中曽根継ぎ改憲狙う安倍倒せ 国鉄闘争勝利・関生弾圧粉砕・階級的労働運動再生へ闘おう 12月海自中東派兵を許さない

週刊『前進』04頁(3092号01面01)(2019/12/09)


中曽根継ぎ改憲狙う安倍倒せ
 国鉄闘争勝利・関生弾圧粉砕・階級的労働運動再生へ闘おう
 12月海自中東派兵を許さない


 11月29日、元首相・中曽根康弘が死去した。11月29日は、中曽根政権下の1985年に動労千葉が国鉄分割・民営化に反対し、渾身(こんしん)のストライキに立ち、これと連帯し全学連・反戦青年委員会が浅草橋戦闘という大衆的実力闘争に、今日の香港の青年たちのように命がけで決起したその日だ。日本労働者階級は、中曽根の死を前にきっぱりと宣言しなければならない。中曽根「戦後政治の総決算」は破綻した!と。そして、中曽根が悲願とした改憲を同じく悲願としながら、「戦後レジームからの脱却」すら掲げ続けられなくなった安倍晋三に、「改憲阻止・日帝打倒」の一大階級決戦をたたきつけよう。中曽根―小泉―安倍へと連なる改憲・戦争と民営化・労組破壊攻撃にとどめをさす2020年決戦へ総決起しよう。

中曽根と対決した動労千葉

 中曽根は、首相就任直前の1982年5月、第6回「生長の家相愛会」で、「いよいよときの潮は満ちてまいりました。私はまず行政改革を断行しよう。(中略)この大きな仕事が失敗したならば、教育の改革もできなくなる。防衛の問題もダメになります。したがって、行政改革で大そうじをして、お座敷をきれいにして、そして床の間に立派な憲法を安置する。これがわれわれのコースであると考えておるのであります」と語った。
 ここに日帝の国家戦略が凝縮して表現されている。その国家戦略とは、行政改革=民営化と労働組合への解体攻撃を突破口に戦後体制を転覆し、改憲・戦争国家化へ突き進むというものだ。
 今日の安倍の官邸主導政治の原点ともなる第二臨時行政調査会を組織し、電電公社(現NTT)、専売公社(現日本たばこ産業)、日本国有鉄道(現JR)の民営化を打ち出した。とりわけ国鉄は、新会社の定員を21万5千人とし、当時41万3千人の国鉄職員のうち20万人首切りを国家として宣言するものであった。「総評を崩壊させようと思ったからね。国労が崩壊すれば、総評も崩壊するということを明確に意識してやったわけです」(「アエラ」1996年12月30日号)と後に語ったように、極めて意識的な労働組合解体攻撃であり、これが「戦後政治の総決算」ということであった。
 こうして国家権力の全体重をかけた国鉄労働運動解体攻撃が遂行された。この時、労働運動における闘う路線が鋭く問われた。松崎明と動労カクマルは「冬の時代」=闘っても勝てないと民営化推進と国労つぶしの大裏切りに転じた、国労指導部は「民営化などできない」との主張から一転して「嵐の時に闘うべきではない」とタコつぼ論に徹した。しかし、中野洋委員長(当時)率いる動労千葉は国鉄分割・民営化に唯一ストライキで反撃した。同時に革共同は、この階級闘争圧殺攻撃に、国鉄・三里塚決戦を大衆的実力闘争・武装闘争として敢行し、自民党・中曽根に痛打を浴びせ続けた。
 動労千葉のストライキをバネに国労現場組合員などの決起も引き出され、国鉄分割・民営化との闘いは1047名解雇撤回闘争として継続し、国家的不当労働行為を暴き出し、同時に民営化の矛盾を暴く外注化阻止決戦として発展している。さらに、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉の3労組の20年間もの共闘の土台となってきた。

