豊洲移転は止められる 仲卸と団結し築地解体を阻もう

週刊『前進』04頁(2979号04面01)(2018/10/08)


豊洲移転は止められる
 仲卸と団結し築地解体を阻もう


 小池百合子都知事が強権的で無法きわまるやり方で進める築地中央卸売市場の廃止と豊洲移転は絶対に止められる。移転強行と築地解体を許さない闘いはこれからが本番だ。絶対反対を貫いて闘えば勝てる! 「営業権と暖簾(のれん)」を武器に築地にとどまり営業を続ける仲卸の闘い、そして失業・解雇を許さず団結権を守りぬく労働組合の決起が勝利の鍵を握る。小池も安倍も打倒し、築地を守りぬこう。

食の安全と命を脅かす豊洲市場

 「豊洲は安全・安心」という小池の大うそは完全に破綻した。汚染された地下水が噴出する市場など、世界中のどこにあるのか。「土壌汚染の摂取経路がなく、健康被害の生じるおそれがない」という都の主張は根本から崩れた。この一点で豊洲移転は今すぐ中止する以外にない。
 豊洲市場はそこで労働者が生き、働くことが考えられていない。食の安全は根本から破壊される。
 東京湾を埋め立てた軟弱な地盤は建物の重みで沈下しており、開業前の今ですら11カ所もの段差が見つかった。豊洲開業後、建物が傾く危険も十分にある。日建設計が設計した建築物は、1階柱脚の鉄量不足と構造計算における数値のごまかしのため、建築基準法が定めた最低限の耐震基準すら満たしていない。今後30年以内に70%の確率で見舞われるとされる首都直下型地震で液状化も起こる。建物が倒壊すれば労働者も買い出し客も下敷きになる。違法建築物をただちに使用禁止にせよ。

卸売市場の廃止で大資本が支配

 仲卸や物流など出入りの業者が指摘しているように、豊洲市場は市場としての機能をまったく果たせない。駐車場の不足や大渋滞など、10月11日開場前夜から矛盾が爆発し、大破綻に陥ることは不可避だ。
 茶屋制度(市場内のいろいろな場所で買った品物を1カ所にまとめ、一時的に管理する仕組み)が廃止され、茶屋で働く仲間の仕事が奪われる。江戸時代以来続く市場の伝統がぶち壊されようとしている。
 流通の独占的支配を狙う大資本のために、卸売市場という制度そのものの廃止が狙われている。事実上の卸売市場法廃止ともいえる法改悪が安倍政権のもとで昨年強行されたのはそのためだ。豊洲はその「実験場」とされる。莫大(ばくだい)な赤字を口実に中央卸売市場の民営化も狙われている。こんなことを許してはならない。83年にわたる先人の血のにじむ努力と団結で培ってきた築地市場を絶対に守りぬこう。

武器となるのは営業権と団結権

 小池は豊洲市場を開業した上で、「18日以降築地を工事関係者以外立ち入り禁止にし、電気・水道などのライフラインを停止し、解体工事を始める」と明言した。だが、仲卸が営業権と暖簾を武器に築地にとどまって不屈に営業を続け、「電気・水道を止め、残置物の処理を都に任せること」への同意書に署名捺印(なついん)をしていない以上、それはすべて、財産権を保障した憲法29条に違反する行為だ。
 営業権に関して都は「移転に伴う経済的損失は受忍限度内」だと主張している。受忍限度とは「我慢できるほどのわずかな損失」という意味だが、被害を与えた側が被害を受けた側に「我慢できる限度だ」と一方的に断定できるはずがない。これが許されるなら加害行為というものは存在しなくなる。これほどの暴論をひねり出さざるを得ないほど追い詰められている。
 9月7日の会見で小池は、「築地市場を今回、移転をする……結果、築地での施設の使用許可が取り消されるといった制限が生じることは想定され得る」「判例上も、そのような立場に立っている」と述べた。これもなんの根拠もないぺてんである。かつて千葉市が中央卸売市場の移転の際に千葉青果に残置物と使用許可取り消しの損失補償を支払い、それが適法であったという東京高裁判決(1991年7月30日)もある。築地事業者には知事による使用許可と暖簾に基づく営業権があり、損失補償なしに使用許可取り消しや残置物の廃棄はできないのだ。
 一切の脅しと屈服強要をはね返して闘う仲卸とどこまでも連帯して立ち上がろう。築地で働く労働者への解雇・失業も迫っている。労働者には労働組合を結成・加入して団結する権利がある。築地のすべての労働者は労働組合に団結して移転強行を阻止し、11・4労働者集会を共に闘おう。
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