春季アピール コロナ危機を革命へ 新自由主義は大崩壊を開始した 安倍政権打倒!労働者に権力を 労働組合を全国の職場に組織しよう

週刊『前進』04頁(3128号01面01)(2020/04/27)

春季アピール
 コロナ危機を革命へ
 新自由主義は大崩壊を開始した
 安倍政権打倒!労働者に権力を
 労働組合を全国の職場に組織しよう


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(写真 改憲・戦争阻止!大行進実行委員会が呼びかけた「アベたおせ!3・22新宿デモ」に500人が集まり「コロナ解雇許さない」「オリンピックは中止しろ」と怒りの声を響かせた【3月22日】)

(写真 新型コロナの感染が爆発的に拡大する中、看護師たちがN95マスクをはじめとした個人用防護具の支給を求めて抗議行動を行った【4月2日 アメリカ・ニューヨーク】)

―Ⅰ―命脈の尽き果てた資本主義を終わらせる時代がついにきた

 今年1月9日、武漢で最初の1人の死亡が確認された新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に全世界に拡大した。AFP通信によると、4月22日午前4時(日本時間)に感染者は252万人、死者は17万4千人を超え、なおも増え続けている。欧州で10万人超、アメリカで4万人超という死者の数は、第2次世界大戦以来の「世界戦争的様相」を呈している。帝国主義が収奪の限りを尽くしてきた「新興国」「途上国」と呼ばれるアジア、アフリカ、中南米の国々では、貧困と劣悪な環境・医療体制などのために、これからどれほどの被害が出るか予測もできない。帝国主義国であろうと新興国であろうと、最も深刻な被害は戦争と同じく労働者階級人民、特に貧困層に集中している。「テレワーク」などでは絶対にできない医療・介護、公共交通、学校、自治体、製造、流通、清掃など、社会を根底で支える労働者が感染の危険にさらされながら過酷な労働を強いられ、マネーゲームに明け暮れ社会に寄生するだけのブルジョアジーや投機家どもが最優先で救済されている。こんなことがどうして許せるか!
 1月16日に初の感染者が確認された日本では、3月末から感染者数が急増し、4月18日に1万人を突破した。この間、日本帝国主義・安倍政権は、4月に予定していた中国・習近平の国賓来日、7月東京オリンピックから秋の改憲への政治スケジュールを最優先し、国内の感染者数を極力少なく見せようとしてきた。2月3日に横浜に入港したクルーズ船「ダイヤモンドプリンセス号」の深刻な事態を目の前にしながら、検査体制の拡充も、医療体制の強化も、マスクや防護服、人工呼吸器などの増産・備蓄も一切せず無為無策で過ごした。2月末の突然の休校要請も、オリンピックを予定通りに強行するためのアリバイづくりでしかなかった。安倍政権の対応は、福島第一原発事故の被曝隠しと同じ国家的犯罪であり、その責任は徹底的に追及されなければならない。
 もはやオリンピックの開催など絶対に許すわけにはいかない。開催延期に伴う追加費用は3千億円とも5千億円とも言われるが、「こんなオリンピックは中止して全額コロナ対策と補償に回せ!」が圧倒的多数の労働者人民の声である。

社会はコロナ以前にすでに崩壊していた

 2020年の最初の3カ月で世界は一変した。最末期帝国主義の絶望的延命形態としての新自由主義は、世界を新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)と1929年をも超える世界大恐慌にたたき込みながら、歴史的大崩壊を開始したのだ。資本の利潤獲得を社会的生産の第一の動機とする資本主義の原理を、民営化と労働組合破壊の階級戦争として極限まで推し進めた新自由主義、そのもとでの社会の崩壊と自然環境の破壊・荒廃によって今回のパンデミックは引き起こされた。それは資本主義・新自由主義の崩壊を新たな次元に突入させたと言っていい。
 人類はもはや「コロナ以前の世界」には戻れない。IMF(国際通貨基金)が「世界恐慌以来最悪の不況」と言わざるを得ない大恐慌の深化、米中対立を軸とした帝国主義間・大国間争闘戦の激化と世界経済の分裂、世界戦争の危機、そして新たな大災害の勃発。これらが重なり合いながら、資本主義・新自由主義はプロレタリア革命によって打倒されない限り、さらなる破局へと全世界を巻き込んでいく。
 だがこの人類史的危機は、同時に労働者階級人民の革命的決起を必ず生み出す。「社会はブルジョアジーのもとでは、これ以上生きていくことはできない。ブルジョアジーの存在は、もはや社会とはあいいれない」(マルクス・エンゲルス『共産党宣言』)----コロナ危機は、このことを有無を言わせず突きつけている。ウイルスが経済と社会を崩壊させたのではない。すでに崩壊していた経済と社会の真実の姿が、今回のパンデミックによって白日のもとにさらされたのだ。
 資本主義と人類の存続はもはや相いれないという真実を、全世界の労働者階級人民は急速に、かつてない規模でつかみ始めている。世界で最も裕福な26人が世界人口の約半数に当たる38億人の総資産に匹敵する富を独占し、巨大な生産力もハイテクも最先端医療も金もうけや投機のネタでしかなく、感染症対策すらまともにできない。人類を何度も滅亡させることができる核兵器、弾薬、ミサイル、軍艦、軍用機はありあまるほど生産され配備されているが、病院もベッドも人工呼吸器も不足し、マスクや消毒液もない! まさに資本主義は命脈が尽き果てている。この資本主義がさらなる破局を招来させる前に、一刻も早く破産したブルジョアジーを支配権力から引き下ろし、労働者の権力を打ち立てなければならない。

