3・22新宿デモに集まろう 全社会の変革かけ改憲阻止を 動労千葉・田中康宏顧問(大行進運動呼びかけ人)に聞く

週刊『前進』02頁(3115号01面01)(2020/03/12)


3・22新宿デモに集まろう
 全社会の変革かけ改憲阻止を
 動労千葉・田中康宏顧問(大行進運動呼びかけ人)に聞く


 改憲・戦争阻止!大行進運動のスタートから2周年となる「アベたおせ!3・22新宿デモ」の成功に向け、この運動を呼びかけた一人である動労千葉の田中康宏顧問に意気込みをうかがった。(編集局)

戦後史の全てかけた闘い

 改憲・戦争阻止!大行進運動の発足からもうすぐ2周年。みなさんが全国各地で奮闘してくださったおかげで、多くの新しい仲間を迎え、運動の広がりをつくりだすことができました。運動を呼びかけた一人として心からお礼を申し上げたいと思います。
 「改憲・戦争阻止!大行進」という名称を提案したのは私なのですが、その時に意識したのは「改憲阻止」という闘いの歴史的な大きさでした。戦後日本の労働者民衆にとって3世代、4世代にもわたる「ロンゲストマーチ(最も長い行進)」だというイメージがあった。安倍政権による憲法改悪が現実化しようとしている今、戦後70年以上にわたる闘いとそこに込められた思いのすべてを背負って、今こそまなじりを決して勝負に出て、大きな民衆の大行進をつくりだす――その決意を名称に込めたのです。
 歴史を振り返れば、憲法をめぐる闘いは1946〜47年の憲法制定過程から始まっていました。日本帝国主義の敗戦直後、中国や朝鮮半島をはじめアジア諸国で民衆が革命に立ち上がり、日本でも強制連行されていた在日朝鮮人・在日中国人労働者の決起を皮切りに闘いが開始されました。
 45年9月の読売新聞争議では、読売の労働者が経営者の戦争責任追及と社内民主化を訴えて一時は新聞の編集権を完全に握りました。続いてあらゆる職場で次々と労働組合がつくられ、ストライキや生産管理闘争が闘われました。46年の5月の食糧メーデーでは「人民政府即時樹立!」を叫ぶ労働者で皇居前が埋め尽くされ、同年の10月闘争では経済的要求のほとんどすべてを実現。そして47年2・1ゼネストへ攻め上るわけですが、結局ゼネストは不発に終わりました。
 こうした嵐のような革命の中で「戦争放棄」をうたった憲法がつくられたのです。しかし、この過程で日本の民衆が闘いきれなかった課題もある。一つは天皇制が維持されたこと。もう一つは、沖縄を「基地の島」としてアメリカに売り渡すことを許してしまったことです。そう考えると、改憲阻止闘争とは本来、現状維持的な「護憲」運動ではなく、天皇制廃止と沖縄の米軍基地撤去という戦後革命以来やり残した課題を本当に実現していく、そしてその力で社会のあり方を根本から変革していく闘いとして貫かれなければならないはずです。
 改憲攻撃の中で、代替わりを機に象徴天皇制が再び政治の前面に押し出され、沖縄では辺野古新基地建設の強行や自衛隊配備という形で日米安保体制の強化が進んでいる。これと真っ向から対決して、戦後日本の民衆の3世代、4世代にわたる「大行進」を今こそ勝利させる時だと思います。

労働運動復権のチャンス

 安倍政権は2014年に集団的自衛権行使容認を閣議決定し、その翌年に安保戦争法を強行成立させますが、この過程は内閣法制局長官のすげ替えから始まりました。これは「静かなるクーデター」だったと思います。以後、国家のあり方が急速に変質し、もはや明文改憲をやる以外に法的整合性がとれないようなことが次々と強行されています。毎年5兆円を超える防衛予算のもとで大軍拡が進み、昨年には幕張メッセで国内初となる武器の国際見本市が開かれ、日本企業も60社以上参加しました。
 こうした中で、「国を守るために必要な実力組織」として憲法に自衛隊が明記されればどうなるか。国を守るに足る実力組織を持つためだと言って軍事予算は際限なく膨張し、学校や地方自治体、マスコミなどに対しては自衛官募集業務への協力など、「実力組織」の維持・強化のために尽くすことが憲法で義務付けられることになります。
 社会のあり方が根底からくつがえされるのです。しかし、安倍政権はクーデターのようなやり方はできても、改憲に向かって国民を結集することはほとんど成功していない。どんな独裁政権も「下」から呼応する動きがなければ成り立たないものです。だからこそ安倍は北朝鮮脅威論や韓国へのバッシングなどあらゆる手を使って排外主義をあおってきたわけですが、改憲賛成の世論は盛り上がらず、むしろ安倍政権の不正・腐敗の数々に対する労働者民衆の怒りの声がますます高まっています。
 今や日本の労働運動・階級闘争が大きく息を吹き返すチャンスであり、私たちの取り組みの本気さが問われていると思います。

香港に続く日本の闘いを

 新型コロナウイルスの感染拡大を通して暴かれたのは、新自由主義の30年間がもたらした社会の崩壊でした。医療体制の崩壊で検査も治療も受けられない。一斉臨時休校で共働きの労働者が出勤できなくなり、個人事業主や非正規労働者は仕事を失っています。千葉ではディズニーランドが休園になり、そこで働く万単位の非正規労働者が明日をも知れない状態です。何か事が起こればたちまち冷たい水の底に沈むしかないような、薄い氷の上に何千万という労働者が置かれている----これが新自由主義が生み出した現実です。
 そもそも感染症が広がることは「特別なこと」ではなく、多くの人間が生活する社会では普通に想定されていなければならないことです。感染症の発生が原因で膨大な労働者の生活が破綻するなど本来あってはならないことです。だからこそ、この事態に対する私たちの回答は闘うことです。適切な医療を要求し、労働者の雇用や生活を守り、今の社会のあり方は根本的におかしいと声を上げなければならない。香港では、結成されたばかりの医療労働者の労働組合が医療現場の改善や感染症対策を要求して5日間のストを闘い、他の業種にもどんどん拡大しています。日本でも同じ闘いが求められています。
 全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部への弾圧や、JR職場における労働組合つぶしとの闘いも、この状況下でいよいよ重大な攻防となっています。今こそ労働者の団結した闘いをよみがえらせる。その突破口として3・22新宿デモを盛大にかちとりたいと思います。

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