佐野SAストが勝利 60人全員の職場復帰かちとる 労働組合の団結の力示す

週刊『前進』02頁(3073号01面03)(2019/10/03)


佐野SAストが勝利
 60人全員の職場復帰かちとる
 労働組合の団結の力示す

(写真 ストに勝利しレストランの営業再開を知らせるはり紙)


 8月14日から続いていた栃木県佐野市にある東北自動車道佐野サービスエリア(SA)の労働者のストライキが急展開を見せ、ストライキを続けていた従業員ら約60人全員の9月22日からの職場復帰、現経営陣の退陣という勝利が勝ち取られた。経営側が執着していた元総務部長の退職も許さず全面勝利解決となった。
 運営会社「ケイセイ・フーズ」と親会社の片柳建設の乱脈経営と信用不安から、業者からの納品も途絶え、唯一の望みの綱であった総務部長が不当解雇されたのをきっかけに、8月14日未明からストライキは始まった。
 会社は違法ストと言い、損害賠償請求をにおわせ、8月30日からスト破りを投入して営業再開。9月3日に決裂して以降交渉も行われなくなった。元総務部長が1500万円の私費を供託して始めたストライキだが、供託金も9月20日で尽きる。絶体絶命だった。
 情勢を逆転させた決定打は、やはりブラック企業ゆえの契約違反だった。スト破りを募集して、業務を再開させた業者は、預託オーナー商法で社会問題となった企業の関係業者だった。そしてサービスエリアを監督するネクセリア東日本とケイセイ・フーズが取り交わした契約には「再委託禁止」という項目があることを組合は知っていた。求人紙に時給1300円、深夜のラーメン屋・製麺会社の募集広告が掲載され、これらの会社に組合は公開質問を出した。ネクセリア東日本が会社と癒着もしていた。
 これらの事実を突きつけられ、すねに傷を持つ会社と関係者が、傷口が広がるのを恐れて事態の収拾に走った。ストライキに入っていた従業員の職場復帰がついに実現される。
 この勝利を決定づけたものこそ、職場の労働者の団結だった。労働組合など関わったこともない人たちの集まりだった。しかし、貯金をはたいて従業員と職場を守ろうとした元総務部長、彼の解雇を条件に解決をはかろうとした会社を許さなかった組合員。これまであまり話をしたこともなかった組合員が連日集まり、色々な話をして団結を深めた。限界に達した9月21日からの3連休には、東北道を管轄するNEXCO東日本本社(東京)前でのデモも計画されていた。
 労働組合も団結も知らなかった労働者が、これまで文句も言わず働いてきた職場を、会社が台無しにしようとしたとたんに、労働組合に結集して闘争を開始した。これこそが労働者階級なんだということを鮮やかに示してくれた。
 人気メニューの佐野ラーメンなどでネームバリューがあり、SNSなどでの情報発信で、すぐに大きなニュースになった。マスメディアも好意的だった。ブラック企業に対してストライキで闘う労働組合に対する大きな注目と支持が生まれている。労働組合と団結が生きる希望であることを、多くの労働者市民がつかみ取る機運が生まれている。
 この情勢に追いつき、無数の労働者と結びつく能力が、私たちに求められている。スト破りを許さない闘い方がすぐに問題になるだろう。関西生コン支部の闘いの意味も明らかだ。佐野SAの労働者の闘いに学び、連帯して、全国から、職場からの闘いをつくり出していこう。11・3全国労働者集会を、そのためにも大成功させよう。
(合同・一般労働組合全国協議会幹事 清水彰二)

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