原発事故はますます深刻 「復興五輪」攻撃打ち砕こう 3・11反原発福島行動'20へ

週刊『前進』02頁(3103号02面01)(2020/01/30)


原発事故はますます深刻
 「復興五輪」攻撃打ち砕こう
 3・11反原発福島行動'20へ

(写真 昨年の3・11反原発福島行動。全国から700人が結集し、被曝・帰還を強制する安倍政権に怒りの声を発した【郡山市】)

 2011年3・11福島第一原発事故から間もなく9年。福島原発事故は「収束」どころか、ますます深刻な実態があらわとなっている。「原発事故は終わった」「福島は安全」とするために安倍政権が進める「復興五輪」攻撃と、そのためのJR常磐線全線開通攻撃を打ち砕こう。福島の労働者人民の「怒りのマグマ」と広く深く結びつき、3・11反原発福島行動20(郡山市・けんしん郡山文化センター)に全国から集まろう。

常磐線開通は被曝の強制

 2013年に安倍が「フクシマについては、私が保証する。(原発事故の)状況はアンダーコントロール(統御)されている」と大ウソをついて招致した東京オリンピックが今年の夏に迫った。政府は3月26日にJヴィレッジ(楢葉町、広野町)から聖火リレーをスタートさせ、ソフトボール予選6試合と野球予選1試合を福島市のあづま球場で行うことで「福島は安全」と全国全世界にアピールしようとしている。
 だが、福島第一原発の廃炉作業はまったく進んでいない。それ以上に、廃炉の恐るべき困難性が日を追うごとに明らかになっているのが現実だ。放射能汚染も深刻な状態のままだ。政府が3・11当日に発令した「原子力緊急事態宣言」もいまだ解除されていない。野球とソフトボールの試合を行うあづま球場の周りの雑木林に一歩入れば、今でも放射線量は毎時0・5㍃シーベルトをゆうに超える現状だ。Jヴィレッジにいたっては、昨年10月、グリーンピース・ジャパンの調査・告発によって、なんと駐車場の一部で地表面は最大、毎時71㍃シーベルト、地上1メートルで毎時1・79㍃シーベルトもの空間線量が検出された。
 こうした高濃度の放射能汚染のなかで、子どもたちが動員され被曝させられている。あづま球場はIOC(国際オリンピック委員会)の要請で全面人工芝に張り替えたが、放射能汚染された天然芝をはがす作業に地元の中学校と高校の野球部員が動員され、マスクもせず笑顔で作業に当たる姿が報道された。
 この「復興」キャンペーンのなかで、シンボルと位置付けられているのが3月14日のJR常磐線の全線開通だ。JRは、安倍政権の政策の旗振り役として「住民が戻るきっかけにするために鉄道を整備する」と語る。だが今回、帰還困難区域で避難指示を「先行解除」するのは夜ノ森(富岡町)、大野(大熊町)、双葉(双葉町)の各駅とその周辺の道路のみだ。それとても「除染」で一時的に線量を下げたにすぎない。
 放射能汚染が激しい福島の中でも、福島第一原発に最も近いこの一帯は格段に高線量であり住民が住むことなど不可能だ。廃炉作業でさらに重大な核惨事の危険もある。この中を常磐線を全線再開させ東京―仙台間に特急まで再開させることは、JR労働者と乗客に被曝を強い沿線にまで放射能汚染を広げるものだ。

今なお危険な福一の現状

 福島原発事故の深刻さを見据えよう。推定880㌧と言われる溶け落ちた核燃料(デブリ)はどこにあるのかも特定できず、大量の水をかけ続けて冷却状態を保てているのが実態だ。
 福島県は昨年4月、今年度中に第一原発の敷地外に中性子線測定器を3台設置し、再臨界が起きた際に出る中性子線を迅速に察知する監視体制を強化すると発表した。再臨界が起きる可能性を想定しての措置であり、これは福島原発が常に再臨界、再爆発の危険性をはらんでいることを端的に示している。
 また、水素爆発した4号機の原子炉建屋にある使用済み燃料プールに貯蔵していた核燃料集合体は共用プールへの移送を終えたが、1号機から3号機までの使用済み燃料プールには未使用のものも含めて合計で1500体以上の集合体がほとんど貯蔵されたままである。炉心溶融も水素爆発も免れた5、6号機に貯蔵されているものも含めれば、総数は4700体を超える。このうち3号機でやっと昨年4月に、炉心溶融した原子炉建屋では初めて未使用の49体を取り出しただけというのが現状だ。移送先の共用プールの空き容量の確保問題、高線量下での不安定な作業の連続という問題もあり、核燃料取り出しはきわめて困難となる。
 「放射能汚染水」も深刻だ。「トリチウム安全」説は偽りであり、そのうえで、東電の公表では保管されている約100万㌧のうち「トリチウム水」と表現できるものは二十数%で8割近くは環境影響が未知数の汚染水だ。放出など絶対に許してはならない。

分断攻撃はね返し団結を

 昨年9月19日、東京電力の旧経営陣に対し、許しがたいことに東京地裁は無罪を言い渡した。昨年10月15日には、県内の農家が原発事故で農地に飛散した放射性物質を取り除くことを東京電力に求めた裁判の差し戻し審で、福島地裁は、放射性物質を含んだ土地について、事故に由来する放射性物質も農家などが所有していると言えるとし、東電に放射性物質を取り除くよう請求することはできないと、原告の訴えを退けた。これらすべては「次の事故」まで想定した原発再稼働へ向けた攻撃だ。
 甲状腺検査ではすでに231人にがんまたは疑いの診断がなされている。だが福島医大も御用学者も、かたくなに原発事故の影響を認めることを拒んでいる。
 福島の子どもたちの命と未来が深刻な危機にさらされている。被曝による被害はまた甲状腺がんだけでなく、福島県内にとどまるものでもない。にもかかわらず、安倍政権は核・原子力政策を堅持し核武装—核戦争に突き進むために、被曝の事実を隠蔽(いんぺい)しようとしているのだ。
 怒りを一つにし、子どもたちの命と未来を守り、政府・東電に事故の全責任をとらせる闘いを巻き起こそう。闘いはこれからだ。分断攻撃に負けずに、福島の根底的な怒りが結合したとき、安倍政権を打ち倒し、改憲・戦争と核武装—核戦争も阻むことができる。
 福島の労働者人民と団結し全国から郡山に駆け付けよう。3・11反原発福島行動20を大成功させ、「復興五輪」攻撃を打ち砕こう。
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