6・9国鉄集会に大結集を 労働政策の歴史的転換と対決しよう 動労千葉・田中康宏委員長の訴え

週刊『前進』02頁(3035号02面01)(2019/05/16)


6・9国鉄集会に大結集を
 労働政策の歴史的転換と対決しよう
 動労千葉・田中康宏委員長の訴え

(写真 3月15日、動労千葉はJRダイヤ改定阻止のストライキに立ち、習志野運輸区前で抗議行動を展開した)


 5月10日に東京都内で開かれた6・9国鉄集会実行委員会で、動労千葉の田中康宏委員長が行った提起の要旨を紹介します。(編集局)

改憲阻止へ腹固め闘おう

 2019年後半戦は歴史選択をかけた決戦です。6・9国鉄集会から11月労働者集会への半年間、まなじりを決して闘い、力あるものをつくれないと、時代に立ち遅れると感じます。
 職場・産別・地域・各運動体で組織化の構想、計画を全力で確立してほしい。それが時代とかみ合えば新しい仲間が結集するし、新しい仲間が結集すれば時代とかみ合っていることが検証されたと言えます。
 安倍は5月3日、「覚悟を決めて2020年に新憲法施行」と宣言しました。安倍にとって改憲と労働者支配の歴史的転換としての「働き方改革」攻撃が、延命の最後の手段です。参院選も改憲を争点にし、秋の臨時国会で改憲発議を狙っています。これを見据えて闘いぬく腹を固めましょう。
 アメリカと中国が関税をかけあい、戦争が現実化するプロセスが始まっています。改憲されれば、自治体、教育、すべての企業に防衛力維持の義務が生じます。徴兵制なども始まります。これと労働者の権利の解体はひとつの問題です。
 労働者は今、戦後最大の歴史的転換点に直面しています。

JRで労組解体のモデル

 JRで起きていることは、国鉄分割・民営化に次ぐ歴史的攻撃です。動労総連合の定期中央委員会で、津田沼支部の相馬支部長が「職場にいて分割・民営化以上の攻撃のような気がする」と提起しました。私は、この時代認識を全体のものにしようと答弁しました。
 JRは首相官邸と一体となって、東労組すらつぶし、労働組合なしに労働者を支配するモデルをつくろうとしています。分割・民営化は総評労働運動を連合に置き換える攻撃でしたが、今は「労働組合のない社会」にまで踏み込んできています。
 トヨタの社長は春闘で、「終身雇用、年功制はもう維持できない。生きるか死ぬかだ」と一喝し、労働組合に自己批判させ、年功制賃金の解体に合意させました。「働き方改革」を資本として貫徹する攻撃が、法制度の改悪にとどまらずに始まっています。
 JRの「変革2027」というビジョンは、鉄道のインフラ、技術、知見はJRの外部にあることが前提とされ、現業機関は将来像の図からはなくなっています。これを貫徹するためのショック・ドクトリンが運転士・車掌の廃止です。AIが進歩し自動運転ができるから、運転士や車掌という特別の職名・待遇は必要ないというのです。
 来年4月からの採用方針も転換し、一般職も鉄道の一線で働くのではなく「マネジメント業務に携わっていただく」となっています。1800人を大量採用し、競争に勝ちぬけない者は切り捨てる。10年たっても管理職になれなければ転籍させる。これがJRの言う「柔軟な働き方」「生産性革命」です。
 JR貨物は極端な賃金制度改悪で年功制賃金と終身雇用的あり方を最終的に解体しました。賃金は45歳で頭打ち。最低保障給は21万円。「同一労働同一賃金」の名による正規の賃金の非正規職並みへの引き下げが始まっています。
 JRでつくられた既成事実が合法化されたら「働き方改革」が完成し、労働者は無権利状態に突き落とされます。これを見据えて、断固闘いませんか。

労働規範は崩れ無法状態

 労働分野の法的規範は実際上、崩壊して無法状態になっています。去年、労働契約法の5年ルールで1600万人の有期雇用労働者が雇い止めにされるか生涯非正規に固定化されました。今年4月に「働き方改革」関連法が施行され、来年には「同一労働同一賃金」が施行される。また「雇用によらない働き方」という形で労働基準法的なものはすべて打ち砕かれようとしています。
 こんなことをしたら労働力は確保できなくなる。労働者には逃げ場がありません。暴発的な形も含め怒りが噴出することは避けられません。だから今が階級的労働運動を復活すべき時なんです。
 連合は存立基盤を失い、労働運動の根本的な転換も始まっています。一方でJRの「労働組合のない社会」をつくる攻撃があり、他方でUAゼンセンが育成されている。これが現代の産業報国会化の姿です。
 しかし、「労働組合のない社会」は、労働者が存在する以上、ありえません。そんなことを考えること自身が、支配の崩壊です。

非正規だけの社会許すな

 6・9から11月に向かって、改憲・戦争阻止!大行進運動の本格的な発展をかちとり、その上に「非正規だけの社会をつくらせない」大キャンペーンを起こしたい。これは本来、労組のナショナルセンターが担うべきことで、われわれの力量でこれをするのは簡単なことではありません。だが、そこから逃げていていいのか。展望は必ず生まれるという気持ちを捨てないことが大事です。
 原則的であることと大衆的であることを、少しもあいまいにせずに両立させる。これは大変なことだが、やるしかない。これを両立させる道は現場の中にある。現場の組合員と議論していると、必ず展望が見えてきます。階級的労働運動とは、原則的であり大衆的であることです。
 今秋に向けた焦眉(しょうび)の課題を三つ訴えます。
 一つは、動労千葉と動労水戸で乗務員勤務制度改悪阻止闘争本部を立ち上げ、できることはすべてやると確認しました。動労千葉を支援する会とも相談して決戦本部を立ち上げ、すべての労働者にJRで起きていることを伝え、「これを放置したら社会が崩壊する。韓国、アメリカ、フランスでも労働者は立ち上がっている」と訴えたい。動労千葉・動労総連合はこの闘いで組織を拡大する。ここにかけたいと思います。
 二つは、改憲・戦争反対の広島教職員100人声明を全国・全世界に広げたい。広島の教員の勇気ある立ち上がりに全面的に応え、この声明を広げる運動は、各地の改憲・戦争阻止!大行進運動を発展させるきっかけになると考えています。
 三つは、常磐線全線開通阻止・被曝労働拒否の闘いが正念場を迎える中、9月に水戸で全国闘争を組織したい。JRは今年12月に試運転を始め、来年3月のダイヤ改定で全線開通させようとしています。東海第二原発再稼働反対の闘いとも結び、反原発闘争を爆発的に発展させたい。
 三つの課題は、すべての職場・産別・地域・各運動体で、同じ立場に立って運動を構想してほしいという意味で提起しています。これまでの蓄積の上に、何をしたらいいかを徹底的に考え議論したら、新しいものが生まれます。
 その出発点が6・9集会です。JRで始まった攻撃と対決し、階級的労働運動の再生を呼びかける集会として成功させたいと思います。

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