労働委が改憲の手先に転落 国鉄解雇撤回闘争 結審叫ぶ千葉県労委と激突

週刊『前進』04頁(2973号02面02)(2018/09/17)


労働委が改憲の手先に転落
 国鉄解雇撤回闘争
 結審叫ぶ千葉県労委と激突

(写真 動労千葉争議団の高石正博さん【前列左】、中村仁さん【前列右】、動労総連合1047協議会代表の小玉忠憲さん【前列中央】を先頭に千葉県労委に対して拳を挙げた【9月10日】)

事実調べの拒否に激しい怒りが爆発

 国鉄1047名の解雇撤回を求めて動労総連合が申し立てた事件の第2回調査が9月10日、千葉県労働委員会で行われた。事実調べもせずに結審すると通告してきた労働委員会との大激突になった。
 前回の調査で、審査を担当する村上典子公益委員は、「最高裁の判例に反する命令を出すことはできない」と言い、申し立てを切り捨てる姿勢をあらわにした。今回の調査で動労総連合の弁護団は、これを徹底批判する論陣を張った。だが、その陳述も聞かずに村上委員は「証人調べの必要はない。公益委員会議で合議し結論を出す」と言い始めた。すかさず弁護団は村上委員への忌避をたたきつけた。にもかかわらず村上委員は「10月か11月には結論を出す」と言い募った。
 これに対し動労総連合1047協議会の小玉忠憲代表が、「あなた方の態度はまったくおかしい。私は30年以上、命がけで解雇と闘ってきた。証人調べを行え」と怒りを突きつけた。動労総連合の田中康宏委員長も「これは労働委員会の自殺行為だ」と弾劾した。審問廷の怒りを背に、委員は逃げるように退席した。
 調査に先立ち、国鉄闘争全国運動は解雇撤回の命令を求める署名6032筆を千葉県労委に提出した。そこに込められた労働者の思いを県労委は公然と踏みにじった。調査後の総括集会で動労総連合と支援は、この反動を打破し、解雇撤回をかちとる決意を固めた。

暴かれた民営化の真実を闇に隠すな

 国鉄解雇撤回闘争はこれまで、国労の事件で2003年に出された最高裁反動判決の壁に直面してきた。それは、①国鉄がJR採用候補者名簿を作成し、②JR設立委員会がその名簿からJRの職員を決める、と定めた国鉄改革法を盾に、「国鉄とJRは別法人」「国鉄がJR採用候補者名簿の作成に際し不当労働行為をしたとしても、その責任をJRは負わない」としたものだった。だが動労総連合は、この反動判決を覆す事実をついにつかんだ。
 採用候補者名簿から動労千葉組合員や小玉さんの名前を削るために作られた不採用基準は、JR設立委員会委員長の斎藤英四郎(当時、経団連会長)が策定を命じ、設立委員会の会合で正式に決定された。設立委員会の不当労働行為はJRの不当労働行為だ。動労総連合の千葉県労委への申し立ては、新たに判明したこの事実に基づいている。
 国鉄を引き継ぐとされた鉄建公団(現鉄道運輸機構)を相手にした裁判で、動労千葉は2015年6月に「不採用基準は不当労働行為」という最高裁決定をもぎりとった。この最高裁決定と、不採用基準がJR設立委員会によって作られた事実を重ねれば、不当労働行為による解雇を撤回する責任がJRにあることは明白だ。国鉄闘争はここまでJRを追い詰めたのだ。
 しかし千葉県労委は事実調べを拒否し、ついに明るみに出された国鉄分割・民営化の真実を再び闇に封じ込めようとしている。
 国鉄分割・民営化による20万人の国鉄労働者の解雇は、2千万人が非正規職にされた今の社会の出発点になった。分割・民営化当時の首相の中曽根康弘は、労組をつぶし改憲に進むと公言した。それを阻んできたのが国鉄闘争だ。今また安倍は、JR東労組の解体を手始めに「労働組合のない社会」をつくって改憲を強行しようと狙っている。
 かつては「JRに不当労働行為の責任がある」「被解雇者をJRに戻せ」という命令を出した労働委員会が、今は労働者の団結権を率先して踏みにじる改憲の手先に成り下がった。そこには明らかに国家権力中枢の意思が働いている。これは全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への弾圧と同様、安倍による労組解体攻撃の一環だ。
 労働委員会による門前払いの決定を許すな! 労働委員会は事実調べを行え!
 この反動をあらゆる力を集めて覆し、国鉄1047名解雇撤回を改憲阻止闘争そのものとして闘おう。
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