コロナ「戒厳令」を打破する闘い 動労千葉ストを支えよう

週刊『前進』02頁(3115号01面03)(2020/03/12)


コロナ「戒厳令」を打破する闘い
 動労千葉ストを支えよう


 動労千葉は、JRのダイヤ改定時に木更津運輸区を拠点にストライキを配置して闘おうとしている。木更津支部長に対してかけられた不当な減給処分とCTS(千葉鉄道サービス)への強制出向に、実力で反撃する闘いだ。
 新型コロナウイルスの感染が広がる中、安倍政権は小中高校の休校を指示し、さらに公共施設の閉鎖などが相次いでいる。安倍の狙いは感染防止ではなく、労働者人民が集まりを持つこと自体を禁圧することにある。戒厳令が布告されたような状態を先行的につくることによって、緊急事態条項の新設を含む改憲に突き進もうとしているのだ。
 この中で動労千葉は、車両の消毒など鉄道業者として当然なすべきことを行えとJRに求め、感染や育児のため仕事を休まざるを得ない場合などの休業補償を緊急に申し入れた。だが、JRが出した対策は「年休があれば年休を使え。年休がなければ無給の私傷病休暇か養育休暇を申請しろ」というものでしかない。
 政府でさえ、1日わずか8330円とはいえ、休業補償をする企業には助成金を支給するとしているのに、大企業のJRの対応がこれなのだ。労働組合が闘わなければ、企業への助成金も、賃金として払われないことになりかねない。
 生産が止まり、休業が拡大し、非正規労働者の雇い止めが始まっている。労働組合の出番が来た。
 にもかかわらず、多くの労組が春闘集会を次々に中止している。この情勢を突き破って、動労千葉のストライキは闘われる。

トヨタ先頭に春闘解体する連合幹部

 今年は春闘そのものが岐路に立たされている。トヨタ自動車労組は、コロナウイルス問題が本格化する前の2月中旬に、例年行われていた春闘期の集会を取りやめると決定した。
 昨年末、同労組が人事評価に応じてベースアップに格差をつける方針を打ち出したことは、社会に衝撃を与えた。2月下旬に行われたトヨタの労使交渉で、経営側はさらに、定期昇給も評価で差をつけることを提案した。労組側も、「頑張っている組合員に今まで以上に報いる制度にする」として、これを受け入れた。
 驚くべきことにこの交渉は、労組と経営役員と管理職が三角形に机を並べて向き合う形で行われた。日経新聞電子版は、これについて「組合員ではない課長級以上の管理職も議論に参加することで、会社を取り巻く環境の変化などへの問題意識を共有する狙いがある」と報じた。これはもはや労使交渉ですらない。
 コロナショックにより、トヨタの中国市場での自動車販売台数は2月、前年同月比で70・2%も減少した。国内市場はかねてから頭打ちだ。トヨタといえど生き残れるとは限らない。その危機感から資本が打ち出す延命策を、労組幹部が拝聴し「主体化」する場がトヨタの「労使交渉」だ。
 連合のシンクタンク・連合総研が昨年12月に出したレポートによれば、トヨタの春闘はかねてから「競争力強化に向けた組合員の危機感・思い・決意などにつき主張する」ものとして行われてきたという。だが、それでも資本は労組の姿勢に不満だった。だから昨春闘でトヨタ資本は、豊田章男社長を先頭に「厳しい競争環境にあるという危機感が共有されていない」と労組を激しく恫喝(どうかつ)したのだ。
 トヨタ労組はこれに完全に屈した。そして、年功賃金や新規一括採用、無期雇用という日本型雇用システムの最後的な解体を、資本とともに進めている。それは、連合自身の存立基盤を自ら掘り崩すものになる。
 連合に代わる闘う労働組合をよみがえらせて春闘を闘う時が来た。コロナウイルス問題が突き出したのは、新自由主義による社会の総崩壊だ。これと対決して労働者の生命と生活を守れるのは労働組合だけだ。
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