コロナと闘う韓国・民主労総 公立病院・医療人員拡充しろ

週刊『前進』02頁(3123号02面02)(2020/04/09)


コロナと闘う韓国・民主労総
 公立病院・医療人員拡充しろ

(写真 検温を行う公務員労働者。コロナ対策の激務で組合員が過労死した韓国の全国公務員労組は政府に「迅速な公共部門労働者の安全対策」を要求している)

感染者数1万人超

 新型コロナウイルスの全世界的拡大は、資本主義・新自由主義の「命よりカネ」という転倒した社会構造を浮き彫りにし、労働者をとりまく過酷な状況を一層深刻化させている。こうした中で韓国・民主労総は、破滅的危機を克服するために労働組合に結集し、国際連帯を強化して労働者の手で世の中を変えようと呼びかけている。
 韓国では1月19日に最初の国内感染者が発生して以来、累積感染者数が1万人を超え、174人の死亡(4月3日現在)が報告されている。最前線で働く医師や看護師の感染は、3月30日時点で約70人が報告されている。民主労総内部でも、公務員や鉄道、介護、宅配労働者などの感染による死亡や過労死が報告されている。とりわけ出勤を余儀なくされている非正規職労働者、特殊雇用労働者(いわゆる個人請負)、外国人労働者などが感染の危険にさらされている。
 こうした中で民主労総は予防措置や公共医療の強化を政府に要求。有給疾病休暇法制化や特殊雇用労働者の安全と権利の保障などからなる「コロナ5法」の立法も求めた。特に立場の弱い労働者たちが依然として死角地帯に置かれていることを指摘し、すべての国民を対象にした生計所得支援を政府に要求している。
 さらに3月16日には、香港労総(HKCTU)との共同声明を発表した。
 「新型コロナウイルス感染拡大を契機に、資本と市場の利潤中心社会の素顔と限界が現れている。……国家防疫体系強化、保健医療の公共性強化、社会セーフティーネット強化、全労働者の労働環境と安全を再点検し、再整備する契機にしなければならない」
 これは全労働者の共通認識であり、労働者階級全体の要求を体現したものだ。

患者の選別を弾劾

 韓国の検査件数は4月4日時点で計45万件を超えた。防疫体系はしっかりしている一方、治療体制の不十分性が指摘されている。医療機関で働く労働者で組織されている民主労総傘下の保健医療労組と公共運輸労組医療連帯本部は、公共病院と医療人員の拡充を強く訴えている。
 公共運輸労組医療連帯本部は2月28日付の声明で、大型の民間病院が感染者の受け入れを拒んだことにふれ「利潤だけ追求し、患者を選んで受け入れる病院は必要ない」と弾劾した。
 一方、保健医療労組は3月11日、国立中央医療院の労働者をテグ(大邱)に派遣した。心配する家族を説得するなどして現地へ向かった労働者らは、住民の感謝と激励を受け、誇りをもって医療行為にあたっているという。
 ソウル市クロ(九老)区にあるコールセンターでは、これまで158人の感染者が報告されている。窓もない密閉された空間で、多くの労働者が仕事をしている上、実績やペナルティを気にして症状があっても休むことができない現実があるからだ。委託先の下請けまかせでは解決できず、元請けが緊急措置を直接しなければならないと指摘されている。劣悪な労働条件を改善するために、闘う労働組合が不可欠だ。

労働改悪を許すな

 恥知らずにも、こうした危機の中で韓国経営者総協会は、労働者の解雇要件などの規制緩和を政府に要求している。就業規則の不利益変更を労使協議だけで行えるようにしたり、事業主の不当労働行為に対する刑事処罰規定を削除したりしろというのだ。あわせて、法人税・相続税の引き下げも求めている。
 民主労総はこれを「災難を機に資本の貪欲(どんよく)を満たし、財閥による労働者収奪体系をより強固にし、民主労組運動をつぶす発想だ」と糾弾し、撤回を要求。韓国労総も「労働者と弱者階層を犠牲にし、財閥大企業の腹だけ満たす制度改悪案を撤回しろ」と要求している。
 民主労総は6〜7月にゼネスト総力闘争を構え、10~11月のチョンテイル(全泰壱)烈士50周忌闘争へと闘いを進めている。
 安倍政権の戦争・改憲、労組なき社会への道を阻止し、日韓国際連帯の発展に向かって共に前進しよう!
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