GSOMIA破棄で安倍窮地に 問われる日本労働者階級の闘い

週刊『前進』04頁(3064号01面03)(2019/09/02)


GSOMIA破棄で安倍窮地に
 問われる日本労働者階級の闘い

(写真 韓国・ソウル市の日本大使館前で開かれた第3次安倍糾弾集会に1万5千人が結集し、日本政府の歴史歪曲と貿易規制に抗議。メッセージボードには「韓日軍事協定破棄」と書かれている【8月3日】)

 韓国・ムンジェイン政権が8月23日、日韓GSOMIAの破棄を正式に伝えたことに対し、安倍政権は「地域の安全保障環境を完全に見誤った対応だ」などと非難し、日本のマスメディアも例によって異様な韓国バッシングを繰り広げている。だが安倍政権は表面上の強気とは裏腹に、実際には予想外の事態に狼狽(ろうばい)し、大打撃を受けている。
 そもそも安倍は、元徴用工への賠償を新日鉄住金に命じた昨年10月30日の韓国大法院(最高裁)判決以来、一貫して韓国に対する敵視政策を続け、「安全保障上の懸念」を口実に貿易規制まで発動したのであり、これに対して韓国政府が「安保情報」を提供するGSOMIAをもはや延長しないと決めたとしても、日本政府にそれを非難する資格は1ミリもない。

ろうそく革命以来の闘いで協定粉砕

 もともと日韓GSOMIAは、圧倒的多数の韓国民衆の反対を踏みにじり、パククネ前政権が安倍政権との間で2016年11月に締結した軍事協定である。これに基づき、レーダーや哨戒機が探知した北朝鮮などの動向、軍事技術や演習データ、諜報(ちょうほう)活動で得た情報、「有事」を想定した米韓軍の作戦計画の内実など、軍事的機密情報の共有を安倍は求めた。また機密保全に関する国内法の整備が義務付けられ、日本が韓国から得た情報は特定秘密保護法の定める「特定秘密」に指定されることとなった。
 何より日韓GSOMIAは、「朝鮮有事」の際に自衛隊が朝鮮半島に上陸・参戦するために不可欠であり、対北朝鮮の戦争を準備する日米韓3国軍事同盟の要に位置づけられていた。前年12月の日本軍軍隊慰安婦をめぐる「日韓合意」も、このような軍事同盟を構築するための布石だった。だからこそ民主労総は、パククネ政権の対日政策を「朝鮮半島への日本の軍事介入、自衛隊の朝鮮出兵に道を開くものだ」と弾劾し、これに反対して不屈に闘ったのである。
 GSOMIA締結に向けた秘密交渉は、12年に当時のイミョンバク政権下で始まったが、暴露されて韓国民衆の抗議の声が噴出し、交渉中断に追い込まれた。それをパククネ政権が16年10月に再開し、わずか1カ月のスピード交渉で締結した。だがその時、すでに韓国ではパククネ政権のかつてない不正・腐敗を示す「チェスンシル・ゲート」が発覚し、民主労総のゼネスト決起を先頭にパククネ打倒の闘いが数百万人の規模で爆発していた。
 そして現在、安倍政権の対韓貿易規制に対し、韓国の民衆は「NO安倍」「韓日軍事協定破棄」を掲げて闘いぬいている。GSOMIAを粉々に打ち砕いた力、歴史の流れを規定している最も根底的な力は、民主労総を中心としたろうそく革命以来の韓国民衆の決起にほかならない。これに続く闘いを日本から巻き起こし、改憲・戦争に突き進む安倍政権を打倒しよう。
このエントリーをはてなブックマークに追加