安倍倒し命と教育を守ろう 学校を地域の団結の拠点に 革共同教育労働者委員会

週刊『前進』04頁(3122号02面01)(2020/04/06)


安倍倒し命と教育を守ろう
 学校を地域の団結の拠点に
 革共同教育労働者委員会


 2月27日夕刻、安倍は突如、新型コロナウイルス感染拡大防止のためとして、全国の小中高と特別支援学校の一斉休校を要請した。パンデミック(世界的大流行)と世界大恐慌情勢、そして東京五輪の中止に震え上がり、「復興五輪」に政治的命運をかけてきた安倍が「緊急事態宣言」を先取りする形で号令を発したのだ。子どもたちを通じて、家庭から地域社会へと最も深く結びつく学校を使って、恐怖をあおり批判を封じ込め、「戦時」として国家総動員体制を学校からつくり出そうとしている。学校と教育を安倍の改憲・戦争への道具にさせてなるものか。教育労働者の誇りにかけて立ち上がる時が来た。

学校使い国家総動員狙う

 安倍の「要請」を受けた文部科学省は翌28日、事務次官通知として3月2日から春季休業の開始時までの臨時休業を発出。休校日などの設定権限を持ち「学校の設置者」である各自治体の教育委員会は、ただちに小中高などに対して休校措置をとった。その数は、まったく感染者が出ていない都道府県、市町村も含めて全国の約99%に上った(3月4日、文科省発表)。
 対策本部の専門家の科学的検討もないばかりか、萩生田文科相にさえ知らされず、何よりも地域や学校の実態を最も熟知する現場の教育労働者を無視した突然の休校である。そして今度は、東京五輪の1年延期を決定させるやいなや、むしろ感染が拡大しているこの最中に、萩生田は3月24日、新学期からの学校再開の指針を発表した。
 安倍は「子どもたちの命を守る」と言うが、そもそも感染防止の重要な初期対策である検査もせずに情報を隠ぺいしてきた。結局、国家と資本を守ることに一切を優先させ、安倍独裁をつくり出しているのだ。
 一斉休校は日本の近代教育史上、第2次大戦末期の「戦時教育令」(1945年)による授業停止以外に例はない。敗色が濃くなる中で、「戦時ニ緊切ナル要務ニ挺身シ」と児童・生徒を食料増産・軍需産業に就かせるために、勅令で事実上授業を停止させ、国家総動員を推し進めた。
 そして今日、休校で卒業式に在校生も保護者も出席させず、式の時間も短縮する一方で「君が代」だけは歌わせる。一昨年の北朝鮮の飛翔体発射実験を口実としたJアラート(全国瞬時警報システム)訓練=戦時訓練を学校から始めたことと同じだ。「教え子を戦場に送らない」闘いを今こそ職場からつくろう。

米UTLAに続く闘いを

 新自由主義40年は、医療崩壊をはじめ労働者が生きられない社会をつくり出した。その上での「コロナ・ショック」で、安倍は一切の犠牲を労働者に強いて延命しようとしている。
 突然の休校による家庭の崩壊。共働き、一人親の児童や障害のある子どもたちは、大切なよりどころである学校生活と居場所を奪われている。早朝から子どもたちを受け入れることになった学童保育や児童館は、職員の確保もできず、学校以上の過密状況が生み出され、「感染防止」と真逆の状態が強制されている。
 また、学校給食がなくなることは深刻な問題だ。子どもの7人に1人が貧困状態の中で、成長盛りの子どもたちの重要な栄養源になっている給食を奪うのだ。
 休校による保護者の休業補償は、上限8330円と最賃並み。しかも、企業に助成金を支給するため、労働者に賃金が必ず補償されているわけではない。
 学校給食の製造業者なども大打撃だ。給食用の食材を提供している業者は地元の中小零細企業、商店であり、休校での製造・販売ストップは死活問題だ。また学校給食のほとんどが民間委託されており、従業員に解雇が襲いかかっている。
 さらに、非正規職の教育労働者への解雇と賃下げも重大な攻撃だ。
 何の責任もとらない「休校要請」や吹き荒れる解雇攻撃を打ち破るために、教育労働者は地域の労働者・住民と団結して闘おう。アメリカのUTLA(ロサンゼルス統一教組)は「学区の先制的休校措置」を求めるとともに、生徒の家族への支援金や、休校で働きに出られない労働者への災害支援基金などを要求し闘っている。そして韓国で、香港で、世界中で新たな決起が始まっている。日本の教育労働者も続こう!

危機に乗じ民営化促進で公教育破壊

 学年末という大切な時期での突然の休校は、重要な学びの機会が失われることであり、とりわけ家庭環境の格差が学力格差を広げる。文科省はオンライン学習支援として「子供の学び応援サイト」を立ち上げたが、インターネット環境のない子どもたちには格差を助長するものでしかない。
 自民党の教育再生実行本部とEdTech(エドテック)振興議員連盟は3月2日、合同会議を開き、この危機を利用して「教育のICT(情報通信技術)化」を一気に進めようとしている。公教育に民間教育産業と巨大IT産業を参入させ、公教育を資本の生き残りのための餌食にし、教育の民営化・非正規職化を狙っているのだ。共に学び共に育ち合う学校教育を、個別・家庭教育で代替させることはできない。まさに「ショックドクトリン」による公教育の破壊である。

労働組合が先頭に立とう

 教育労働者は長時間勤務と闘いながら必死に教育を担ってきた。学校と子どもたちの状況を一番知っている教育労働者と保護者、地域住民の団結した力こそが労働者と子どもたちの命と生活・教育を守ることができる。安倍―教育委員会―校長のもとでは命も生活も守れない。腐りきった安倍を倒し、学校を地域の労働者・住民が生きるための闘いと団結の拠点にしよう。
 それをできるのが労働組合である。今必要なのは、職場で声を上げ組合としての闘いをよみがえらせることだ。すでに非正規職解雇を阻止する闘いが学校現場で次々と始まっている。また萩生田が発表した「学校再開ガイドライン」は、無責任にお題目を並べただけで実施のための保証は何もない。「混乱させるだけ。自分たちに任せろ」と現場は怒っている。「1日1枚のマスク」など、子どもたちと自らを守るための財政、物資、人員を職場の団結した力で闘いとろう。
 突然の休校措置は、教育労働者としての誇りを取り戻す契機となっている。国から過労死に追い込まれるほど課されてきた新自由主義教育の数々が、やらなくてもいいものであることを安倍自ら明らかにしてしまった。現場には、これまで何をやらされてきたんだという安倍への怒りと、教育の根本を問い直す機運が高まっている。苦闘している青年教育労働者も決起を始めている。「命より金」の資本主義社会はもう終わりだ。権力をすべて現場によこせと構え、教育労働者は社会を根底から変革する闘いの先頭に立とう!
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