資本の支配を転覆し労働者の権力樹立を

 各国の支配階級は、「これは戦争だ」(仏・マクロン)「戦時大統領だ」(米・トランプ)「第3次世界大戦だ」(安倍)などと叫んで「国家非常事態」「緊急事態」を宣言し、自らに強大な権限を集中して、自分たち自身の腐敗した権力と資本主義・新自由主義をなおも延命させようとしている。
 だが、はっきりさせるべきは、金もうけをすべてに優先させ、労働者と自然から搾取と収奪の限りを尽くしてきた世界の帝国主義とスターリン主義の支配者こそが、社会を崩壊させ、環境を破壊して「未知のウイルス」を発生させ、無策のまま拡散させた張本人であるということだ。彼らを助け、彼らにさらなる権力を与え、この破産した資本主義・新自由主義の延命を続けさせることは、取り返しのつかない破滅的事態を労働者階級と人類全体にもたらすだけである。
 日本においても、国鉄分割・民営化を強行した中曽根政権以来の歴代政権が推し進めた新自由主義政策は、労働組合を破壊し、膨大な数の労働者を非正規職と貧困に追い込んできた。長時間労働や連日の深夜労働を強制し、年休も病休もとれない職場にし、労働者の健康状態を悪化させ、医療・福祉を破壊し、さらには農村・地方切り捨てと極端な大都市への一極集中で集団感染を引き起こす社会にしてきたのだ。
 今や労働者階級とすべての民衆が自らの命と生活を守るために必要なことは、コロナ危機を深刻化させた張本人である安倍と資本家たちに独裁的権力を与えることではない。新自由主義によって奪われてきた労働者階級の団結の力を取り戻し、実力闘争の思想と実践をよみがえらせることである。そして何よりも、この社会を根底的に変革するための労働者自身の「独裁的権力」が、すなわちプロレタリア独裁権力こそが必要なのだ。

階級的労働運動の力今こそ発揮し闘う時

 「コロナ危機を克服すれば経済はV字回復」とか「1年後にオリンピック開催」など絶対にあり得ない。なぜなら、トランプも安倍も全世界のブルジョアジーもこの資本主義という体制、新自由主義という絶望的政策を自分からやめることはできず、それぞれがもっと激しく推進する以外にないからだ。そしてこの危機の中で米欧日の帝国主義諸国も残存スターリン主義国家・中国も生き残りをかけたとっくみあいの争闘戦を展開し、人類全体を破滅に引きずり込もうとしている。コロナ危機の真っただ中で新型核兵器の大量生産に踏み出したトランプを筆頭に、各国の支配階級は自らの延命のために世界戦争・核戦争も辞さない構えを見せている。
 だが同時に、世界中の労働者階級人民は、人間としてまともに生きることもできないこの社会とは、国家とは、資本主義とは何なのかという根源的問いを発しており、そこから広範な革命的決起が始まるのは不可避である。革共同は、この労働者階級とどこまでも一体で闘える党として、求められる飛躍を成し遂げなければならない。
 求められているのは、資本家とその政府のもとへの挙国一致と階級協調ではなく、階級的団結と階級闘争だ。コロナ解雇・大失業の嵐が吹き荒れようとする今こそ、国鉄1047名解雇撤回闘争30年の力、新自由主義と闘ってきた国鉄闘争を軸とする階級的労働運動の力を発揮するときである。そして資本と国家権力の未曽有の弾圧をはね返してきた全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部と固く団結し、その支援陣形をさらに拡大しよう。
 労働者階級は今こそ資本主義・新自由主義のもとで奪い取られてきたすべてを奪い返さなければならない。そのために労働組合のもとに団結し、必要なすべてを要求し、政府と資本家から実力でもぎりとろう。全世界で共通の闘いに立つ労働者の国際連帯で生存・雇用・生活の危機に立ち向かい、共に生き抜いて、歴史的命脈の尽き果てた資本主義・新自由主義を打倒するプロレタリア世界革命への道を切り開こう。

