牛久入管で100人がハンスト 過酷な収容に抗議、仮放免求める

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週刊『前進』02頁(3061号02面03)(2019/08/22)


牛久入管で100人がハンスト
 過酷な収容に抗議、仮放免求める

(写真 6・20世界難民デーで港区にある東京入管【左後方】に対し、「外国人労働者の収容と強制送還を許さないぞ」と抗議デモ)

 東日本入国管理センター(茨城県牛久市、通称・牛久入管)の被収容者からの手紙を以下に紹介する。

被収容者の手紙

 東日本入国管理センター(牛久市)で拷問的な毎日が続き、誰にも考えられない過酷な所になりつつ日々を送っている。入管での収容はきわめて過酷なものです。収容期間の上限の定められていない無期限収容であることの、ストレス、強制送還されるかもしれないという恐怖と不安。こうした極度の精神的な負荷のかかった状態にあって、ほとんどの人は収容されて遅くても半年もすれば拘禁症状を発症しはじめます。このような入管収容施設にあって2年以上の収容が常態化しているのは、まさに「異常事態」というべきなのです。(中略)
 現下において収容所の運用方針は極めて非人道的なやり方を行っており、私達は納得できません。私達は犯罪者ではないのに。日々私達の生活が貴センターによって監獄化され、いつまでも人生の大切な時間を奪われなければなりませんでしょうか。私達はこれ以上我慢することができません。(中略)
 収容所内の現実や辛さ、苦しい生活、痛み、ストレス、精神的虐待など本当の実態は私達収容者にしか分からない事であり、なんとかして皆様に真実を伝えなければなりません。この文書をご覧になった皆様には、入管センターに収容されている私達の声を拡散するのにご協力下さい。以上
 7月11日 S

2週間で再収容

 入管収容施設での過酷な長期収容、仮放免の激減に対し、牛久入管で100人規模でのハンガーストライキが続いている。現在、被収容者は約320人といわれ、ハンスト者は3人に1人に上っているのだ。
 5月からハンストを続け、体重の激減と体調不良に陥ったイラン人ら4人が7月9日に仮放免となった。しかし、2週間後の7月22日、仮放免の更新のために出頭した東京入管で、イラン人2人の仮放免が更新されず、牛久入管に戻されてしまった!
 24日、抗議の記者会見を行った牛久入管収容所問題を考える会は、「これほどの人数が長期間、ハンストするのは初めて。2週間での再収容は、人権のかけらもない入管のやり方であり、全く怒りのみです」と語った。現に入管職員は「やってもすぐ戻される」とうそぶいていたのだ。
 その後も、8月14日にイラン人のSさん、16日にクルド人のDさんが、仮放免から2週間で再収容され、牛久入管に送り返された。
 2人は出頭前の13日、弁護人と共に記者会見を行い、「怖くて夜もあまり眠れない」と訴えた。2人とも収容期間が3年を超え、Sさんはハンスト中、幾度も吐血、昏倒し、体重も15㌔減少。再収容は耐えられないと9日、仮放免延長を求めて提訴した。
 Dさんは今年1月、収容所内で薬をめぐり職員と口論になった際、手首をひねられ、後ろ手錠で放置された。この件で8月10日国家賠償請求訴訟を起こした。
 弁護士は「収容に耐えられない健康状態と認めて仮放免されたにもかかわらず、2週間程度の間の体力回復だけで再収容をする扱いは、非人道的だ」と訴えたが、2人は再収容! 許せない暴挙だ。

「迅速に送還」と

 4月に新設された出入国在留管理庁の初代長官となった佐々木聖子は、長期収容問題について聞かれ、「刑事施設と異なり、帰る準備をすれば、明日にでも(収容所から)出られる」と言い、「なんとしても送還を迅速に行うことで長期収容を解消したい」と繰り返した。
 現代の奴隷制度と批判される外国人技能実習制度で、長時間の過酷な労働とパワハラ・セクハラ、このままでは殺されてしまうと職場から失踪し、ついにオーバーステイで捕まり、入管収容所へ。収容者は資本の被害者だ。多額の借金を抱えたまま帰国できない、日本で家族ができた、日本で暮らしたい……。この人たちの抱える事情の根本原因は、非人間的で人権侵害の技能実習制度にあるのではないか。学籍を失うに至った留学生も同じだ。
 「真実を知ってほしい」と叫んでいる外国人労働者たちに応えよう。
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