東京五輪は直ちにやめろ 金まみれ、不正の実態明らかに

週刊『前進』04頁(3006号04面01)(2019/01/28)


東京五輪は直ちにやめろ
 金まみれ、不正の実態明らかに

JOC竹田会長を仏当局が捜査開始

 1月11日にフランスのル・モンド紙が、日本オリンピック・パラリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長に対して、東京オリンピック招致に絡む賄賂(わいろ)疑惑についてフランス当局が「予審」という捜査を開始したと報道した。
 物事の構図は、当時東京オリンピック招致委員会の理事長であった竹田が、招致のためにコンサルタント料として払った180万ユーロ(2億3000万円)が東京五輪招致のための賄賂=裏金であったという疑惑だ。2億3000万円の送り先はシンガポールのコンサルタント会社「ブラックタイディングス(BT)社」で、2013年9月の国際オリンピック委員会(IOC)の総会で東京五輪開催が決まる前と後に、それぞれ9500万円と1億3500万円が振り込まれた。後半は招致買収活動の成功報酬として支払われた。
 BT社の代表が親しくしているのが、国際陸上競技連盟のラミン・ディアク元会長の息子だ。ディアク親子は開催地投票に強い影響力をもっており、BT社を通じてディアク親子に金がわたり、その金がアフリカ票の獲得のための賄賂=裏金に使われた。IOCは、IOC委員のオリンピック・パラリンピック立候補都市への自由な訪問や個別接触を、買収などの不正につながるとして禁止している。だからこのような迂回(うかい)ルートがとられたのだ。
 BT社は前回のリオデジャネイロ五輪でも買収活動をしていたペーパーカンパニーで、その代表はすでに逮捕・起訴され有罪判決、ディアク親子についても親はフランスで逮捕され、子はインターポールを通じて国際指名手配中だ。
 1月15日に竹田が行った記者会見は、本人が7分間持論を述べ「潔白」を主張しただけで、参加した記者からの質問は一切受け付けずに終わった異様なものだった。
 日本とフランスの間に身柄引き渡しの条約がなく、竹田は逮捕を免れているが、国外に出ればその限りではない。現に、竹田は1月19日にスイスで行われたIOCのマーケティング委員会に自身が委員長であるにもかかわらず欠席した。
 別の機会に、竹田は電通の推薦でBT社に金を送ったことを話している。電通こそ、東京五輪のマーケティングを一手に支配する大独占資本だ。

オリンピック使い改憲・戦争ねらう

 東京五輪は、安倍が「福島第一原発の汚染水はコントロールされていて、健康被害はこれまでもこれからも起こらない」と大うそをついて招致した。「復興五輪」などと称して、実際にやっていることは、労働力と資材を東京の競技会場づくりに集中させることであり、福島県民への被曝と帰還の強制である。
 さらに、五輪のための道路を通すために築地市場から労働者を排除し、毒の土壌の上に立つ豊洲市場に移転させた。共謀罪の新設も入管法の改悪もオリンピックを理由に強行されているが、すべて、戦争に突き進む日本帝国主義の支配政策にほかならない。さらに、自衛隊を警備と称して動員するとしている。
 11万人にのぼるボランティアは、1人当たり10日間も拘束され、交通費・宿泊費・食事代は自腹で、代わりにわずか1000円のプリペイドカードが渡されるだけだ。国家の事業に国民を動員し、そのことに対価を支払わないで当然と開き直っている。
 今年5月1日の天皇代替わり、20年の新憲法施行を狙い、安倍政権がオリンピックで労働者人民の怒りを霧散させようとしている。オリンピックは改憲・戦争と一体で、支配階級が労働者階級人民を国家と大資本のために動員する大事業だ。
 マスコミを先頭に、東京五輪へ向けてアスリートたちを異様に持ち上げる報道が連日垂れ流され、改憲問題や労働者の貧困・非正規職化については後景化させられている。
 しかし、賄賂と不正・腐敗にまみれた実態を知り、「東京オリンピックは直ちにやめろ」の声が広がっている。竹田は明治天皇のひ孫であり、人民の怒りは天皇制にも向けられていく。
 安倍政権の改憲・戦争攻撃に対し、階級的労働運動と国際連帯で対決し、東京オリンピック粉砕をもって改憲を阻止しよう。
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