解雇者が怒りの籠城 動労千葉訪韓団が争議激励

週刊『前進』04頁(2991号02面01)(2018/11/19)


解雇者が怒りの籠城
 動労千葉訪韓団が争議激励


 ソウルで11・10民主労総労働者大会に参加した動労千葉訪韓団は11月11、12日、ファインテック高空籠城(ろうじょう)闘争、公務員労組、全教組、旭非正規職支会の闘争現場を訪問した。

金属労組ファインテック支会
 1年にも及ぶ高空籠城

(写真 75㍍上の煙突上部で1年もの籠城をし続けるファインテック組合員を動労千葉訪韓団は大声で激励した【11月11日 ソウル市木洞】)

(写真 地上からの声に応え手を振る高空籠城中の組合員。動労千葉訪韓団が帰るまでずっと手を振り見送ってくれた)

 11日、動労千葉訪韓団は、民主労総ソウル地域本部の案内で金属労組忠南支部ファインテック支会の高空籠城闘争の現場(ソウル市木洞)を訪問した。
 高さ75㍍もの発電所の煙突の頂上で、パクチュノ組合員とホンギタク組合員が昨年11月12日から籠城している。煙突の真下でチャガンホ支会長が訪韓団を迎えてくれた。
 ファインテック労働者は、これまで2回も会社が変わった。前身のスターケミカルでは408日間の籠城闘争で復職。だが後継のファインテック社は、支会がパククネ退陣情勢でストに入ると、その間に工場の機械を引き払ってしまった。支会は「雇用、労働組合、団体協約の継承」を求めて籠城闘争に突入した。
 チャガンホさんは「私たちが工場に戻れても同じことがまた起こる。だから労働悪法廃棄、ヘル(地獄)朝鮮の根源である守旧政党、国家情報院、独占財閥の解体のスローガンを掲げて闘っている」と語った。
 裁判所は支会に対し1日あたり100万㌆の損害賠償請求を決定している。「なぜ高空籠城しているのか理解もせず罰金だけを押し付ける。これが今の韓国社会の現実だ。高空籠城している労働者は絶対に降りないと決意を固めている」と力強く述べた。
 動労千葉の田中康宏委員長が「私たちも31年間、解雇撤回闘争を闘ってきた。皆さんが労働積弊清算やヘル朝鮮という現実を変えようと闘っていることに敬意を表します。日本で闘う労働運動をつくりあげます」と決意を表明。
 一同が煙突の頂上に向かって「共に闘おう!」と叫ぶと、頂上から手を振り応える組合員。地上から歓声で応え、ファインテック支会と心を一つにした。

公務員労組
 136人を職場に戻せ



 訪韓団は11日、高空籠城現場訪問の後、公務員労組の解雇者復職闘争の籠城テントを訪問した。(写真
 青瓦台(大統領官邸)の直近に構えるテントでの籠城は90日が経過した。公務員解雇者の仲間たちが出迎えてくれ、日本の11月労働者集会に参加したことがあるノミョンウさんが復職の展望を語ってくれた。
 公務員解雇者を復職させると約束して生まれたムンジェイン政権はいまだにその約束を放置している。なかには解雇撤回で15年闘っている労働者もいて、定年を迎えた仲間もいるという。しかし解雇者136人が一緒に闘ってきた。
 翌日、労働者代表と政府・行政の代表の復職をめぐる交渉が始まる。「闘いによって政府を交渉のテーブルに引き出した。現場に戻ることができれば、動労千葉の同志たちにもいい知らせを伝えることができる」。復職への展望を切り開く公務員労組の闘いに訪韓団一同が大きな拍手。
 日本からは京都府職労舞鶴支部の長岡達也さんが、「日本でも公務員労働者は民営化・非正規職化との闘いが続いている。私の同僚も解雇撤回闘争を闘っています。民主労総に学んで闘い、必ずみなさんと共に解雇撤回をかちとります」と決意を語った。

全教組
 法外労組即時撤回しろ

 12日、訪韓団の改憲・戦争阻止!横須賀実行委員会の教育労働者らが、青瓦台直近で籠城テントを構える全教組(全国教職員労働組合)を訪問した。(写真
 全教組は解雇者を組合員に抱えているという理由で法外労組認定されている。ムンジェイン政権は全教組の法外労組認定を解除することを約束していたが、それは守られていない。全教組は「法外労組源泉無効」「解職教師原職復帰!」「青瓦台は決断しろ!」を掲げて、この間、チョチャンイク委員長が決死のハンガーストライキを闘いぬいた。
 首席副委員長のパクオクチュさんが訪韓団を迎えてくれ、テント内で交流を深めた。
 神奈川の教育労働者が改憲阻止・安倍打倒へ全力で闘っていること、戦争教育、過重労働、非正規職化の問題などを訴え、「私たち教育労働者はすべての労働者と連帯して生活と仲間、教育と子どもの未来を守るために闘います。時代の礎となって共にがんばりましょう」と決意を表明。
 パクオクチュさんも「韓国の教員・市民、日本の教員・市民が意思疎通をはかって平和運動を進めていくことが必要です。連帯していきましょう」と応え、教育労働者の戦争絶対反対の思いを共有した。

旭支会籠城場を訪問
 支援共闘 工場正門前で交流
 日韓共同闘争で勝利誓う



(写真 籠城場前で民主労総金属労組旭非正規職支会の組合員と共に「AGC島村社長は犯罪人」の横断幕を広げる動労千葉訪韓団【11月11日 亀尾市】)

 11日、動労千葉訪韓団として参加した旭非正規職支会支援共闘会議の清水彰二事務局長、港合同昌一金属支部の木下浩平委員長を始めとする10人が、亀尾(クミ)市にある旭支会の籠城場を訪問した。
 AGCファインテクノ韓国の正門前にあり、巨大スピーカーが設置され、昼休みには工場内の労働者に届けとばかりに巨大音量で労働歌が流れる。
 鉄骨で組まれた屋根は金属板、床はオンドルで暖かく、電気はLED。初めて籠城場を作った時、AGCの意を汲んだクミ市が700人でテントを強制撤去! これに猛然と抗議し、市に420万㌆の損害賠償金を払わせ、二度と壊されないように強固に建設した自慢の籠城場なのだ。
 この日はチャホノ支会長の46歳の誕生日。籠城場前の路上で車座になっての交流会は、誕生日祝いから始まった。東京西部ユニオンの青年労働者は、日本の11月労働者集会で「旭硝子の仲間たちの闘いを集会参加者に紹介したいと思って、全国の青年労働者で『野の花』を題材にした劇をやりました。旭支会のように労働組合をつくって人間らしく生きることが日本の青年労働者に一番必要なことだと思ったからです」と報告。旭支会と連帯し、共同闘争を闘うことが、旭闘争の勝利はもちろん、日本で階級的に闘う労働組合をよみがえらすことであると確信していると訴えた。
 旭支会の組合員は口々に直面している問題として家族の理解を得ること、金がないことを語ったが、だからこそ「諦めない、負けないという心で勝つまで闘う」と断言した。

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