春闘回答は実質賃下げ 動労千葉はCTS焦点に闘う

週刊『前進』04頁(3022号02面03)(2019/03/25)


春闘回答は実質賃下げ
 動労千葉はCTS焦点に闘う


 19春闘での大手企業の賃金回答が出そろった。12日には電機大手が昨春闘でのベースアップ額を500円下回る1000円のベアで妥結した。13日には自動車大手が回答を出し、トヨタは昨年より1000円低い水準で妥結した。
 今年10月に安倍政権が強行しようとしている消費税の増税や、社会保険負担の増大、相次ぐ食料品の値上げを考えれば、この結果は実質的な賃下げだ。
 19春闘はまた、連合の歴史的生命力が尽きたことを示した。昨春闘でベースアップ額を非公開とするよう資本に迫られたトヨタ自動車労組は、19春闘では初めからベア要求を明示しない方針をとった。「明示しない」とは「要求しない」ということに等しい。
 連合中央も「大手と中小の格差是正」を口実に、ベアを中心とした「賃上げ幅」ではなく、「個別の賃金総額」を重視する方針にシフトした。これは企業間の分断、企業内の労働者間の分断をどこまでも容認するものでしかない。
 春闘とは本来、労働者が産別を超えて同一の要求を掲げ、分断を許さず賃上げを資本に強制する闘いだ。14年以来の「官製春闘」で存在意味を失いつつあった連合は、今春闘でさらにその存在基盤を自らぶち壊すところに踏み込んだのだ。

労組解体へと転換

 米中の貿易戦争が軍事的対立をはらみながら激化し、大恐慌が現実化しつつあることに、資本は徹底的に身構えている。トヨタ社長の豊田章男は賃金交渉の席上、「創業の原点を見失った会社が大変革の時代を生きぬくことなどできない」と労組を恫喝した。また、労資交渉の一方で、経営幹部を何度も集めて会議を持ち、危機感の共有を図ったという。
 資本はトヨタ労組のような御用組合に対してもこれまでのスタンスを根本的に転換して臨んできた。安倍が「労組のない社会」をつくることを狙って連合自体を解体しようとしている。
 この攻撃を最先頭で進めているのがJRだ。JR東が15日に出した賃金回答は「定期昇給額の6分の1のベア、主務職以上はさらに100円加算」というものだ。役職が高いほど多くなる定昇額にベアを連動させた上、役職者にはさらに100円を上乗せするのだ。
 JR東労組本部は「18春闘は大敗北」「格差ベアもありうるという会社の考えを東労組は昨春闘で受け入れた」と叫んで現場組合員の闘いを抑圧した。他方、反対派3地本は「格差ベアを許さず19春闘を闘う」と主張した。この対立に付け込み、労組破壊の意図をむき出しにして、JRはあからさまな格差ベアを強行してきたのだ。

総非正規化許すな

 マスコミはほとんど報道しないが、今春闘で交渉の最大のテーマになっているのは、賃金水準以上に「働き方改革」をめぐる問題だ。労働時間規制を脱法的に免れるための就業規則改悪や、「正規と非正規の均等待遇」を口実とした制度改悪などが、どの企業でも打ち出されている。
 労働力人口の減少で非正規職の賃金をわずかだが引き上げざるを得なくなった資本も、それを逆手にとって正規職の賃金を切り下げ、労働者全体を非正規職にすることを狙っている。
 総非正規職化の攻撃は、外注化と闘ってこそ打ち破れる。動労千葉は外注化と闘い、外注先のCTS(千葉鉄道サービス)で組織拡大を実現した。ダイヤ改定と改悪乗務員勤務制度を許さず3・15~16に乗務員ストに決起し、大幅賃上げ獲得のCTS春闘に向かっている。この動労千葉とともに、「非正規職だけの社会にするな」を掲げた新たな労働運動をつくり出そう。
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