―Ⅱ―プロレタリア世界革命以外に世界大恐慌からの出口はない

⑴ロシア革命後も延命重ねた帝国主義の全矛盾が爆発

 すでに述べたように新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、けっして単なる「自然現象」ではない。1917年ロシア革命以降もスターリン主義の裏切りに助けられて100年以上延命を重ねた帝国主義は、その最末期の延命形態である新自由主義のもとで資本のグローバリズム的展開を繰り広げた。その矛盾の集中点=中国で新型コロナウイルスが発生し、全世界に拡散されたのである。それは第1次帝国主義世界戦争(1914〜18年)を通じて全世界に拡大した「スペインかぜ」(推定感染者5億人、推定死者最大5千万人)と同様の「社会的疫病」にほかならない。
 17年ロシア革命を突破口とする〈帝国主義から社会主義への世界史的過渡期〉は、世界革命を放棄したスターリン主義の裏切りによって反動的に固定化され、29年大恐慌の第2次帝国主義世界戦争への転化と戦後革命圧殺を経て〈帝国主義とスターリン主義の世界体制〉へと変容した。だが、こうして成立した戦後世界体制は、米帝の歴史的没落とソ連スターリン主義の崩壊をもって歴史的な崩壊過程に突入した。その過程において帝国主義は、新自由主義という絶望的延命形態を生み出した。そのあくなき利潤追求のための市場原理主義とグローバリズムは、世界最大の14億人の人口と広大な国土を持つ残存スターリン主義国家・中国をも巻き込んで全世界を席巻した。中国スターリン主義も新自由主義グローバリズムの生産供給拠点および世界市場の決定的環に自らをはめこみ、ソ連崩壊後の自らの延命の道をひたすら「経済大国化」に求めて突き進んだのである。
 米欧日の帝国主義諸国から中国へ怒濤(どとう)のように資本が押し寄せ、次々に工場がつくられ、国際的な供給連鎖(サプライチェーン)が形成された。中国農村部から億単位の労働力が都市部へ流れ、すさまじい人口集中と周辺農村の乱開発、環境破壊と荒廃が進んだ。こうして新型コロナウイルスの発生とパンデミックの条件がつくりあげられた。米帝トランプはコロナ危機の一切の責任を中国に排外主義的に押しつけようとしているが、最大の元凶は、米帝自身を含む新自由主義によって延命してきた全世界の帝国主義ブルジョアジーであり、そしてそれと一体となって延命してきた中国スターリン主義である。

⑵世界経済の分裂・崩壊と戦争への突入が迫っている

 新型コロナの強力な感染力は、すでに始まっていた巨大バブルの崩壊過程を直撃し、未曽有の破壊力となって経済活動、生産活動、人とモノの移動、輸送などのほとんどを停止または減退させた。
 それは世界経済に史上類例のない収縮圧力を加え、大打撃を与えつつある。3月11日のWHO(世界保健機関)によるパンデミック宣言とトランプの欧州からアメリカへの入国拒否の発動を機に、ニューヨーク株式市場のダウ平均株価は連日1千㌦、2千㌦、3千㌦という空前の大暴落と乱高下を繰り返し、全世界の株式市場は29年大恐慌以来の激震に見舞われた。ダウ平均株価は、2月11日につけた3万㌦目前の史上最高値2万9551㌦から3月22日までに1万㌦超、率にして35%以上暴落した。16年11月のトランプの大統領当選以来の上昇分(「トランプバブル」)がいったんすべて吹き飛んだのだ。08年金融危機が29年型恐慌として爆発することに恐怖して、国家財政を投入し、「好況」を演出してきた、その虚構が土台ごと崩壊したのだ。基本的には29年大恐慌〜30年代大不況を超える帝国主義世界経済の崩壊と分裂、争闘戦の爆発のプロセスが、引き返し不可能な地点を過ぎて進み始めたと見るべきだ。
 アメリカの4〜6月期GDP(国内総生産)成長率はマイナス30%、あるいは40%と予測されている。失業率は30%に達し、1億6千万労働人口の3人に1人、5千万人以上が失職するとも言われている。すでにこの1カ月だけで2200万人以上が失業保険申請を行っている。「リーマンショックを乗り越えた」「空前の好景気」などという、「永遠の株価上昇」をこいねがう御用エコノミストらの米帝万能論的な宣伝のもとで、実際にはアメリカの経済と社会においていかなる事態が進んできたのか。一瞬にして1千万人単位の労働者がいとも簡単に解雇され、路頭に放り出されるというような経済・社会だったということだ。
 08年に決定的に爆発した世界大恐慌情勢は終わってはいなかった。それは超金融緩和によって再び膨張したバブルに隠れて進行し、労働者階級をますます貧困と不安定な非正規労働へと追いやり、社会全体を腐食させ、崩壊させながら深化してきた。このことがコロナによって衝撃的に暴き出されたのだ。リーマンショック以後10年以上にわたり、財政・金融の総がかりで無理やりバブル崩壊の先延ばしを図ってきた分、その矛盾の蓄積はあまりに巨大である。そして今日のコロナ×大恐慌情勢の中、米帝と世界各国の支配階級にできることは、もはや底の抜けたバケツへの大量の財政放出であり、いわゆるマイナス金利の「深掘り」などというものでしかない。トランプは「戦時大統領」を自称して戦時経済的政策を打ち出しているが、その先にあるのは、より決定的な崩壊と破局である。
 米中央銀行・FRB(連邦準備制度理事会)はこの間の2度の緊急利下げで金利をゼロにした上、3月27日に議会で2兆㌦(220兆円)の経済対策が成立したのを受け、総額4兆㌦規模の資金枠を確保した。企業への直接融資や社債の購入といった極めて異例の緊急措置を開始し、買い手のつかなくなったジャンク債まで買い込み始めている。こうしてFRBが抱え込んだ資産は08年恐慌時の4・5兆㌦を一気に超えて6兆㌦以上にまで達している。金融恐慌は米中央銀行の破綻に直結するのだ。
 一方で米財政赤字も、このコロナ危機で第2次世界大戦時レベルの対GDP比100%を超えた。原油価格が国際的減産調整にもかかわらず1バレル10㌦台まで暴落し、4月20日の米WTI(西テキサス・インターミディエート)原油先物価格は5月物の買い手がつかず、一時マイナス40㌦(売り手が金を出して原油を引き取ってもらう!)を付けた。採算ラインが30㌦という米シェールガス関連会社は軒並み破綻の危機に直面している。米帝経済は底の抜けた崩壊的危機へとのめり込んでいる。
 米帝と並んで、コロナ情勢の最大の打撃は中国経済に打ち下ろされている。中国は1〜3月期のGDP成長率をマイナス6・8%と発表した。1992年の統計公表開始以降マイナス成長は初めてである。2008年大恐慌爆発後の世界経済は、主要には中国経済の成長持続と米帝経済の再度のバブル化によって維持されてきたが、今やその両方が崩壊し、世界大恐慌の震源地となっているのだ。
 ILO(国際労働機関)は4月7日、世界の労働人口の約38%にあたる12億5千万人が解雇や給与削減などの雇用危機に直面しているとの報告書をまとめ、賃金や休業・失業への補償など大規模な「即時の支援策」を講じるよう各国政府に警告した。だが世界的な需要の収縮、不良債権問題の爆発、大量の失業者の発生、サプライチェーンの崩壊など、世界大恐慌情勢の進行と真の巨大な危機の爆発はこれからなのだ。
 この中で、世界最大の大国・米帝と第2の大国・中国スターリン主義が互いの延命をかけてさらに対立をエスカレートさせ、日帝や欧州帝、ロシアなどもそれぞれの生き残りをかけて争闘戦を激化させるとき、いよいよ世界経済の分裂・ブロック化と世界戦争の危機は1930年代をはるかに超えるスケールで進行していく。
 とりわけ重大なのは新興国や中南欧、中南米、中東などの債務国である。ここではすでに国家破綻やそれに近い国も発生している。

