裁量労働制の拡大阻止! 安倍・経団連の手先=連合倒そう

週刊『前進』02頁(2980号02面02)(2018/10/11)


裁量労働制の拡大阻止!
 安倍・経団連の手先=連合倒そう

(写真 6月14日、「働き方改革」法案成立阻止へ国会闘争)

 安倍政権は裁量労働制の対象業務拡大に向けた新たな動きを開始した。9月20日、厚生労働省の有識者会議は第1回検討会を開き、制度の実態調査の方法について議論を始めた。厚労省は調査の結果を得た上で、労働政策審議会で法案策定の議論を始める方針だ。過労死させられた労働者の遺族がみな絶対にやめてほしいと訴えているにもかかわらずである。
 安倍政権はさらに、解雇自由の金銭解雇制、労働者であること自体を否定し労働者の権利を一掃する「雇用類似の働き方」と称する個人請負型の就業形態の普及・拡大まで狙っている。安倍の「働き方改革」は改憲・戦争と一体の攻撃だ。

過労死もたらす長時間労働強制

 実際の労働時間ではなくあらかじめ決めた一定時間を働いたとみなす裁量労働制は撤廃あるのみだ。労働者が「自由な裁量で働ける」などうそだ。すでに多くの労働者が殺されている。大手電気メーカーで過労死したエンジニアの遺族は、当時の上司から「お宅の場合は、労災、過労死ではない。裁量労働だったからね」と言われた。会社の賃金支払い義務も労働時間管理も労働災害への責任もすべて免除し、みなし時間の設定次第で最低賃金以下にもでき、どれだけ残業させても会社は1円も払わなくてよい制度である。
 政府はその裁量労働制の「企画業務型」に、新たに「法人を相手に営業を行う人」「品質管理など管理的な業務を行う人」を盛り込むことを狙う。なんと「最低賃金や契約社員で働く労働者にも適用可能」だと明示した(2月6日閣議)。とてつもなく広範囲の労働者が無制限の長時間労働を強いられるようになる。
 今年6月29日に安倍政権は、残業代ゼロ・過労死促進の高度プロフェッショナル制度や月100時間残業を合法化する労働基準法改悪、「同一労働同一賃金」による評価制度導入、総非正規職化などを盛り込んだ「働き方改革」法を強行成立させた。だが厚労省が意図的にでっち上げたうそのデータに基づいて安倍が「裁量労働制で働く方の労働時間の長さは一般労働者の平均よりも短い」(1月29日)と国会で答弁し、これに過労死遺族と労働者人民の怒りが爆発し、裁量労働制拡大は削除に追い込まれた。

三菱電機の労災は裁量制が原因

 経団連の中西宏明会長は「裁量労働制の対象拡大については法案の早期の再提出を期待する」とコメントした。その経団連の副会長が三菱電機の山西健一郎元社長(現特別顧問)である。三菱電機では裁量労働制を適用されていた40代の男性社員3人が精神疾患や脳疾患を発症し、2015〜17年に労災認定されていた(うち1人は過労自殺)。若手のため裁量労働制を適用されていなかったが、当時20代の社員も12年に過労自殺した(後に労災認定)。
 同社は研究開発や企画を担当する社員を対象に04年から裁量労働制を導入、全社員約3万人のうち約1万人に適用されていた。そして14〜17年に5人が長時間労働により労災認定された。同社は今年3月に裁量労働制を全廃した。厚労省関係者は「裁量労働制では労働時間管理ができないと公言したに等しい」と指摘する。裁量労働制拡大が新たな過労死を大量にもたらすことは明白だ。

職場に闘う労組をつくり出そう

 絶対に許せないのは安倍、経団連と共に「働き方改革」を推進してきた連合である。昨年3月に連合は、「働き方」法案の基となった「働き方改革実行計画」に合意し、裁量労働制の拡大を推進してきた。職場の労働者を殺してきたのは資本と結託する御用組合だ。11・4労働者集会1万人結集に労働者の未来がかかっている。安倍とともに資本の手先、連合を倒し、裁量労働制撤廃へ闘おう。
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