大量の墓掘り人を生み出す

 中曽根の攻撃は、一方で総評解散・連合結成へと行き着く。しかし、連合や国鉄分割・民営化に率先協力したJR総連(旧動労)をも解体しなければ、労働者支配がままならない危機にたたき込まれているのが、今日の日帝だ。
 国鉄攻撃とならぶ臨時教育審議会による「教育の民営化」攻撃は、小泉政権での国立大学法人化と学生運動根絶攻撃へと行き着くが、この死闘の中から、法政大決戦・京都大決戦など、全学連・学生自治会運動が再生され、新たな時代のリーダーを生み出している。
 今日、2千万人を超える非正規雇用や、子どもの7人に1人が貧困という民衆の生存権すら否定する現実を生み出す転換点をなしたのも、中曽根政権下の労働者派遣法制定であった。しかし、これらは資本主義への怒りとその墓掘り人を膨大に生み出した。何より改憲はいまだならず、中曽根が導入に先鞭(せんべん)をつけた原発は3・11東日本大震災・福島第一原発事故で破産し、福島の怒りの直撃を受けている。「日米同盟」と大軍拡路線は、その矛盾の集中点、沖縄を先頭に帝国主義支配の破綻点となっている。
 日本労働者階級は数々の死闘とおびただしい犠牲を払いながら階級闘争を守り前進させてきた。この過程こそ、日帝を打倒するプロレタリア革命の主客の条件を手にする過程であった。
 今日、関生・JR決戦が労働運動再生の合図となろうとしている。中曽根「戦後政治の総決算」は打ち破られた。社会に充満する怒りを階級的労働組合が中心になって解き放つ時を迎えているのだ。
 この時、日本共産党前議長・不破哲三は中曽根死去に「なかなか礼節のある人だった」「率直な討論のできる政治家だった」と礼賛のコメントを発した。不破と中曽根は、日帝が存立の危機にあるという認識を共有し、いざとなったら自衛戦争を戦うという志を同じくしていたのだ。コメントは、日本共産党が日帝の最後の擁護者の役割を果たすという表明でもある。絶対に許せない。

世界的な総反撃が始まった

 中曽根政権(1982〜87年)は、英・サッチャー政権(79〜90年)、米・レーガン政権(81〜89年)とならび、74〜75年世界恐慌を経た帝国主義の危機と争闘戦の激化に対し、新自由主義政策を強行し、戦争と解雇・民営化、労組破壊など世界で労働者階級を塗炭の苦しみにたたき込んだ極悪政権だ。
 しかし、ついに新自由主義は破綻し、本格的全面的な革命情勢を世界で生み出している。
 1973年のピノチェトの軍事クーデターと新自由主義経済学者・フリードマンの子飼いら「シカゴボーイズ」を招き入れ、水道や教育などの民営化で社会の崩壊を引き起こした南米・チリ。ここで「新自由主義の実験場」を「新自由主義の墓場」とする闘いが始まっている。イギリスもアメリカも、そして日本も同じだ。これらの闘いは「労働者は一つだ!」という国際主義に満ち、有形無形の連帯で新自由主義への世界的な総反撃となっている。
 中国スターリン主義の「血の弾圧」を恐れず立ち向かう香港の青年・学生、中高生らの決起は、紆余(うよ)曲折を経ようとも、帝国主義とスターリン主義の打倒まで行き着かざるをえない新たな革命情勢の到来を鮮烈に示している。さらに「ろうそく革命」の完遂に向かう世界最強の労働組合、韓国・民主労総の決起はプロレタリア革命の方向性を必死に切り開く死闘だ。東アジアこそ動乱の最焦点だ。
 米帝・トランプは12月3日、北朝鮮に対して「必要があれば軍事力の行使も辞さない」と述べた。日帝・安倍は「調査・研究」と称して中東への自衛隊派兵へと踏み切ろうとしている。日本関連船舶が攻撃を受けるなどの「不測の事態」には海上警備行動を発令し、ホルムズ海峡での活動も排除しない構えだ。改憲と米帝の対北朝鮮戦争を見据えた巨大な踏み切りだ。
 この大動乱と新たな時代の幕開けに、日本の労働者階級も「改憲阻止・日帝打倒」を掲げて合流しよう。
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