⑶「挙国一致」の攻撃粉砕し日帝・安倍打倒へ総決起を

 今や資本主義は最後的な「死の苦悶(くもん)」の過程に突入した。破産した各国の支配階級は、国家主義、国粋主義、民族排外主義をあおり、経済・政治・軍事の全面にわたる国家間対立と戦争の危機を激化させる。これに対し、労働者階級のブルジョアジーに対する憤激と労働運動、階級闘争も急速に燃え上がる。ブルジョアジーおよび全反革命と労働者階級の間の世界史的決戦の時は迫りつつある。資本主義・帝国主義と本当に対決し、今度こそスターリン主義を乗り越えてプロレタリア世界革命を成し遂げる以外に、労働者階級自身と人類全体を破局から救い出す道はない。
 こうした中で日帝・安倍政権は、帝国主義の「最弱の環」として、国際争闘戦での敗勢を深め、国内の労働者人民の怒りの高まりに追い詰められて、ますます反労働者的な本性をあらわにしている。緊急経済対策は「事業規模117・1兆円」と銘打っているものの、実際の財政支出は国と地方合わせて48・4兆円にすぎず、主内容は大企業救済策でしかない。「一律10万円の給付金」も実際に給付されるのは早くても5月末と言われ、仕事を失って生活の破綻に直面した多くの労働者人民にとっては焼け石に水でしかない。
 さらに安倍は緊急事態宣言の発令で階級休戦=階級協調のイデオロギー攻撃を強めつつ、労働者階級人民の集会、デモ、団体活動・党活動などを徹底的に弾圧する体制をつくりだそうとしている。
 コロナ情勢下を生き抜くために、労働者階級人民は休戦攻撃を実力で打ち破って集会、デモ、ストライキなどの様々な大衆行動を展開しつつ、それらの合法的権利を絶対に守り抜かなければならない。コロナ危機が社会全体を揺るがす強烈さを持っているがゆえに、階級休戦的・挙国一致的イデオロギーの圧力が強まることを過小評価することはできない。どの国でも、国家非常事態、緊急事態の攻撃は社会全体を戦時さながらの状態にたたき込み、挙国一致的なイデオロギーを蔓延(まんえん)させる。
 だからこそ、そうしたイデオロギーに対して階級的原則と立場を貫くことが重要なのである。4月7日の緊急事態宣言発令と同時に、東京労組交流センターなどが新宿駅頭に登場して「緊急事態宣言反対!」を訴え、多くの労働者の不安や怒りと結びつき、共に闘うことを呼びかけたことは決定的だった。
 4月20日の杉並区議会臨時会では、都政を革新する会の洞口朋子区議がコロナ危機の階級的本質を暴き、感染を拡大させた国と都の責任を徹底追及して労働者民衆の命と生活を守り抜く闘いを訴えた。さらに「生きさせろ!5・1メーデー」、6月の国鉄闘争全国運動の大集会をコロナ大恐慌・大失業の攻撃に対する階級的反撃の結集軸として闘おう。5・15沖縄闘争、8・6広島―8・9長崎の闘いも闘争解体攻撃を打ち破って準備されている。とりわけ6月の国鉄集会は、関西生コン支部への大弾圧やJRにおける「労組なき社会」化攻撃と真っ向から対決し、改憲阻止・日帝打倒―プロレタリア革命に向かって労働者階級の戦闘陣形をつくっていく場として大きな階級的意義を持つ。
 緊急事態宣言による階級闘争圧殺と改憲・戦争攻撃を粉砕し、労働者階級を防衛し、国家権力の反革命的規制を打破して階級闘争の爆発をかちとろう。

