焦点 空母いずもを米軍機が先行利用 進む米日の軍事一体化

週刊『前進』02頁(3063号02面02)(2019/08/29)


焦点
 空母いずもを米軍機が先行利用
 進む米日の軍事一体化


●対中国の軍事行動拡大
 安倍政権は18年12月に「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」を閣議決定し、そこで護衛艦「いずも」「かが」の空母化、F35戦闘機の追加大量配備などを決めた。
 8月21日付朝日新聞は政府が「いずも」「かが」について今年3月、米軍に対し、米軍機が先行利用する見通しを伝えたと報道した。空母化のために甲板の改修が必要だが「いずも」は20年度、「かが」は22年度に改修が予定されている。他方で艦載機のF35Bの配備は、予算計上から約5年かかり24年度以降になる。そこでこの3年あまりの空白期間を米軍に先行利用させるというのだ。まさに日米軍事一体化である。
 空母化した「いずも」「かが」が米海兵隊のF35Bを搭載して南中国海や東中国海を軍事行動することが想定される。これが中国との軍事的緊張を生み出すことは必至だ。
●F35戦闘機を大量導入
 「中期防衛力整備計画」で大量導入が決まった戦闘機F35は、すでに決まっていた42機導入に新たに105機を加え147機体制となる。うち垂直離発着が可能なF35Bを42機にする計画である。
 防衛省は、宮古・石垣・与那国島、南・北大東島の空港など20を超える島のすべてにF35Bの配備を検討している。
 そうなると沖縄の南西諸島は沿岸警備隊の基地に加えF35Bの基地となり、周辺では空母「いずも」「かが」が軍事行動するという、米日帝国主義の中国・朝鮮侵略戦争の最前線の基地になる。まさに沖縄戦を再来させるような攻撃である。絶対に許せない。
●韓国がGSOMIA破棄
 8月22日、韓国大統領府は日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)を破棄することを決めた。
 GSOMIAが締結されたのは2016年10月。朝鮮半島周辺では米韓合同演習が実戦さながらに行われ、B1、B2米戦略爆撃機が朝鮮半島上空を飛び回り、それに北朝鮮がミサイルで反撃する寸前の情勢にあった。
 このとき米大統領オバマが安倍と組んで強引にパククネ政権とのあいだに締結させたのがGSOMIAであった。時を同じくしてパククネ政権の腐敗が暴かれろうそく革命が始まった。パククネは韓国労働者人民の巨大な決起で打倒され、ムンジェイン政権が成立した。これに対して日帝・安倍はパククネを打倒した韓国労働者人民の巨大な力に恐怖し、「このままでは革命になってしまう」という危機感に駆られて、その圧殺に全力を挙げている。
 韓国大法院の「徴用工」判決に対しては「日韓条約と日韓請求権協定で解決済み」を繰り返し、侵略と植民地支配の歴史を居直り続けている。そして、報復的に韓国に経済制裁を発動し、次々とエスカレートさせている。
 第1次の輸出規制に続いて、安倍は8月に「安全保障上の理由」を掲げて、輸出手続きの簡略化を認めていた「ホワイト国」から韓国を除外した。これは韓国を事実上、敵国と宣言したに等しい。
●韓国を仮想敵として演習
 今年、日米両国の軍事当局者が協議し、12月に行う日米合同指揮所演習(通称「ヤマサクラ」)を、実際上「韓国」あるいは「統一朝鮮国」を「仮想脅威」とするシナリオで行うことを決めたという(「文藝春秋」9月号)。米日帝は、韓国で革命が起きる現実性に恐怖し、韓国―朝鮮半島への侵略戦争を準備しつつあるのだ。
 絶対に許してはならない。韓国の労働者階級人民との国際連帯を圧倒的に強め、米・日帝の中国・朝鮮侵略戦争を阻止しよう。

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