韓国ゆるがす鉄道ストの波 民営化に反対し安全人員を要求

週刊『前進』04頁(3078号03面01)(2019/10/21)


韓国ゆるがす鉄道ストの波
 民営化に反対し安全人員を要求

(写真 決意大会に続く鉄道労組のデモ【10月12日 ソウル】)

 10月7日から、ソウルを中心に鉄道・地下鉄4社で鉄道労働者の統一的なストライキが闘われた。鉄道民営化に反対し、安全人員の補充を要求する闘いだ。
 前大統領パククネを打倒した2016~17年の「ろうそく革命」によって大統領に就任したムンジェインは、「労働尊重社会」を掲げ、公共部門で働く非正規職労働者の正規職化やパククネ政権のもとでの民営化を柱とする鉄道政策の見直しを公約した。
 しかし、ムンジェイン政権下で鉄道現場の状況はむしろ悪化した。「公衆の安全や生活」を口実にスト参加者を制限する「必須維持業務」制度を維持し、スト権を事実上奪う攻撃に怒りが高まっている。
 民主労総が20万人の組織拡大を実現する中で、新たな労組が続々と戦列に参加してきている。一方で、反動保守勢力はチョグク法相問題を利用して巻き返しを狙っている。社会全体が激しく揺れ動く中で闘われたのが今回のストだ。いずれの労組も、10月から11月の第2次全面ストを構えて決戦に突入した。

無期限ゼネスト構える鉄道労組

 鉄道労組は7日からの順法闘争に続き、11日から3日間の警告ストに立った。
 現在の鉄道人員は必要数の3分の1水準で、「弾力勤労制」(変形労働時間制)の適用によって週に最大64時間まで働かせることができる。労災事故の発生件数も最多という過酷な現場にもかかわらず、賃金の未払いが慢性化している。
 こうした状況に対して鉄道労組は、「労働者が安全であってこそ鉄道の安全が守られる」として、賃金未払い状態の解消や安全人員確保、非正規職の直接雇用などを要求している。鉄道公社は昨年の労資合意で対策を約束したが、今に至るまで履行していない。公社が要求を拒否すれば、労組は11月中旬以降に無期限ゼネストに突入する構えだ。
 労働者民衆の支持も固い。8日には市民団体が鉄道労組とともにストライキ支持の記者会見を開催し、ムンジェイン政権に「鉄道の分割・民営化をやめろ」「ストライキ闘争は正当だ!鉄道公社と政府は合意を守れ!」と突きつけた。
 11日午後には組合員1万人の参加でスト出陣式を行い、12日には各地域本部の決意大会を開催。ソウル駅での大会には3千人を超える組合員が結集した。

地下鉄でも人員不足と安全破壊

 ソウル地下鉄の1~8号線で働くソウル交通公社労組も、安全人員の補充や賃金構造改善を掲げて16日早朝からストに入った。午前9時からの全面ストを目前に控え、夜通し続いた労資交渉が劇的な合意に至ってストは終結。合意文には賃上げに加えて増員や労働環境の改善が盛り込まれた。
 1日に750万人が利用する駅に人員がたったの2人——これが、ソウル交通公社の労働者が直面する恐るべき状況だ。整備中の事故などにより労働者の命が次々と奪われている。一定年齢に達した労働者の賃金を引き下げる賃金ピーク制の導入によって、昨年の人件費は32億㌆も減少した。今回のストは、この現実を覆す突破口を開いた。
 民間委託形式で運営されているソウルメトロ9号線支部も、基本給アップなどの合意をかちとり3日目でストを終結した。人員数は交通公社の同業務のわずか3分の1で、1人勤務が蔓延(まんえん)している。同支部は、民間委託の撤回や安全人員補充、保安要員の正規職転換などを要求して闘った。ソウル市郊外を走る西海(ソヘ)線支部も15日からストに立った。交通公社の子会社による委託運営のもと、労働者の人員は公社の同業務の6分の1で賃金は半分。12駅中10駅が、労働者が1人しかいない「1人駅」だ。この現実に怒りが爆発した。
 東京・日比谷野外音楽堂で開催される11・3労働者集会には、ストライキの一翼を担ったソウル交通公社労組の組合員も参加する。韓国鉄道労働者と団結し、11・3集会に集まろう!
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