学校から天皇儀式と対決を 「祝意」の強制は戦争への動員

週刊『前進』04頁(3068号02面03)(2019/09/16)


学校から天皇儀式と対決を
 「祝意」の強制は戦争への動員


 内閣改造で改憲シフトを敷いた安倍は、10月臨時国会で改憲に踏み出そうとしている。10、11月には、天皇代替わりの「本番」(政府関係者)とも言われる儀式が相次いで行われる。天皇即位の「祝賀」ムードを演出して改憲・戦争を一気に推し進めようとしているのだ。学校を通した教職員、子どもたちの儀式への動員と天皇制教育も狙われている。学校から天皇制打倒、改憲阻止へ闘おう。

大阪の小学校で「即位記念朝礼」

 10月22日には「即位礼正殿の儀」(即位の礼)が、11月14〜15日には「大嘗祭」が行われようとしている。10月22日を祝日と決めた安倍政権は、「国民こぞってことほぐ(祝福するという意味)」ことを強制しようというのだ。
 だが戦争犯罪を代々居直る天皇は打倒以外にない。代替わり儀式で、戒厳態勢を敷き、労働運動を圧殺して「階級融和」をつくり出し、改憲・戦争に突き進むことを阻止しよう。
 特に学校は天皇制攻撃の一大焦点になっている。
 5月1日の新天皇即位では、〝各地方公共団体や学校、会社などで国旗を掲揚せよ〟とする4月2日の閣議決定を受けて、文科省は各教育委員会などに国旗掲揚を通知した。22日には、「天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に際しての学校における児童生徒への指導について」という各教委などへの通知で、「国民こぞって祝意を表する意義について、児童生徒に理解させるようにすること」を各学校に要請した。
 戦前、天皇制を行きわたらせるのに利用されたのが学校の儀式だ。1890年に教育勅語が発布され、翌91年には「小学校祝日大祭日儀式規定」が制定、皇室祭儀や天皇神話に基づく祝祭日の意味を教職員・児童にたたき込んだ。今日、韓国への排外主義があおられ、自衛隊が侵略軍隊化し、憲法に自衛隊明記が狙われる中で、安倍は同じように、「お国のために死ぬ」精神を学校を通して広げようとしているのだ。
 だが実際、「日の丸」が掲揚された学校は多々あったものの、「指導」はほとんど貫徹されていない。
 ただ大阪市立泉尾北小学校では、5月8日に全校児童参加の「天皇陛下ご即位記念児童朝礼」が強行された。小田村直昌校長は「天皇陛下」「百二十六代」「令和」「元号」を模造紙に書き説明し、新天皇を「126代」と紹介。さらに「愛国の歌姫」と呼ばれる山口采希(あやき)が明治時代の唱歌「神武天皇」「仁徳天皇」を披露し、戦中の教育勅語児童読本や修身教科書に載っていた「民のかまど」(仁徳天皇が、民家の煮炊きする煙が少ないことから人々の困窮する姿を思い、徴税をやめて自らつましく暮らしたという神話)を紹介した。
 しかし登場する天皇は実在しない神話上の人物であり、新天皇が「126代」というのも事実ではない。
 小田村は公募で採用された民間人校長で、日教組や人権教育を憎悪する極右だが、山口が訪問することは教職員に知らせなかったという。戦争だけは許さないと闘ってきた教育労働者の団結に恐怖しているのだ。

改憲阻止へ労組と住民の連帯を

 安倍の側近で文科相に就任した萩生田光一の地元の八王子でも、萩生田と「身内以上の間柄」という人物が主導し、4月23日、天皇が武蔵陵墓地(昭和天皇の墓がある)に来た際に、三つの小学校で子どもたちを沿道で出迎えさせた。
 校長は「敬意を持つのは日本の国のルールであり、文化だ。......共産党も『赤旗』で代替わりに賛意を表明している」と述べ、別の校長は「本校はオリンピック教育の指定校なので、沿道に立たせることで日本人の自覚と誇りを育むことを考えた」と語っている。
 「万世一系」神話でただただ「天皇を敬愛せよ」と強制するあり方こそ「子どもたちを再び戦場に送る」教育だ。東京五輪教育も国威発揚のためだ。
 教職員、子どもたち、地域住民の代替わり儀式への動員、「日の丸」掲揚、戦争教育を許さず、労働組合と地域住民が一つになって、天皇代替わり儀式を粉砕し、改憲を阻止しよう。

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