―Ⅲ―労働者階級は生き抜くために団結して闘い、未来を開こう

⑴労働組合の団結とり戻し医療崩壊、大失業と闘おう

 コロナ危機の中で階級対立がむき出しとなり、支配階級とその国家が労働者民衆を犠牲にして自らの延命を図ろうとしているこの状況を、労働組合的団結の復権と階級的労働運動の大発展に転化しなければならない。医療福祉、教育、自治体、郵政、合同・一般労組、鉄道運輸、民間、あらゆる職場で「緊急事態宣言」と対決し、「コロナ解雇を許さない! 今すぐ100%の休業補償を! 医療を拡充し、医療労働者に安全と補償を! 生き抜くために安倍政権を倒そう!」と訴えて具体的闘争と団結を組織しよう。
 切迫した当面の闘いの課題は第一に、新型コロナウイルス感染症の拡大を阻止する最前線の現場にいる医療労働者を守り抜くことである。これは階級的労働運動の現在の「特別の任務」だ。全労働者の団結で医療労働者を支えよう。
 ある都立病院の看護師は、「コロナに関わる医療体制は専門的で、誰でもできるわけではない。重症者には1人に対し何人ものICU(集中治療室)経験者の看護師を他の病棟から集めて配置する。したがって他の病棟を閉めざるを得なくなる。看護師も労働者として自分の生活のために働いているのに、死の危険にさらされながらマスクや消毒液がないなど、自分たちは『捨て駒』かと考えてしまう」と告発している。
 全国で院内感染が次々と起きている。医療従事者、患者、地域住民の命と健康が脅かされている。安倍は「医療従事者に感謝する」と言い、小池は「感染リスクにさらされながら、自らの生活も犠牲にし、ギリギリの状態で最前線で働いている医療現場の皆さま......都の思いは医療従事者とともにあります」などと言う。だが、これまでさんざん医療費を削り、現場の人員を削って過重労働を強い、医療労働者の非正規職化を進めてきたのは誰か。「感染リスク」にさらされ、生活も命も犠牲にしなければ働けないような現実、医療崩壊の現実をつくってきたのは安倍であり小池ではないか。
 感染が広がっている最中の3月4日、安倍政権は、440の公立・公的病院を再編・統合するという方針を進めるために、5年間で20万床のベッドを減らせという指示を出し、そのための「病床ダウンサイジング支援」として84億円を20年度予算に盛り込んだ。小池は「感染爆発の重大局面」などと言っていた3月31日に、都立8病院と公社6病院を地方独立行政法人化する計画を決定した。今まさにコロナ感染症患者を受け入れている、感染症や大規模災害時の緊急医療を行う数少ない病院をつぶそうとしているのだ。
 この現実に腹の底から怒り、医療労働者の命と安全を守るために必要なすべてを、国や都・全自治体に即時無条件で保障させよう。韓国・民主労総やアメリカ、イタリアなどの医療労働者が新自由主義による医療破壊、その結果の医療崩壊と必死に闘っている。今こそ医療労働者の国際連帯をつくりだそう。
 第二に、コロナ解雇・大失業攻撃との闘いである。アメリカでは4月11日までの4週間で2200万人以上が失業保険を申請している。そして、文字通り食えなくなった人々が食料配給所に列をなして押し寄せている。これに比して、日本の厚生労働省は、4月6日までの2カ月間で日本国内で解雇や雇い止めになった人はたった1473人にすぎないと発表している。だが統計上に表れない膨大な数の失業者がすでに発生していることは明らかである。「アメリカのように事態が直ちに表面化することすら許されないまま、『自己責任』という出口の見えないトンネルの中で、一人ひとりの労働者がもがいている」(日刊動労千葉8777号)というのが現実だ。
 雇用調整助成金は、4月3日時点で4万7千件の申請があったが、支給したのはたったの2件。昨年までに2150万人(全労働者の3人に1人以上)が非正規職労働者になっているが、この何の保障も蓄えもない非正規職労働者が路頭に放り出されようとしている。安倍政権やその背後にいる資本家階級は、膨大な数の労働者とその家族の犠牲の上に大資本だけは延命させようとしているのだ。このまま黙って殺されるわけにはいかない! 一人の解雇も雇い止めも許さず、休業・失業に対する100%の補償をかちとるために労働組合に結集して闘おう。コロナ対策本部を立ち上げた合同・一般労組全国協議会を先頭に、全産別で非正規職労働者、失業労働者を労働組合に組織しよう。
 第三に、緊急事態宣言発令とその全国への一挙的拡大を決定的テコとした改憲攻撃との闘いに立ち上がることである。安倍は緊急事態宣言を発した4月7日の衆院議院運営委員会で、「新型コロナウイルス感染症への対応も踏まえつつ、国会の憲法審査会で活発な議論が展開されるのを期待したい」と改憲論議を急ぐよう促した。彼らは今、欧米帝国主義のように戒厳令的な強制的外出禁止令を発することができるような国家体制をつくることなしに、戦争などできないことをあらためて思い知らされている。自らの無為無策で感染拡大を引き起こしながら、その状況をも利用して「強制力を伴わないような緊急事態宣言ではコロナ危機のような事態には対応できない」という世論を意図的につくりだし、憲法に「緊急事態条項」を明記する改憲へと持ち込もうとしているのだ。
 コロナ×大恐慌情勢で、米中対決を軸にした帝国主義間・大国間の争闘戦がますます激化する中、安倍・自民党は改憲・戦争攻撃を一気に加速させる以外にない。改憲阻止・日帝打倒の闘いは、「生き抜くために安倍を倒そう!」という労働者民衆の巨大な怒りの決起となる。改憲・戦争阻止!大行進運動を労働者民衆の命と生活を守る大統一戦線として発展させよう。

