子孫のことだ。67年の第3次中東戦争でイスラエルが支配地域を拡大すると難民の数はさらに増加した。これらの難民はパレスチナに帰還する当然の権利を持つにもかかわらず、米帝とイスラエルによって拒否され、一貫して抹殺の対象とされてきた。
●人民の虐殺に等しい攻撃
 米帝の資金が拠出停止になれば、今でさえ生きるのにぎりぎりであるパレスチナ難民の生活はあらゆる面で崩壊する。食料や医療の供給、教育、行政などの活動のすべてが困難になり、パレスチナ難民は生存の危機に直面する。特に教育と医療の面での影響は深刻だ。これは米帝によるパレスチナ難民の抹殺・虐殺攻撃であり、パレスチナからの追放攻撃なのだ。
 米帝がこのような非人道的な措置を打ち出したのは、直接には米帝が難民認定者をイスラエル建国当時の難民に限るように求めたにもかかわらず、UNRWAがそれを受け入れずイスラエル建国後に生まれた難民の子孫も難民と認定していることに制裁を科すためとされている。
 だがそれは口実に過ぎず、米帝の真の狙いはエルサレムをイスラエルの首都とする措置をパレスチナ自治政府に認めさせ、それを前提としてイスラエルとパレスチナ自治政府の和平交渉をイスラエルに圧倒的に有利な形で再開させるために、難民救済事業への支援を停止して自治政府に圧力をかけることだ。
●中間選挙を控えての措置
 米帝トランプのこの非人道的措置は中間選挙を控えて、イスラエルを熱烈に支持する国内のキリスト教福音派を取り込むために打ち出された。トランプは、労働者階級の反乱と支配階級内部の分裂で統治の危機に直面している。中間選挙に勝つために米国内政治において大きな発言力をもち、トランプの重要な支持層で巨大な資金源ともなっているキリスト教右派勢力に迎合し、取り込むためにパレスチナ人民の命を犠牲にしようとしているのだ。
●人民の怒りの爆発は必至
 このようなトランプのパレスチナ人民追放・抹殺政策にパレスチナ人民は激しく怒っている。それはイスラエルのパレスチナ支配をさらなる危機に直面させ、米帝とイスラエルを新たなパレスチナ侵略戦争に駆り立てる。それは中東全体への米帝の新たな侵略戦争政策を激化させるものとなる。
 だが同時にそれは必ず米帝トランプの世界戦争政策に反対し、プロレタリア革命によってこの危機を根本的に突破しようとする米労働者階級の革命的決起をもたらす。
 今日、東アジアと中東におけるトランプの侵略戦争政策に対して危機感を強める米労働者階級は、日本・韓国・パレスチナの闘う労働者人民との国際連帯の力で戦争を阻止する闘いに必ずや決起するであろう。

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