学校に変形労働時間制 臨時国会 絶対反対! 導入を葬ろう

週刊『前進』02頁(3075号02面02)(2019/10/10)


学校に変形労働時間制 臨時国会
 絶対反対! 導入を葬ろう


 萩生田光一文部科学相は、公立学校への「1年単位の変形労働時間制」導入のための法改悪を今臨時国会で行おうとしている。これは、今以上に教育労働者の過労死を促進する制度である。職場から絶対反対の声を上げていこう。

残業時間を隠して過労死労働を促進

 検討されている「1年単位の変形労働時間制」は、「繁忙期」である学期中の勤務時間を長くし、「閑散期」である夏休みなどにまとめて休みを取りやすくする、というものだ。現在、地方公務員は適用除外だが、今臨時国会で給特法(教職員給与特別措置法)を改悪し、教員に限って導入することが狙われている。しかも本来必要となる労使協定もなしに、自治体の条例一つで学校現場に適用するというのだ。二重三重に許せない。
 学校現場に変形労働時間制が導入されたらどうなるのか。今以上に残業時間が隠され長時間労働が蔓延(まんえん)し、過労死が促進される。
 現状でさえ、公立学校の中学校教員の約6割、小学校教員の約3割が「過労死ライン」(時間外勤務月80時間)を超えて働いている。しかし制度導入によって業務量が減るわけではない。過労死レベルの労働は追認されたままなのだ。
 それどころか1日の定時勤務が最大で10時間に延長されるため、見た目の残業時間が減らされ、本当の残業時間が隠される。教員は、給特法の〝基本給4%を教職調整額として支払う代わりに残業代を原則支払わない〟とする規定により、残業は「自主的」とみなされ、自己責任にされてきた。残業代が支払われるならば、年間9千億円から1兆数千億円が必要になるが、政府は教育に予算をかけることはしないで徹底的に教職員から搾り取っている。制度導入はこうした現状を居直って、会議や部活指導や業務を公然と職務命令として押し付け、長時間労働に拍車をかける。
 そして、定時の延長によって介護や育児との両立もますます厳しくなる。
 さらに夏休みにまとめて休めというが、夏休みは「閑散期」ではない。研修や出張、個人面談、部活、プール指導、補習などで残業するほど忙しい。そもそも倒れる教職員の多くが夏休み前なのだ。
 導入反対のネット署名は3週間で3万筆を超え、「教育新聞」の読者アンケートでも9割が反対だ。
 文科省は、超勤時間の上限を1カ月45時間、年360時間以内と定めた「上限ガイドライン」の順守が前提というが、増大する業務量からして不可能である。ガイドラインには罰則規定もないため、超勤の責任は現場に押し付けられる。
 このように、変形労働時間制導入にみられる「学校における働き方改革」は、「長時間労働の是正」などでは断じてない。それは、戦争教育と教育の民営化推進の「学習指導要領への対応」で現場を縛り、「より短い在校時間でその成果を上げた教師に高い評価を」と、〝生産性向上〟に駆り立て職場の協働性を破壊する攻撃だ。「働き方改革」攻撃と対決し、変形労働時間制導入を葬ろう。

非人間的な労働のあり方に総反撃を

 人間の健康・生活リズム、社会生活は1日、1週間単位で設定されている。労働基準法で定められた労働時間の上限「1日8時間、1週40時間」は、労働者が仕事と家庭、社会生活を両立させ、人間らしい生活をするための最低条件として、全世界の労働者が闘いとった権利だ。
 変形労働時間制は、この労働時間法制の原則に反する重大な攻撃である。総労働時間を減らすものではなく、残業代の削減が目的であり、資本にとって都合のよい働かせ方を労働者に強いるものだ。1987年の労基法改悪で変形労働時間制が導入されて以降、過労死・過労自死が激増している。労働時間の規制緩和こそ長時間労働の元凶だ。さらに、労働時間ではなく仕事の成果で賃金を決定する成果主義賃金に結びつく極限的な分断攻撃だ。
 しかし今、コンビニを始め、非人間的な労働のあり方に反撃が始まっている。学校現場でも怒りの声が渦巻いている。この叫びを職場・組合の闘いに組織しよう。労働時間をめぐる闘争は、教育労働運動の原点である改憲・戦争阻止と並ぶ、組合の最大の課題だ。教育労働者は臨時国会での改憲阻止、「働き方改革」攻撃粉砕の先頭に立ち、11・3集会に結集しよう!
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