国鉄解雇撤回へ新訴訟 団結破壊と闘い1・22千葉地裁へ

週刊『前進』02頁(3003号01面02)(2019/01/17)


国鉄解雇撤回へ新訴訟
 団結破壊と闘い1・22千葉地裁へ


 国鉄分割・民営化に際して強行された労働者の解雇の撤回を求める闘いは、新たな局面に入った。千葉県労働委員会による公益委員の忌避却下決定の取り消しを求め、動労総連合が起こした行政訴訟の第1回口頭弁論が1月22日、千葉地裁で行われる。この裁判は、労働基本権の解体と対決する重要な闘いだ。
 動労総連合は昨年5月、国鉄1047名の解雇撤回を求めて千葉県労働委員会に申し立てた。しかし千葉県労委は、事実調べも拒否して結審を通告した。これに対し、動労総連合は審査を担当する村上典子公益委員の忌避を申し立てたが、それも却下された。
 今回行われる行政訴訟は、忌避申し立て却下決定の取り消しと、この裁判の判決が確定するまで、千葉県労委での審査を停止する仮の義務付けを求めて起こされた。

不当解雇の責任はJRにある!

 この裁判には動労総連合の代理人として47人の弁護士が名を連ね、それはさらに拡大しようとしている。そこには、「働き方改革」で労働者の団結と権利の侵害が激しく進行していることへの危機感がある。
 動労千葉は、国鉄を引き継ぐとされた鉄建公団(現鉄道運輸機構)を相手にした裁判で、動労千葉組合員をJR採用候補者名簿から削除するために作られた「不採用基準」が不当労働行為であることを、2015年6月の最高裁決定で確定させた。
 さらに動労千葉―動労総連合は、その「不採用基準」がJR設立委員によって作られたという事実をつかんだ。動労総連合の千葉県労委への申し立ては、新たに判明したこの事実をもとに行われた。
 それは、国鉄労働者の解雇撤回・JR復帰を阻んできたこれまでの最高裁反動判決の枠組みを根本から打ち砕くものだった。
 国鉄改革法はJRの職員採用の手続きを、①国鉄がJR採用候補者名簿を作成し、②その名簿の中からJR設立委員が採用者を決定する、という2段階に切断した。これを盾に、最高裁はこれまで、採用候補者名簿の作成に際し不当労働行為が行われたとしても、その責任は国鉄にあってJRにはないと決め付ける反動判決を下してきた。
 だが、「不採用基準」を決定し、それに基づきJR採用候補者名簿から動労総連合組合員を排除するよう指示したのは、JR設立委員長の斎藤英四郎(当時、経団連会長)だったのだ。
 国鉄分割・民営化の枠組みを定めた国鉄改革法には、「JR設立委員の行為はJRの行為」と明記されている。「不採用基準」の策定が不当労働行為であり、それが設立委員によって行われたのなら、それはとりもなおさずJRによる不当労働行為になる。

労働委員会自身が攻撃の手先に

 ところが千葉県労委はこの事実に向き合うことを拒んだ。そして、国鉄分割・民営化による解雇の真相を再び闇に封じ込めようとした。それは、労働者救済機関としての役割を放棄したというだけでなく、労働者の団結権を労働委員会制度もろとも破壊する暴挙だ。しかも、労働委員会自身がその攻撃の担い手に転落しているのだ。
 明らかにそこには、国家権力中枢の意思が働いている。これは、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への弾圧と並び、改憲に向けて労働組合を絶滅する安倍政権の攻撃そのものだ。

労組解体攻撃に総反撃の開始を

 同時にそこには、JR総連東労組さえつぶして「労働組合のない会社」にするというJR東日本の意図が貫かれている。
 JR東日本は「グループ経営ビジョン『変革2027』」を掲げ、これまでとは比べ物にならない規模とテンポで、鉄道業務の全面外注化に突き進んでいる。
 3月ダイヤ改定時に強行されようとしている乗務員勤務制度の改悪は、支社管理部門の社員に片手間で乗務を行わせるとともに、従来どおりの交番により勤務する乗務員に対しては極限的な労働強化を押し付けるものだ。
 その究極の目標は車掌はもとより運転士もなくしてしまうことにある。JR東日本は昨年末から今年始めにかけて、山手線電車の無人運転の試験を実施した。
 さらに、保線や電気・信号通信部門などメンテナンス業務の全面外注化が激しく進んでいる。吉祥寺駅に続き3月には秋葉原駅も丸ごと外注化される。
 鉄道業務のすべてを子会社に投げ出し、低賃金の非正規労働者に担わせる。しかも人員はまともに補充しない。これでは必ず事故が起きる。それでも構わないというのがJRの姿勢だ。
 こうしたでたらめなやり方を強行するために、JRは労働組合への施策の提案もせず、交渉もまともにやらず、労働組合そのものを解体する攻撃に突き進んでいる。だが、これに対する労働者の怒りは、まさに爆発しつつある。
 こうした状況だからこそ、動労総連合が国鉄分割・民営化による解雇の真実を暴き、それを追及し続けていることが重要だ。
 1月22日の行政訴訟で反撃に転じよう。国鉄闘争全国運動の2・10国鉄集会に集まろう。国鉄決戦を闘う中で、階級的な労働組合を取り戻そう。

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1・22千労委忌避申立却下取消し行訴
■1月22日(火)9時45分、千葉県労働委員会(千葉
 県庁南庁舎)前に結集後、千葉地裁に移動
■裁判 10時30分から千葉地裁601号大法廷
■裁判後 動労総連合総決起集会/千葉市文化センター(千葉市中央区中央2―5―1)
呼びかけ/国鉄闘争全国運動

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