東海第二原発 再稼働するな 常磐線全線開通攻撃と一体 9・22水戸集会に集まろう

週刊『前進』04頁(3068号03面01)(2019/09/16)


東海第二原発 再稼働するな
 常磐線全線開通攻撃と一体
 9・22水戸集会に集まろう



(写真 再稼働が狙われている原電の東海第二原発。右隣に見えるのが廃炉作業中の東海原発 )


 JR職場で働く労働者の組合である動労水戸呼びかけの実行委員会が、「高線量地帯に向かって列車を走らせるな!9・22水戸集会」(要項1面)を開催します。これは高濃度の放射能汚染地帯に列車を走らせることを阻み、東海第二原発の再稼働を許さないための集会です。多くの参加をお願いします。

高線量地帯を列車が走行

 JR東日本は来年3月までに常磐線を全線開通させようとしています。常磐線は、2011年の3・11東日本大震災・福島第一原発事故で福島県内の大部分が不通となりました。現在でも、第一原発から10㌔圏内にある浪江―富岡駅間が不通となっています。この区間は、放射線量が「年間50㍉シーベルト以上」の帰還困難区域です。
 政府が、一般の人が1年間に浴びても良いとしている放射線量でさえ年間1㍉シーベルトです。安倍政権が福島の避難者に対して「年間20㍉シーベルト」を基準に帰還強制すること自体、絶対に許されません。福島県民・子どもたちの健康や命をいったいどう思っているのでしょうか。
 JR東は安倍政権の手先となって、この「20㍉」すらはるかに上回る放射線量の帰還困難区域で列車を走らせ、乗客やJRの労働者を大量に被曝させようとしているのです。
 さらに列車には土ぼこりやチリに付いた微小な放射性物質が付着し、走行する宮城県〜東京の沿線に拡散されることになります。この列車の洗浄・清掃や検査・修繕の業務は、ひたちなか市にある勝田車両センターと、郡山市にある郡山総合車両センターで行われます。その業務を担う労働者や周辺住民の被曝も避けられません。常磐線の全線開通など絶対に認めることはできません。

原発事故は終わってない

 JR東がこれほど無謀な計画を画策するのは、安倍政権の手先となり、原発事故を終わったことにし「福島復興」をアピールするためです。「復興オリンピック」もそれが目的です。
 しかし「復興」などうそなのは明白です。福島第一原発は、事故発生直後の3月11日午後7時過ぎに政府が発令した「原子力緊急事態宣言」の解除さえできないのが現実です。核燃料が溶けてコンクリートや金属と混じりあったデブリの状態も分からず、現在も水をかけ続けている状態です。
 福島県の放射能汚染は依然として深刻です。政府の発表でさえ、事故で放射性物質がセシウム137だけでも広島原爆の約168発分が放出されたとしています(実際にはこれをはるかに上回ることは明らか)。セシウム137の半減期は30年ですから、まだほとんど残ったままです。
 原発事故を引き起こした責任はすべて政府と東京電力にあります。政府・東電は被害者の生活と健康、人生に全責任をとる必要があるのです。にもかかわらず、安倍政権は高濃度の放射能汚染地帯に、悪辣(あくらつ)な手段で住民を帰還させようとしています。
 福島県は7月9日、「自主避難者」が住宅支援の期間を過ぎた後も住宅から退去しなかったとして、63世帯に対し家賃の2倍に相当する「損害金」の支払いを求める請求書を送りつけました。財政的にも厳しい状況にある「自主避難者」をお金で締め付け、帰還を迫っているのです。しかし、多くの避難者が帰還を拒否して闘い、県民の政府・東電への責任追及もさまざまな形で闘われています。
 甲状腺がん、およびその疑いの福島の子ども(青年)は、今年3月末の時点で、福島県の県民健康調査検討委員会が発表しているだけでも218人となりました。甲状腺がんの子どもたちを支援しているNPO法人は、この集計結果から少なくとも18人の子どもが漏れているとしています。福島の子どもたち・青年たちの健康と命を守ることはきわめて重大な課題です。
 福島の人々とひとつになり、帰還と被曝の強制、ペテン的な「復興」キャンペーン、常磐線全線開通を許さず、〈避難・保養・医療〉の確保など、子どもたち・福島県民の命と健康、生活を守るために力を合わせ、立ち上がりましょう。

再び大惨事が発生の危険

 常磐線の全線開通は、安倍政権と原電(日本原子力発電)が進めようとしている東海第二原発の再稼働と一体の動きです。
 東海第二は運転開始から40年以上経過した老朽原発であり、配管などの劣化が進みきわめて危険です。とくに重大なのは原子炉圧力容器がもろくなっていることです。長年の稼働で中性子を浴び続け、圧力容器の鋼材が柔軟性や弾力を失って硬く、もろくなります。その結果、地震などで緊急冷却装置が作動し急激に冷やされた場合、圧力容器が割れてしまう危険があるのです。そうなれば、その外側の格納容器も破壊され、膨大な放射性物質が放出されて大惨事となります。
 東海第二原発の30㌔圏内には全国の原発所在地でも最多の約96万人が住んでいます。いったん事故が発生した場合、避難が不可能なことは明らかです。
 日本初の実用原発が、1966年7月に稼働を始めた東海原発(東海村、現在廃炉作業中)であり、その後継が78年に稼働開始の東海第二原発です。東海原発と前後して東海村と大洗町などに原子力関係の施設が次々と建設されていきました。日本の核政策の中枢地帯・司令塔といえるのが東海村などの核施設群です。
 9月9日の台風では、原子力研究開発機構大洗研究所材料試験炉の二次冷却系統の冷却塔が倒壊しました。いつどこで大事故が起こっても不思議でないのが東海村とその周辺の現実です。地元の人たちの不安は想像を超えると思います。
 東海村や大洗町などの施設には稼働を終了した施設も含めて、危険な放射性物質が膨大に集積されています。なかでも、東海再処理施設は14年に廃止措置が決まりましたが、膨大な放射性廃棄物が残されています。とくにプルトニウム溶液と高レベル放射性廃液は液状で絶えず発熱し、水素を発生させており、格段に危険です。東海第二で事故が発生して手がつけられなくなれば、再処理施設をはじめ、周辺の施設の放射性物質も放置せざるをえず大惨事となります。長年、東海第二原発反対の運動を続けてきた地元の人たちに学び、ともに再稼働を阻止するために闘いましょう。
 安倍政権が守ろうとしているのは労働者民衆の生活や命ではなく、資本家階級の利益です。安倍政権が今、東海第二原発再稼働と常磐線全線開通を狙うのは、世界的な資本主義・帝国主義の危機の中で自分たちの生き残りをかけ、改憲・戦争、核武装・核戦争にまで突き進むためです。だから労働組合を破壊し、「福島の怒り」を踏みにじり、「原発反対・再稼働反対」「反戦反核」の闘いを解体しようとしているのです。断じて許せません。
 9・22集会を成功させ、労働組合・住民の団結で常磐線全線開通と東海第二原発再稼働を止めましょう。

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