殺人的労働強化許すな JRダイヤ改定で長時間行路 動労千葉はストを構え反撃に

週刊『前進』04頁(3018号02面01)(2019/03/11)


殺人的労働強化許すな
 JRダイヤ改定で長時間行路
 動労千葉はストを構え反撃に


 JRは3月16日のダイヤ改定で、「労働組合のない社会」をつくる攻撃をさらに強め、鉄道業務の全面的な分社化と労働者への転籍強要に向けた攻撃に進もうとしている。このダイヤ改定で乗務員に強いられるのは、限度を超えた長時間行路と、命を奪うような極限的労働強化だ。これに対し動労千葉は3月15~16日、習志野運輸区を拠点にストライキを配置し、反撃に立つ構えだ。

「見極め試験」を完全粉砕

 JRダイヤ改定をめぐる攻防の緒戦で、動労千葉は千葉運輸区でエルダー(定年退職後の再雇用労働者)運転士に強制されていた「見極め試験」を完全に粉砕する勝利をかちとった。
 昨年秋以降、千葉運輸区では、定年退職を迎え、翌日からエルダーとして約半分の賃金で運転業務を継続する労働者に対し、見習い運転士に課せられているような「知悉(ちしつ)度試験」を行わせてきた。屈辱感を与えることだけを目的とした嫌がらせだ。
 動労千葉は、これを粉砕するために指名ストを構えた。2月末に定年を迎えた当該組合員は、怒りに燃えて千葉運輸区長を追及した。「40年働いてきて区長からの最後の〝プレゼント〟がこれか。こんなこと誰に言ってもおかしいと言うぞ。JR以外の人に聞いても、みんな『それはひどい』と言っている。しかも、退職日にやるというのは絶対に許せない」。この激しい怒りが、区長に「見極め試験」を断念させた。
 JR東日本は、JR東労組の解体を手始めにすべての労働組合をつぶし、「労組加入者には加入資格はない」と規約に定めた社友会を組織して、労働者を支配しようとしている。詰所や運転台に何台もの監視カメラを設置し、労働者をがんじがらめに縛り付けて、ものも言えない状態にしようとたくらんできた。
 だが、動労千葉がストを構え、当該組合員が決然と抗議の声を上げたことにより、JRのもくろみは打ち砕かれた。ダイヤ改定をめぐる攻防の緒戦で、大きな勝利が切り開かれたのだ。

安全は根本から壊される

 今回のダイヤ改定で、習志野運輸区では、泊り勤務で初日に津田沼―中野間を3往復した上、翌日さらに1往復する長時間行路が設定された。国鉄時代は、津田沼―中野間2往復が基本だった。国鉄分割・民営化以降、3往復の乗務が強いられ、今回のダイヤ改定でさらに1往復増やされるのだ。明けの日の1往復は、早朝のラッシュ時間帯だ。十分な睡眠もとらせずにラッシュ時の運転を強いるのは、安全破壊の極みだ。
 水戸支社管内では、朝7時台に出勤し、1日8~9時間も乗務して午後11時台に勤務を終え、さらに翌日も乗務する行路が作られた。労働者を人間とも思わない殺人的なやり方だ。
 JR東日本は昨年末から年初にかけて、山手線の自動運転試験を強行した。〝運転士などいなくても列車は動かせる。だから運転士に人間的な労働条件を保障する必要などない〟というのがJRの考えだ。
 ダイヤ改定とともに実施される乗務員勤務制度の改悪で、今後、支社課員などの管理職が、朝夕のラッシュ時に短時間行路に乗務することになる。管理職の業務はほぼ無限定だ。長時間残業で管理業務をこなした上、片手間で乗務に携わるのだ。これは、労働時間管理を実質的に撤廃する攻撃だ。そして、鉄道の安全は根本から破壊される。
 これが「働き方改革」の正体だ。ダイヤ改定阻止の闘いは、総非正規職化と労働時間規制の撤廃を狙う「働き方改革」を職場から打ち砕く決戦の始まりだ。

総非正規化を阻止しよう

 今あらゆる職場で、「正規と非正規の均衡待遇」を名目とした就業規則改悪などの攻撃が始まっている。それは、すべての労働者の処遇を非正規職に合わせ、労働者全体を超低賃金に追い込もうとするものだ。
 JR東日本の駅業務を請け負う子会社のJESS(JR東日本ステーションサービス)は昨年、就業規則を改定した。それまでは生涯に3回しか昇給がなかった制度を改め、わずかだが毎年、定期昇給がある制度に変えた。あまりの低賃金でJESSには人が集まらず、就職した労働者もすぐ辞めていく。このままでは、JRが本格的に進めようとしている駅業務外注化の受け皿にはなれない。だからJESSは、賃金体系を部分的に手直しした。もちろん、この改定でも、生きることもままならない低賃金に変わりはない。
 他方でJRは3月1日、秋葉原駅の全面外注化を強行した。1日の乗降客が25万人を超える大規模駅の外注化は、すべての駅を外注化する攻撃の本格的な始まりだ。電気部門をめぐっても、JR東日本は「設備管理に関する最終的な判断」以外の全業務を外注化する計画を打ち出した。
 こうした形でJRは、本体の正社員を外注先の非正規労働者に全面的に置き換えようとしているのだ。
 これはJRだけでなく全産別で進められている攻撃だ。だから、正規労働者が外注化・分社化を許さず闘ってこそ、総非正規職化は阻止できる。動労千葉が車両の検査・修繕部門の外注化を阻止するために十数年にわたり繰り広げてきた闘いは、その貴重な経験だ。
 労働者の総非正規職化を狙う安倍政権と資本の攻撃は、労働組合を解体しなければ貫徹できない。全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部に対する弾圧は、その攻撃の切っ先にある。それは改憲攻撃そのものでもある。だが関西生コン支部は屈せず、弾圧をも糧に反撃に転じようとしている。
 あらゆる職場で「ストライキを」の声があふれている。安倍政権と新自由主義、改憲・戦争の攻撃への反乱は始まりつつある。JRダイヤ改定阻止の動労千葉ストライキを、労働者の総反撃の突破口にしよう。
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