3・29三里塚全国集会へ 第3滑走路計画粉砕しよう

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週刊『前進』04頁(3116号03面02)(2020/03/16)


3・29三里塚全国集会へ
 第3滑走路計画粉砕しよう

(写真 開拓組合道路から2020年初の敷地内デモに出発した三里塚反対同盟【1月12日 成田市】)

 新型コロナを契機とする全世界的経済危機と大失業攻撃は、数十年に及ぶ新自由主義支配の結果だ。日本帝国主義・安倍政権こそが一切の元凶だ。危機に駆られて強権政治と改憲へと突き進む安倍を打倒しよう。三里塚芝山連合空港反対同盟の呼びかけに応え、3・29三里塚全国集会に結集しよう。(1面に要項)

市東さんの農地守る決戦

 3・29は何よりも、全力で市東孝雄さんの農地を守る態勢に突入する集会だ。
 市東さんの農地をめぐる裁判は大詰めを迎えている。ところが新型コロナ問題で、結審を控えた3月18日の新やぐら裁判(千葉地裁・内田博久裁判長)、同25日、27日の請求異議裁判控訴審(東京高裁・菅野雅之裁判長)の期日が取り消されてしまった。さらにわれわれ自身の力で、早期結審=反動判決策動を徹底的に粉砕しよう。
 市東さんの農地の取り上げは第一に、戦時土地徴発の先取りであり、改憲攻撃そのものである。
 三里塚の不屈の闘いによって、土地収用法に基づく事業認定が失効し強制収用ができなくなった。成田空港会社(NAA)は市東家の農地を取るために、今度は農地法の趣旨を180度ねじ曲げて、民事訴訟で土地明け渡しを迫るという暴挙に及んだ。裁判所はそれにお墨付きを与える反動判決を出し続けてきた。このデタラメな土地収奪のやり口は、戦時における土地徴発と同じだ。「国の緊急時には人権を制限する」という改憲・緊急事態条項を先取りするものだ。第2次世界大戦中には国家権力が有無を言わさず労働者・農民に土地を供出させ、飛行場や基地を増設した。
 農地取り上げは第二に、日本の農業を大資本のもとに従属させ、農民を切り捨てる攻撃だ。
 明け渡し請求の対象となっている農地は、市東さんの全耕作面積の73%。営農に不可欠な育苗ハウスや作業場、離れ、トラクター置き場なども奪おうとしている。営農・生活を成り立たなくさせ、農民としての死を強制するものだ。
 これは、家族経営型農業を踏みつぶし、大資本の農業参入・農業支配を促進する安倍農政と一体だ。
 戦後農地法の「耕す者に権利あり」の農地所有制度は、戦前・戦後の農民運動=小作争議がかちとった地平だ。これを破壊することなしに大資本の農地所有に道を開くことはできない。
 労農同盟的課題として農民の生活と権利を守り、市東さんの農地決戦に勝利しよう。「改憲・戦争阻止!大行進」運動の柱に農地を守る闘いをすえて、全国の労働者・農民に訴えよう。

成田が新型肺炎で大減便

 3・29全国集会はさらに、成田空港機能強化策=第3滑走路建設計画を周辺住民と共に必ず粉砕することを宣言する場だ。
 国土交通省は1月、B滑走路1千㍍延長、3500㍍の新滑走路建設、空港敷地の2倍化というとてつもない施設変更申請を、NAAに認可した。住民に暴力的に立ち退きを迫り、農地・山林・水系を押しつぶし、騒音地獄をもたらし、地域を丸ごと破壊する攻撃が本格的に開始された。
 反対同盟は、南は千葉県横芝光町から北は茨城県稲敷市に及ぶ騒音下全地区住民のあらゆる反対の声を集め、反撃を開始している。
 第3滑走路の本質的狙いは、日本帝国主義のアジア侵略・勢力圏化のための社会的経済的基盤づくりと、巨大軍事空港建設にある。
 だが、コロナ・ショックが第3滑走路の破綻性と反動性を明るみに出した。成田の運休・減便はかつてないものだ。2月1〜22日、中国への旅客数は、前年比で約67%減。3月以降さらに深刻化している(週刊三里塚第1035号)。19年の成田の年間発着実績は、経営計画として掲げた目標の27万回にも達しない。その上に、羽田国際線増枠で成田の国際線は週当たり約250便減る。それに追い討ちをかけたのが、コロナ・ショックの大減便だ。
 成田の航空需要減少は一時的なものではない。NAAは2020年30万回、30年以降に50万回という需要増予測を立て、だから第3滑走路が必要だと強弁してきたが、それが空想と願望でしかなかったことが明らかになり、今やこの計画は土台から崩壊した。
 特に深刻なのは、新増設LCC(格安航空)便の相次ぐ休止・延期だ。NAAは鳴り物入りでLCC誘致の成果を誇った。イールド(収入単価)の高い北米路線が羽田に移ることによる収益悪化に対し、これを補う生き残り策がLCCのアジア路線と国内線の強化であった。NAA田村明比古社長は、夜間飛行時間の延長を「LCCが成田でビジネスしやすい環境を提供するため」と言い放った。LCCがもうけるために騒音に耐えろというのだ!

労農連帯の力で大反撃を

 コロナ・ショックにより、外国人観光客の「永遠の増加」を当て込んできた観光産業もかつてない危機に陥り、そのもとにある労働者が苦境を強いられている。安倍による「観光立国政策」のゆがみ、破産が一挙に突き出されたのだ。その片棒を担いだ田村社長の責任は重大だ。田村は国交省航空局長(2014年)の時から、「観光立国の推進に貢献していくのがわれわれの使命」と語るアベノミクス推進者で、羽田新ルートと成田拡張を策定した張本人。社長就任後の昨年11月のインタビューでは「国が目標に掲げる『2030年訪日客6千万人』に対応できる体制をつくる」と得意がっている。
 観光産業の現実は、一部の巨大資本が中小資本を階層支配し、労働者の多くが非正規雇用で劣悪な労働環境に置かれており、まさに新自由主義を象徴している。観光産業労働者、航空・空港労働者は軒並み、安全軽視、長時間の強労働を強いられている。これによってインバウンド(外国人観光客)などのバブルがつくられていたのだ。労働者の「生きさせろ!」の闘いの爆発は不可避だ。
 第3滑走路建設阻止・空港機能強化粉砕の闘いは、大失業攻撃、賃下げ、解雇などへの全面的な反撃でもある。労働者を犠牲にし、第3滑走路だけで5千億円、全体で1兆3千億円が投下されて行われる空港拡張はまさに、「今だけ、金だけ、自分だけ」の新自由主義の象徴であり、安倍、田村の延命の頼みの綱だ。周辺住民の闘いと結合し、労農連帯の力で絶対に粉砕しよう。3・29赤坂公園に大結集しよう。
(大戸剛)
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