都業務の全面外注化狙う小池 水道と学校を最初の標的に

週刊『前進』04頁(3020号03面01)(2019/03/18)


都業務の全面外注化狙う小池
 水道と学校を最初の標的に


 小池都知事が東京都の「監理団体(外郭団体)改革」を本格化させようとしている。都の行う全業務の全面外注化・民営化が狙いだ。まず2019年度中の水道局下請け2企業の統合、学校職場「支援機関」新設を打ち出した。外注化の受け皿作りだ。職員半減・総非正規職化に至る都労連破壊の開始である。

「監理団体改革」掲げて受け皿に

 1月23日、都総務局は「監理団体改革の取り組み状況について」と題する文書を発表した。「東京2020大会(オリンピック)後を見据えた」体制構築として「東京水道サービス(株)と(株)PUCの統合」、「学校を支援し教員の働き方改革を推進する団体」を設立するという。両者とも都業務の全面外注化に向けた受け皿作りだ。
 東京水道サービス(職員1341人、水道局が51%の株を持つ)は水道局の下請けとして、水道インフラの維持など技術系業務を担ってきた。PUC(職員628人、水道局が84・5%の株を持つ)は料金徴収などの営業系業務を行ってきた。共に都が出資し指導監督する監理団体である。水道局から多くのベテラン職員が退職派遣されて、技術の継承・指導などを行ってきた。
 この2団体を「効率経営」「水道法改正による水メジャーへの対抗」などと称して統合しようというのだ。当局は重複する部門のスリム化やICT(情報通信技術)の活用、窓口の縮小など、コスト削減と他都市への業務拡大をうたう。徹底した合理化であり非正規職化となる。
 学校職場に対しては「全国初の多角的支援機関」の設立を打ち出した。「過労死ラインの教員が多数存在」などと言いながら、最も必要な教職員の増員などはしない。「新財団」の機能として「多様な外部人材を確保」「教員サポート」を押し出した。さらに「学校の事務センター」として「共通処理が可能な事務を集約」「施設の維持修繕を処理」するとした。学校職場の全業務の外注化・民営化と教職員すべての非正規職化が狙われている。
 小池の手口はJR東日本が進めている駅の外注化と同じだ。

JRと同じ手口使い総非正規化

 JRは3月1日、秋葉原駅を子会社のJESS(JR東日本ステーションサービス)に全面外注化した。全駅外注化の本格的な始まりだ。JRは「設備管理に関する最終的な判断」以外の全業務分社化計画も打ち出している。JESSにはJRから出向させられたベテラン労働者も多い。こうした形で受け皿作りを進め、JRの正規職を外注先の非正規職に全面的に置き換えようとしている。
 都が水道や学校、さらに下水道や都営地下鉄などでやろうとしているのも変わらない。下水道では監理団体の東京都下水道サービス(951人)が04年以来、出張所業務の受託拡大を行ってきた。19年度で全ての移管が完了する。すでに地下鉄駅の半数を超える59駅が東京都営交通協力会(1738人)に委託された。東京交通サービス株式会社(324人)は駅施設、車両・機械設備、電気・通信、改良工事などを行っている。外注化がどんどん進んでいるのだ。
 18年3月30日に発表された小池の「2020改革プラン」は「直営・(監理)団体・民間」の分担を見直し、「廃止、民間譲渡/民営化、PPP(官民連携)/PFI(民間資金活用)、委託/外注化」に進むことを公然とうたった。その立場から都の全業務を対象に、全面的な外注化・民営化の構想を示した。「監理団体改革」はそのための第一弾となるものだ。

「2040構想」東京版と対決を

 安倍政権は「自治体戦略2040構想」を掲げて、〈地方自治解体・職員半減・民営化〉による改憲・戦争体制づくりに突進している。会計年度任用職員制度が導水路だ。その安倍と共に小池は、首都東京で「2040構想」を実行に移そうとしているのだ。
 民営化と非正規職だけの社会にしてはならない。核心は労働組合破壊だ。安倍とJRは国鉄分割・民営化の先兵だった東労組も解体して第3の分割・民営化を進め「労働組合のない企業(社会)」をめざしている。神戸市は「ヤミ専従」問題を機に市職労を解体し「スマート自治体」化に突き進もうとしている。小池は水道工事の入札をめぐって逮捕者が出た汚職事件をも使って一気に攻撃を進めようとしている。
 18年3月末、小池・都政改革本部の上山信一ら「特別顧問」は労働者の怒りの中で引きずり下ろされた。国鉄決戦を闘い都労連の団結を固めて闘いぬこう。
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