台湾で特急脱線事故 片手間乗務で安全破壊 JRの攻撃が行き着く先示す

週刊『前進』02頁(2986号02面01)(2018/11/01)


台湾で特急脱線事故
 片手間乗務で安全破壊
 JRの攻撃が行き着く先示す

(写真 事故現場に猛スピードで突っ込んだ特急列車の車両は脱線し、くの字型に折り重なった【10月21日 台湾・宜蘭県】)

故障車両で運行を継続

 台湾の宜蘭(イーラン)県で10月21日に起きた特急列車の脱線事故は、18人が死亡し200人以上が負傷する大惨事になった。事故を起こした「プユマ号」は、新馬(シンマ)駅手前の急カーブに制限速度を大幅に上回る猛スピードで突っ込んだ。8両編成のすべてが脱線し、先頭から5両目までは横転して大破した。事故のすさまじさは、JR西日本が2005年4月に引き起こした尼崎事故を思わせる。
 この事故は、安全より運行を優先させる台湾鉄路管理局(台湾国鉄)の施策が引き起こしたものだ。同時にそれは、JR東日本が強行しようとしている乗務員勤務制度改悪の危険性をも突き出している。
 詳しい事故原因は調査中だが、台湾の報道機関が暴露した運転士と指令との交信記録によれば、事故に至る経緯は次のようなものだったと思われる。
 事故列車は突然の停止と発車を繰り返し、15分程度の遅れを出していた。運転士は「ブレーキの空気圧が足りない」「動力が入ったり入らなかったりする」と車両の異常を何度も指令に報告した。だが指令は、走行しながら機器をチェックするよう運転士に指示し続けた。運転士は特急停車駅ではない頭城(トウチェン)駅で列車を止め車両を検査することを求めたが、それも握りつぶされた。
 特急停車駅の宜蘭で検査係が列車に乗り込み検査したが、台鉄当局の発表では、その時点で異常は確認されなかったという。指令は、事故現場よりはるかに先の花蓮(フワリエン)駅で車両を交換すると運転士に通告し、宜蘭駅を発車させた。
 その後も車両の異常は収まらず、運転士は頻繁に指令と交信しながら運転を続けた。事故発生の4分前、運転士は「ATP(自動列車防護装置)のスイッチを切ったら速度が回復した」と指令に報告し、指令もそれを了承した。その状態で指令は、運転席後方にある回路遮断器の操作を運転士に指示した。運転士の注意は前方からそがれ、列車は減速することなく事故現場の急カーブに突進し、脱線・横転して大破した。
 この経緯は、運転士も指令もともに車両の異常を把握していながら、博多から名古屋まで運行を続けた昨年12月の新幹線台車亀裂事故とも酷似している。

人員削減で事故が続発

 台鉄当局は、事故の責任のすべてを運転士になすりつけるため、「車両に故障はなかった」「運転士が独断でATPを切り、その報告も指令にはなかった」「事故原因は速度超過がすべて」と発表した。
 これに対し、台湾鉄路工会(労働組合)は24日、この事故について「保線員などの人員が不足していた上、増便のため安全検査の時間も短縮されていた」とする声明を出した。
 台鉄当局の圧力に屈せずマスコミの取材に応じた台鉄の労働者は、「車両の故障は日常茶飯事」「ブレーキの空気圧異常から動力の異常が起きる事態は、私も経験したことがある」と語っている。列車が10分以上遅れると「報告書」を提出しなければならないことがプレッシャーになっているとその運転士は指摘する。
 列車が遅れた場合、ATPを切って回復運転することが常態化していたという報道もある。
 台鉄では2016~17年に25件の脱線事故が起き、保線の人員も08年と比べて2~3割も減らされている。こうした安全無視が、この大惨事を引き起こしたのだ。

乗務員勤務制度の改悪を絶対に阻止しよう!

 事故列車の当該運転士は運行部門の副主任で、通常は内勤してシフト管理を担当していたが、土日だけ応援として乗務していたと報じられている。
 だとすればそれは、JR東日本が来年3月のダイヤ改定で強行しようとしている乗務員勤務制度の改悪とまったく同じだ。JRは支社課員や当直、指導員ら管理職を、週3回程度、短時間行路に乗務させるという。これが何をもたらすかを、台湾の鉄道事故は事実によって示したのだ。
 事故車両は、直ちに運転を中止しなければならないほど異常な状態だった。だが、現場管理者でもある運転士には運行を最優先する意識が強く働き、指令の指示に逆らえなかったと思われる。だから、管理職に片手間で乗務させるJRの乗務員勤務制度改悪を、絶対に許してはならないのだ。
 事故を起こした車両は、JR東海の子会社の日本車両によって製造された最新式の振り子電車だ。日本車両はアメリカの鉄道事業で大損失を出している。その日本車両が造った車両に構造的欠陥があったとすれば、同社の経営はさらに圧迫される。ひいてはそれは、JR東海が強行するリニア新幹線の建設にも影響しかねない。だから安倍政権と資本は、マスコミに報道管制を敷き、事故原因を覆い隠すことに躍起になっている。断じて許せない。
 動労千葉は乗務員勤務制度改悪阻止へ、3月ダイヤ改定を焦点にストライキ態勢を堅持している。動労水戸は常磐線特急の車掌1人乗務化と水郡線ワンマン運転拡大に反対するストライキを貫徹し、乗務員勤務制度改悪阻止の突破口を切り開いた。決戦はこれからだ。11・4日比谷への大結集を実現し、来年3月に至る大闘争で、乗務員勤務制度改悪を粉砕しよう。

このエントリーをはてなブックマークに追加