⑵国鉄・関生決戦に勝利し労働運動の嵐まきおこそう

 第四に、国鉄闘争と関生弾圧粉砕の闘いをもって階級的労働運動の大発展を切り開くこと、ここにこそプロレタリア革命勝利の道がある。
 国鉄1047名解雇撤回闘争をめぐり、動労総連合がJR東日本に「解雇撤回・団交開催」を申し立てた件で、中央労働委員会は3月18日、一度の調査もせずこれを却下・棄却した。この凶暴さにこそ、日帝の労働者支配の危機と国鉄闘争の力が示されている。動労千葉は4月14日の第3回支部代表者会議で、この中労委の反動決定を全社会に明らかにし、6月7日の国鉄闘争全国運動集会の成功と夏季物販で反撃することを決定した。さらに動労千葉は、総武緩行線の駅間5秒短縮の撤回とワンマン運転拡大阻止を反合理化・運転保安闘争として闘う方針を確立し、コロナ感染拡大を防ぐための列車削減・最終列車繰り上げ、「状況によっては全列車の運休の実施」などをJR東に緊急に申し入れて、職場での闘いを組織している。動労千葉と共に、命を守る労働運動をよみがえらせよう。コロナ解雇への怒り、安倍への怒りを国鉄決戦に集中し、職場・地域を組織しよう。
 未曽有の大弾圧をはね返してきた関西生コン支部は、いよいよ反転攻勢を開始している。支援陣形のさらなる拡大とストライキで闘う労働組合の建設をもって、関西生コン支部の決起に全国の職場で応えよう。

巨万の大衆的決起を

 コロナ危機を契機として爆発を始めた大恐慌は、さらに数年がかりで進行していく。「29年恐慌の時と違って政府や中央銀行が対策をとるから大丈夫」などという楽観論には何の根拠もない。米中対立を軸とする争闘戦の非和解化から世界経済の分裂・ブロック化もさらに激しく進む。こうしたこれから数年がかりの情勢の進展を見据え、われわれは革命に向かって労働者階級を組織する闘いに総力を挙げていかなければならない。
 これから無数の解雇や雇い止め、賃下げなどが起きてくるが、単にその一件一件の「解決」をめざす闘いにとどまっていては、展望を開くことはできない。いま必要なのは、職場丸ごと、地域丸ごとの労働者をすべて労働組合に組織し、何万人、何十万人単位で労働者階級の組織化を進めていくことである。1905年や17年2月から10月過程で200万人を組織したロシア革命当時の労働組合結成運動。30年代アメリカの産別労働運動、戦闘的産別労働組合の形成。45年敗戦直後からあらゆる職場で一斉に労働組合を結成し、46年5月メーデーから産別10月闘争へ、そして不発に終わったとはいえ47年2・1ゼネストを準備するところまで突き進んだ日本の戦後革命期の闘い。このようなスケールでの労働運動、労働組合の組織化を実現しなければならない情勢が急速に接近しているのだ。
 われわれにその力量と準備があるだろうか。だが戦後革命期の若い活動家たちにも最初から力量や準備があったわけではない。敗戦から2カ月後の45年10月、東京・南部地区で配布された労働組合結成を呼びかけるビラにはこう書かれている。「労働者は今すぐ労働組合へ加入せよ!......新しい世の中に変わっていくのだ。そして今が一番大事なときだ。職場労働者は、いいか、全員で組合をつくる相談をしてくれ。失業者もみんな『食えない賃金を食える賃金にする』労働組合の大運動に参加してくれないか。このビラを手にした者はすぐ組合加入を申し込め!」。いま必要なのはこのような精神での訴えであり、組織化の闘いだ。国鉄闘争を軸に階級的労働運動を再生する闘いを不屈に続けてきたわれわれならば、必ずできるはずだ。
 5・1メーデーが迫っている。46年5・1「復活メーデー」には、50万人もの労働者が赤旗を立てて皇居前「人民広場」を埋め尽くした。労働組合をつくり、生産を管理し、ストライキで闘い、実力で仕事・賃金・食糧を政府・資本家からかちとり、団結して生き抜いた。これと同様の闘いが今、全世界で始まっている。日帝支配階級もそれが日本で巻き起こる現実性に震え上がっている。連合幹部ら既成労働運動指導部の総屈服を現場からの決起で打ち破り、戦後革命期のような労働運動の大高揚をかちとろう。
 緊急事態宣言と対決し、首都・東京での厚生労働省要請行動―首相官邸前抗議行動を先頭に全国で5・1メーデーを断固闘いとろう。安倍を倒せ! 労働者に権力を!

