学生戦線の2020年アピール 青年・学生の運動を創造しよう

週刊『前進』04頁(3106号03面01)(2020/02/10)


学生戦線の2020年アピール
 青年・学生の運動を創造しよう

(写真 2月1日、護衛艦「たかなみ」の中東派兵に抗議する横須賀市内デモに全学連も参加して闘った)

 2020年は、年明けから世界戦争の危機が進行していることを全民衆に告げ知らせて始まった。イラン―中東をはじめとして戦争の危機はますます高まっており、安倍政権は中東海域への自衛隊派兵を通じて改憲・戦争国家化を進めようと画策している。安倍政権の改憲・戦争国家化策動を阻止し、そのなかで不可避的に生まれる政治・経済危機を日帝打倒へと転化しよう。2020年を日本階級闘争の飛躍の年にしよう。

帝国主義の危機を革命へ

 元旦から日本経済新聞が「逆境の資本主義」という連載を始め、彼らなりのやり方で危機感を表明しているように階級支配の危機は深まっている。
 世界は革命情勢である。問題は、われわれを含め情勢を革命に転化する革命党の未熟さにある。帝国主義の不均等発展がアメリカにおいてラストベルトをはじめ労働者階級の生活崩壊を生み出しても、革命への意識性が弱ければ、労働者階級の怒りがトランプの「自国第一主義」に回収されたように、資本主義の危機は労働者民衆を巻き込んでまさしく「共倒れ」へと向かう。そして現代においては、その共倒れはもはや核戦争など人類滅亡という形になってもおかしくない。
 われわれは、みじめな帝国主義戦争を絶対に二度と繰り返させたくない。革命情勢を真に革命にするためには、危機的な情勢と支配階級の攻撃をみすえるだけでなく、そこから生み出される生きた労働者民衆の主体も捉え、時代認識を深くする必要がある。
 「『正しい方針』というのは、組合員がわかってくれたときに初めて正しいものとなる」(中野洋・元動労千葉委員長著『甦(よみがえ)る労働組合』)。学生戦線はその組織対象がほぼ確実に10~20代であるということから、新自由主義のなかで生まれ育った世代と結合し、革命的に獲得する最前線にいる。革共同の半世紀をこえる地平を生かし、新たな時代を切り開くために党の最先頭で挑戦する決意である。

若者の政治意識つかもう

 かつてレーニンは1908年10月、ストルイピン反動が吹き荒れる大学における学生運動の戦略について語った小論『学生運動と今日の政治情勢』の中で、「学生運動とは一般的な政治行動と歩調をそろえたものとだけ考えている」と述べる学生グループに対して「プロレタリアートと歩調をそろえた学生の政治行動をめざさなければならない、うんぬんという革命的スローガンは、ここでは、ますます広範で、全面的で、戦闘的な扇動を行う生きた指針から、いろいろな運動形態のいろいろな段階に機械的にあてはめられる死んだドグマになっている」と諭している。新自由主義30年のなかで階級闘争が後退してきた今の日本においても共通する要素はないだろうか。われわれは高い目的意識をもって、団結することの重要性、そして党をつくることの重要性を、今を生きる世代が大きくつかみとるためにもっと努力しなければならない。
 1980年代の国鉄分割・民営化以来、新自由主義が社会を覆い、労働運動をはじめ社会運動が全般的に後退するなかで学生・青年が大規模に政治的意見を表明することも少なくなった。私たちが出会い、ともに闘う仲間から、つまりわれわれの運動の枠内にいる率直に言って数少ない「若者」をベースにしてその全体像を導き出すことは困難であろう。ここでは先行する研究を参考にしたい。
 『分断社会と若者の今』(吉川徹著)では、2015年に20代~30代を対象に大規模な面接調査を行い、若者の全体像に迫ろうとしている。これによれば「保守化」は若者全体の傾向ではなく「高学歴の正社員、特に大企業のホワイトカラー層」だとされ、いわゆる「政治離れ」が顕著なのは「非大卒」の若者だという。そして全体の傾向として物質主義・経済重視・宿命主義が見られるという。「若者」のなかにも経済格差・教育格差に基づいて深い分裂があることが見て取れるだろう。
 『イデオロギーと日本政治―世代で異なる保守と革新』(遠藤晶久著)では、若者は「保守化」しているのではなく、自民党が「現状変革」を訴える「革新」政党であり、共産党などの野党が「現状維持」を訴える「保守」政党であると感じていることが示されている。若者が全体として変革を望んでいることは何ら変わっておらず、むしろ労働問題や社会保障などの身近なテーマにおいては左派的であり、「左傾化」しているのが実態である。が、ただそれは左派政党の支持に結びついておらず、「支持政党なし」が圧倒的に多いと述べられている。
 上述の二つの著書を並べると、一見したところ不可解であるが、両者が共通して提起していることがある。それは若者のなかに「意識的な左派が少ない」ということである。明確な自民党支持層は一定数いるが、そのような「保守化」した若者とは高学歴のホワイトカラー層が多く、左派的な若者の多くは「支持政党なし」の状態にある。つまり、一部の高級労働者以外は感覚的には圧倒的に左傾化しているが自らを「左翼」だと思っていないのである。
 『イデオロギーと日本政治』の著者は「なぜ日本の有権者(特に若者)が保守化したかではなく、自民党がどのように左派からの支持を取り付けているのかが問われるべき」と述べているが、われわれからすればこれは逆である。これは左翼の弱さを示すものとして受け止めるべきであり、自らの主張が理解されないことに対して「若者の保守化」などと大衆のせいにするべきではない。
 総評が解体し、連合が結成されて約30年。「団結すれば勝てる」という実感を持てない社会で生まれ育った私たちは即物的に生きざるをえないし、スタートラインの圧倒的格差の前に運命を嘆きがちになる気持ちは理解できる。それでもこの社会が変わってほしいと願う若者は圧倒的に存在する。それはこの間のわれわれの実践や、「前進チャンネル」に対する注目、それを通じた結合によっても示されてきた。
 われわれは職場やキャンパスで孤立しがちの左派層にもっと大胆に呼びかけ、その結合・決起を助ける必要がある。その闘いの発展は不可避的に階級支配全体を揺るがすものになるだろう。職場・学園といった拠点における攻防も街頭におけるデモンストレーションも、主体は同一人物になるのであり、本来は分裂するものではない。街頭と拠点攻防を相互に促進しあうものとして構えなおし、全面的な若者の運動を創造しよう。

拠点攻防闘い改憲阻止へ

 改憲へ向けたイデオロギー統制の最先端である大学をめぐる闘争は、京都大学を先頭に力強く前進している。「大学改革」による自治破壊は、京都大学のようにいまだ戦後民主主義的な関係を守り抜いてきた大学でも激しく襲いかかってきているが、処分撤回闘争は着実に発展している。
 だが、勝ちとられた「自由」は、その防衛にのみこだわれば階級全体との関係では「特権」にしかならない。広範な政治運動に挑戦し、団結を拡大しなければならない。京大をはじめとする拠点攻防の前進と政治闘争への取り組みを有機的に統一し、全面的な階級闘争の発展を切り開こう! 学生戦線はその取り組みを通じて改憲阻止―日帝打倒へ向かう。すべてのみなさん、共に闘おう!
〔革共同中央学生組織委員会〕
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