死ぬまで働けというのか! 安倍が「働き方改革」の第2弾年金70歳まで遅らせ就労強制

週刊『前進』04頁(2985号02面01)(2018/10/29)


死ぬまで働けというのか!
 安倍が「働き方改革」の第2弾年金70歳まで遅らせ就労強制


 安倍政権は改憲案の国会提出を狙うと共に、働き方改革の第2弾として「雇用改革の断行」を掲げ、未来投資会議で基本方針を示した(表参照)。その柱は「全世代型社会保障」と称して高齢者の社会保障を切り捨て、年金支給を最大70歳超にまで遅らせて死ぬまで働かせることだ。さらに新卒一括採用の見直しと評価制度の徹底による終身雇用制の解体、人工知能(AI)・ロボット化と外国人労働者の活用拡大を打ち出した。すべてが労働者に対する階級戦争だ。

「全世代型」掲げ年金破壊

 安倍は10月24日、臨時国会での所信表明演説で、今後3年をかけて「社会保障制度を全世代型にする」と宣言した。
 すでに安倍政権は5日、未来投資会議を再開した。アベノミクスの大破綻で行き詰まった成長戦略の打開をかけたものだ。安倍を議長に、麻生太郎財務相など関係閣僚と経団連の中西宏明会長や竹中平蔵東洋大教授、連合の神津里季生会長らが加わる。安倍・麻生らと共に巨大資本やその手先たちが列席するおぞましいばかりの会議だ。
 5日の会議で、経済産業相・世耕弘成は「雇用・社会保障の一体改革」として「生涯現役社会に向けた政策提言」を示した。厚生労働省は10日、社会保障審議会で年金制度を見直す議論を始めた。そこでは「長生きに対応する自助努力の促進」まで主張されている。22日の未来投資会議で、厚労相・根本匠は「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」の立ち上げを報告した。
 国を挙げて社会保障制度と雇用の破壊を進めることで、女性労働者、障害者と共に、高齢者の駆り出しと外国人労働者の活用拡大を図る。それは消費税増税と共に、労働者階級を極限まで搾取・収奪しようとするものだ。病気・介護予防策も、労働者の健康のためではなく、高齢者の雇用継続年齢の延長の観点からのものでしかない。
 「入社してから何年」という年功要素によらない、成果主義の評価・賃金制度を促すことが議論されている。終身雇用制の解体とは総非正規職化であり、人事評価に基づく賃金制度への転換は低賃金・貧困化をさらに進める。労働者の誇りと団結を奪い、闘いを押し潰す。「労働組合のない社会」にして死ぬまで働かせようとする、むき出しの「賃金奴隷制」だ。
 安倍は「人生100年時代」と言い出した。労働者の人生、命のすべてを国家と資本のために差し出せということだ。

外国人労働者の活用拡大

 所信表明で安倍は「深刻な人材不足に対応するため就労を目的とした新しい在留資格を創設し即戦力となる外国人材を受け入れる」と強調し、「出入国在留管理庁」を新設して「監督に万全を期す」と述べた。
 昨年10月末時点で、在留資格を持つ外国人労働者は128万人に迫った。これに新たに入管法(出入国管理及び難民認定法)を改悪して、50万人の外国人労働者を最長5年の在留期限で非正規職として雇い、入管当局による徹底的な監視と「強制送還」の脅しの下で働かせようというのだ。安倍はあらゆる場で「いわゆる移民政策をとる考えはない」と強調している。日本に定住して家族と共に生きることを許さず、あくまで「解雇自由」の労働力、使い捨てのモノとして扱おうとしているのだ。
 政府は技能実習3年を終えた外国人労働者や、一定の技能水準と日本語能力を身につけた労働者を対象に、新たな在留資格の来年4月導入を目指している。未来投資会議は、外国人労働者の地方活用の議論も始めた。

労働組合の正面課題だ!

 安倍は「この1年で生涯現役時代にふさわしい雇用制度を構築し、次の2年で医療・年金など社会保障制度全般にわたる抜本改革を進める」と公言している。未来投資会議で方向を定め、来年中に労資が参加する労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)で詰めて、2020年に高年齢者雇用安定法改悪案の国会提出をめざすとしている。改憲と完全にひとつであり、労働者は未来をかけて立ち上がる時が来た。
 米帝トランプを放火者とする貿易戦争、世界戦争の危機が激化している。人口減と労働力不足、財政破滅の切迫という絶対的危機が日帝の根幹を揺るがしている。安倍は労働者への攻撃にすべてをかけようとしている。そのための改憲・戦争と労働大改悪、社会保障破壊と労働組合解体への突進だ。今秋臨時国会は、改憲案提出阻止・国民投票法粉砕の闘いと共に、雇用・社会保障破壊と入管法改悪を阻止する闘いが最大の焦点となった。
 動労千葉の闘いは全労働者の怒りを解き放つ最先端の闘いだ。JR東日本は今年度からエルダー(60歳定年後の再雇用)でも運転士として働く制度を設けたが、勤務は軽減しない。乗務員制度改悪は労働条件を一層劣悪なものにする。動労千葉の田中康宏委員長は「これで65歳まで働けるのか。安全が守れるのか」「動労千葉が闘いに立てば労働者が職場から声を上げられる状況は必ず生まれる」と訴えている。
 合同・一般労働組合全国協議会傘下の全国各地のユニオンに、闘いを求めて多くの外国人労働者が結集している。安倍の攻撃を打ち破る最大の力こそ、国籍・国境を越えた階級的労働運動の躍進だ。入管体制・治安弾圧の強化は、革命に対する日帝の恐怖の表明以外の何ものでもない。
 すべてはストライキで闘う労働組合の再生にかかっている。未来投資会議には連合・神津会長が参加し、昨年3月に合意した「働き方改革実行計画」をベースに議論が進められている。現場労働者の怒りを爆発させて、安倍と手を組む連合本部を打倒しよう。11・4全国労働者集会に総結集し階級的労働運動と国際連帯の力で歴史を変えよう。

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未来投資会議「成長戦略の方向性」
●労働生産性の引き上げが最重要課題。20  20年に高年齢者雇用安定法改正案の国会 提出をめざす
①第4次産業革命
 ・AI(人工知能)、ロボットなど
②全世代型社会保障―雇用改革
 ・生涯現役社会の実現―継続雇用を70歳に延ばし、社会保障費も抑制
 ・新卒一括採用の見直し、中途採用の拡大、労働移動の円滑化―雇用慣行・終身雇用制度の見直し
 ・年功要素によらない実力主義の評価・
  賃金制度を持つ企業を増やす
③地方施策の強化―外国人労働力の活用

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