―Ⅳ―革命的情勢の成熟に対応した党活動全体の転換と大飛躍を

⑴労働者階級への信頼貫き共産主義者の責務果たそう

 コロナ危機と世界大恐慌の骨がらみとなった爆発という空前の情勢への突入を前に、革共同が昨年第26回全国委員会総会において第7回大会路線的な空論主義的中央指導の破産を厳しく総括し(『共産主義者』202号参照)、国鉄・関生決戦を軸に職場から労働者階級と党との再結合をつくりだし、「改憲阻止・日帝打倒」の革命主体を形成する全党的実践を進めてきたことは決定的だった。
 コロナ危機がもたらした1〜4月の激動情勢の中で、2・16国鉄集会、3・8国際婦人デー行動、3・11反原発福島行動、3・13〜14動労千葉、動労水戸のストライキ、3・15関生労組を支援する会・東京の結成集会、3・22アベたおせ!新宿駅前大演説会とデモ、4・7新宿駅頭行動----すべての闘争において、全党の同志が労働者階級の怒りの先頭に立って決起した。重要なことは、職場から闘いと組織をつくりだす挑戦が開始され、それが一切の闘いの土台となっていることだ。
 情勢はあまりにも激しく、これに対応する闘いをつくりだすために求められている飛躍は巨大である。だが、われわれは今度こそたじろぐことなく、労働者階級を信頼し、それに依拠して闘うならば、必ず道は開ける。われわれはこのことを26全総から今日までの実践を通してつかんできた。確信をもって進もう。
 われわれがすでに幾たびか引用してきたレーニンの論文「第2インタナショナルの崩壊」(1915年、全集21巻)の、「どの政府も明日のことに確信がない。......すべての政府が噴火山上に生活している」という言葉は、今こそあらゆる政府にあてはまる。同論文に記された「革命的情勢の三つの主要な徴候」、すなわち①支配階級にとっては、今までどおりの形でその支配を維持することが不可能なこと、②被抑圧階級の欠乏と困窮が普通以上に激化すること、③右の諸原因によって大衆の活動性が著しく高まること、という徴候は日々ますますはっきりと表れつつある。
 コロナ危機がどのように恐慌を激化させるか、そして革命的情勢をいかなるテンポで成熟させていくかをあらかじめ予測することはできない。だが、やはりレーニンが同じ論文で言うように「革命的情勢が、革命を生み出すであろうという保証をした社会主義者は、かつて、どこにもいなかった」のであり、われわれが今なすべきことは以下のような「すべての社会主義者のもっとも議論の余地のない、もっとも基本的な義務」を果たすことである。このことだけは確かだ。
 すなわち「①革命的情勢が現存することを大衆に明らかにし、この情勢の広さと深さを説明し、プロレタリアートの革命的自覚と革命的決意を呼び覚まし、②プロレタリアートを助けて革命的行動に移らせ、③こういう方向に向かって活動するために革命的情勢に応ずる組織をつくりだすという義務である」(同)。
 レーニンは、第2インターナショナルが崩壊し、帝国主義戦争反対を貫いている党は一握りだけという状況で、ヨーロッパの労働者階級の動向に目を凝らし、どんな小さな革命的情勢の徴候も見逃すまいとした。そして戦争が生み出している危機の中から必ず労働者階級の決起が始まることを確信し、党と労働者階級の結合を目的意識的に追求し、1917年ロシア革命へと攻め上っていった。
 レーニンと同じく現情勢から革命の現実性をつかみとり、労働者階級を信頼し、その決起を確信し、革命的共産主義者として「三つの基本的な義務」を果たす方向ですべての戦線、領域で闘いぬくならば、必ず勝利の道は開かれる。何よりその義務を果たしていくことは労働運動、労働組合の内部においてこそ求められている。それは党として階級的労働運動をつくりだすことにほかならない。その際に、7回大会路線的な「党の労働組合をつくればよい」というような安易な空論主義に陥ってはならない。ここであらためて中野洋動労千葉元委員長の提起を確認したい。

⑵7回大会路線の誤り正し、党と労働組合の真の関係を

 中野同志は2008年に発刊された『新版・甦(よみがえ)る労働組合』で、「階級的労働運動というのは、資本家階級と労働者階級がいて、非和解的な階級対立があることをはっきりさせて、その階級対立をなくすことをめざす労働運動だ。こういうことをはっきりさせているのが、マルクス主義なのだ。そして労働組合は労働者階級が団結する手段だ。さらに労働組合というのは、階級対立に伴う社会全体の転覆の準備の手段である。つまり階級対立をなくすための社会転覆の準備をするところだ。労働組合とはそういうものだ。労働組合運動の中で、労働者階級は、自分たちが権力を握った時の能力を身につける」と提起している。この「階級的労働運動の根本的な考え方」(同)は、今こそ明確に打ち立てられ、実践されなければならない。
 だが党の役割は、このことを教条的に(7回大会的・空論主義的に)言えばよい、ということではもちろんない。中野同志の提起は、動労千葉の組合員大衆と一体となって反合・運転保安闘争路線を確立し、首をかけた国鉄分割・民営化阻止のストライキを始めとする必死の格闘をやりぬいた総括、教訓として提起されているからこそ説得力がある。
 重要なのは、党こそがマルクス主義的な「階級的労働運動の根本的考え方」で絶えず自らを再武装し、その目的意識性を常にもって、職場・組合における具体的現実的な課題を、とりわけコロナ感染対策や補償の問題などに取り組むことだ。そうした職場からの具体的闘争をつくり出し、共に闘う中で、労働者階級の階級意識の成長と革命的行動(職場でのストライキから資本家階級全体とその国家権力に対する政治闘争にいたる)への移行を「助ける」ことだ。各職場・労組の細胞は、地区党と産別委員会において、このマルクス主義の原則とそれを具体的に貫くことの困難さとの矛盾を絶えず止揚しつつ闘っていくのである。
 それは、「党と労働組合の一体的建設」論から「党の労働組合をつくればよい」という単純粗雑な空論主義的指導に行き着いた7回大会路線を、真に実践的に乗り越えていくことでもある。中野同志はやはり『新版・甦る労働組合』の中で、「『労働組合と党は別』ということをやたらと強調する諸君もいる。......しかし僕は、その区別ばかりを主張する考え方には反対だ。いやむしろ、『労働組合と党は限りなく一体であるべきだ』と考えている」と述べ、さらに「『党派の主張を労働組合に持ち込むことに反対』という人もいる。しかし、ある政党に属する労働者が、自らの主張を労働組合の中にストレートに提起するのは当たり前のことだ。党の中で話していることと組合の中で話すことを分けることの方がおかしい。問題は、労働者に理解されるように訴えているのかどうか、ということではないのか。その主張が正しいかどうかを判断するのは労働者だ」と言っている。この提起は、7回大会的な意味での「党と労働組合の一体的建設」論とは似て非なるものである。

