非正規だけの社会にさせない④組合破壊との闘い 「働き方改革」は団結破壊 「労働組合のない社会」許すな 職場生産点から闘い始まる

週刊『前進』04頁(3046号02面01)(2019/06/24)


非正規だけの社会にさせない
④組合破壊との闘い
 「働き方改革」は団結破壊
 「労働組合のない社会」許すな
 職場生産点から闘い始まる


 安倍政権が「働き方改革」として進める雇用・賃金破壊は、同時に労働者が団結して闘うための労働組合を最後的に一掃しようとする攻撃だ。JRがその切っ先となろうとしている。しかし労働者の憤激が高まり闘う労働組合への結集と闘いが急速に始まっている。シリーズ最終回はこの問題に焦点を当てる。

動労総連合がJRと激突

 6月5日付「日刊動労千葉」は、動労総連合によるJR東日本本社との5月16日の団体交渉を報じた。JRの「新たなジョブローテーション」の提案に対し、組合は「運転士、車掌を10年でたらい回しする制度に反対だ。安全にかかわる」として撤回を求めた。
 団交の中で組合は「ずっと運転士や車掌でいたいという人も多くいる。異動でも現場労働者には生活がある。どこへ行かされるのかという不安がある。地方は特に50㌔、100㌔という異動もある。生活形態が全く変わってしまう。労働者にとっては犠牲を強いるものとしか見えない」と問いただした。これに対し会社は「希望していない職になった人は与えられた業務を頑張ってもらうしかない」と居直った。
 さらに組合が「免許がありながら運転士を希望しても登用されなかった組合員が何人もいる」「(運転士・車掌の)試験が廃止されれば、会社の恣意(しい)的な運用につながる」と追及したことに対し、会社は「ケースとしてないとは言えない」と言い放った。組合は「試験廃止は管理職に気に入られないといけないという思いにさせる」「蹴落としあいになるような職場を望んでいるのか」と弾劾した。まさに組合破壊のための攻撃だ。
 JRによる運転士・車掌廃止、鉄道の全現業部門の子会社・別会社化、総非正規職化は、1987年の国鉄分割・民営化以上の攻撃だ。昨年以来、首相官邸とJRが一体となって御用組合の東労組解体の攻撃が断行され、3万5千人近い組合員が脱退した。これに続いて動労千葉―動労総連合を始めJRの全労働組合を一掃することが狙われている。それは資本・当局の攻撃の新たなモデルとして、社会全体から組合を一掃し「労働組合のない社会」にしようとするものだ。
 これに対し、動労総連合を先頭に全JR労働者の未来をかけた激突が始まった。それは日本の労働者階級全体の闘いとして発展しつつある。

雇用・賃金破壊は組合潰し

 安倍政権と資本による雇用・労働・賃金破壊は、労働者の団結を破壊し御用組合も含め労働組合を潰す攻撃としてかけられている。
 経団連やトヨタ資本が言う「終身雇用制は維持できない」とは、資本への規制を撤廃し「解雇自由」にする攻撃だ。資本がいつでも自由に首を切れるなら、労働者の団結は危機にさらされる。組合破壊の不当労働行為は野放しになる。
 個人請負の労働者は1千万人を超えた。資本との契約打ち切りは即解雇だ。オリンピックの渋滞解消を口実に進むテレワークは、出来高払い制で時給に換算すると最低賃金をはるかに下回る。「通勤せずに済み、長時間労働の是正につながる」どころか、夜も昼もなく働き続けざるをえなくなり、労働時間管理すら自己責任となる。労働者はばらばらにされる。
 今年の骨太方針、成長戦略実行計画では70歳超まで働かせるために年金受給年齢の引き上げ、現役世代の大幅賃下げと共に、子会社・別会社への再就職や個人請負化を進めることが打ち出されようとしている。全国で70万人超、70代が7割以上のシルバー人材センターでは「労働者でない」ことが何度も念を押されて入会が許され、示される業務の大半は個人請負が占めている。最長5年で雇い止め、国外退去を強いられる35万人規模の「特定技能」外国人労働者は初めから団結が妨害されている。

関西生コン弾圧は階級戦争攻撃

 世界戦争の危機と大恐慌、大失業が迫り、世界でストライキとデモが国家支配体制を揺るがしている。支配者は労働者が団結すること自体に恐怖している。組合を一掃してストを根絶し、国家・資本に忠誠を誓う産業報国会運動に延命のすべてをかけている。そのための組合解体攻撃だ。
 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部は生コン産別の労働組合として、セメント大資本やゼネコンと団結を武器に闘っている。その壊滅を狙った大弾圧は改憲・戦争に向かう一大階級戦争攻撃だ。これに対し関生支部は怒りを爆発させ、広範な反撃の陣形をつくり出している。

団結なしに生きられない

 国鉄分割・民営化は労働組合を攻撃して総評を解散に追い込み、御用組合の連合を結成させた。4割の労働者が非正規職と貧困に陥り、社会全体の崩壊が進んだ。もはや労働者は、労働組合の団結と闘いぬきに生きていけない現実に直面している。今こそ闘う労働組合をよみがえらせる時だ。

11月労働者集会大結集へ闘おう

 国鉄解雇撤回を闘う動労千葉は、JR下請けのCTS(千葉鉄道サービス)職場代表となって奮闘している。動労総連合で非正規職の解雇撤回がかちとられた。「困ったら動労総連合に相談しよう」という声が職場で交わされ、組合加入が続いている。
 全国港湾は4月14~15日に22年ぶりの全港ストを打ち抜いた。集団交渉つぶしに対する実力の反撃だ。
 6月9日のコンビニ関連ユニオンの結成が大反響を呼んでいる。冠婚葬祭大手ベルコの正社員は32人、残る7千人超が委託契約の代理店で働く。その労働者が組合結成準備中に首を切られ、北海道労働委員会は6月13日、ベルコの使用者性を認め救済を命じた。
 全国の自治体労働者は団結破壊の会計年度任用職員制度に反対し闘っている。
 職場生産点の闘いは組合本来の闘う団結を再生させる。現場労働者が自ら経験し闘う団結の力をわがものとする過程が始まった。
 広島教職員100人声明が呼びかける8・5改憲・戦争阻止!全国教職員ヒロシマ集会と8・6ヒロシマ大行動の成功をかちとろう。9・22反原発・被曝労働拒否全国闘争を動労水戸と共に打ち抜こう。11・3全国労働者集会へJR産別を先頭に全産別で単組・分会からの大結集をかちとろう。
(シリーズおわり)
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