党規律維持する条件

 中野同志の提起には、「労働者に対して本音と建て前を使い分けるようなことをしてはならない。労働者を徹底的に信頼するとはそういうことだ」という自らに課した厳しい立場がある。そして、家族を含めた自分の生活と人生を動労千葉という労働組合に預けている組合員に通用するのか、彼らの検証にたえうる指導部、党たりえるのか、ということを日常不断に自らに問い、組合員と共に闘い続ける。この厳しい緊張の中で階級的団結をつくり出してきた経験から、「労働組合と党は限りなく一体であるべき」ということを提起しているのである。
 レーニンは「共産主義における『左翼』空論主義」(1920年、全集31巻)において、「革命党の規律の条件」として、①プロレタリア前衛の自覚、革命に対する献身、忍耐、自己犠牲、英雄精神、②最も広範な勤労大衆との結びつきを保ち、彼らと接近し、ある程度まで彼らととけ合う能力、③最も広範な大衆が彼ら自身の経験によってその正しさを納得するような政治的指導の正しさ、戦略と戦術の正しさ、という3点を挙げている。「労働組合と党は限りなく一体であるべきだ」という中野同志の提起は、レーニンの言う三つの条件を階級的労働運動の実践の中で絶えず貫き、実現しようとする努力の中から導き出された「結論」にほかならない。
 これに対し、「党をつくれば革命になる」「党の労働組合をつくる」という極端なセクト主義、空論に行き着いた「党と労働組合の一体的建設」論は、階級的労働運動を再生させるという困難に立ち向かうことからの逃亡だった。それは国鉄分割・民営化がもたらした日本労働運動全体の停滞、さらには国鉄1047名闘争の終幕を狙った2010年4・9政治和解後の危機的状況に対する党のたじろぎと日和見主義の産物だった。ゆえにそれは階級的労働運動の前進にはつながらず、党の階級的規律の解体をもたらしたのだ。
 だが重要なことは、われわれがこの誤りを本格的な革命的情勢の到来を前にして強烈に自覚したことであり、そして二度と繰り返さないということである。もちろんわれわれは、これからも幾たびの誤りや試行錯誤を繰り返すだろうが、「革命的情勢下の三つの義務」を果たす方向で、革命党の規律を強める方向で、中野同志が動労千葉において実践した方向で、労働者階級と党との結びつきを強化し拡大する方向で闘う限り、取り返しのつかない誤りや失敗をすることはないだろう。

機関紙を最大の柱に

 中央委員会―細胞建設、あらゆる職場・地域に細胞を建設し、地区党を建設しよう。地区党が主体となってコロナ危機と闘い、生き抜くための大統一戦線を組織しよう。政治警察との闘いにかちぬく非合法・非公然の党建設こそが要だ。
 全国政治新聞である「前進」がいよいよその真価を発揮するときだ。多くの労働者民衆が、コロナ危機をどうとらえるのか、何をすべきなのかの答えを求めている。政府やマスコミは労働者民衆を脅しつけ、あるいは排外主義をあおり、分断しようと躍起だ。階級的利害を貫き、階級的立場を鮮明にさせ、全国の闘いを結びつけ、宣伝・扇動する武器として「前進」の変革を階級の闘いとしてかちとろう。すべての労働者民衆のなかに「前進」をもちこもう。
 コロナ危機は、いよいよ日本においても青年労働者、学生、そして高校生をも、自主的な歴史的行動に引き入れはじめている。昨日まで当たり前のものと受け取ってきた経済、政治、社会が、実はとんでもない矛盾と危機に満ちたものであること、これを根底的に変革しなければ自らの未来はないことを急速に自覚し始めている。党の最大の義務は、何よりもこの若い世代のあらゆる自主的行動を全面的に支持し、彼らが思いきり行動できるように援助し、共に闘うことである。そしてマルクス主義青年労働者同盟、マルクス主義学生同盟の同志たちが中核となるような党の大変革をいっそう推し進めることである。
 コロナ×大恐慌情勢はプロレタリア世界革命の成否をかけた攻防の時代への本格的突入を告げた。反帝・反スターリン主義の党として労働者階級との結合、階級的労働運動の創成に本当に結党以来の全蓄積を発揮し命がけで取り組み、必ず成功しなければならない。もう一度腹を据えなおし、ここで勝負に出よう。勝利しよう!

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