若者の声を杉並から! 区議会議員 洞口朋子 区は医療現場の声を聞け 区長の補正予算案に洞口区議が反対意見

週刊『前進』02頁(3129号02面01)(2020/04/30)


若者の声を杉並から!
 区議会議員 洞口朋子
 区は医療現場の声を聞け
 区長の補正予算案に洞口区議が反対意見

(写真 議員控室でガッツポーズの洞口杉並区議)


 4月20日の杉並区議会第1回臨時会で、新型コロナウイルス感染症に関する議案と補正予算案が審議されました。田中良区長は、河北総合・荻窪・佼成・東京衛生の4病院に発熱外来センターを設置し、23億円の区費を投入して病院経営の損失を補填(ほてん)する方針を出しました。これに対して洞口朋子区議が、①感染拡大防止にはならない、②区民の命を守れない、③医療崩壊を防げない、などの理由で反対意見を述べました。意見(抜粋)を紹介します。(編集局)

コロナ感染拡大は政治の失策が原因

 安倍政権の「2020年東京オリンピック開催への固執」と「補償なき自粛要請」こそ、感染拡大の最大の原因です。コロナウイルス検出のためのPCR検査を抑え込み、ウイルスの影響を矮小(わいしょう)化してろくな対策をとってきませんでした。そして医療現場に矛盾を丸投げしたことが、全社会的な感染拡大の現状を生み出したのです。明らかに政治の失策=「人災」です。
 さらに、「休業補償・賃金補償なき自粛要請」は当然にも感染拡大防止策にはなりえず、多くの人々が感染の恐怖におびえながらも、生きるために働きに出なければならない、店を開けざるをえない状況を生み出しています。
 政府と小池都知事に対し、「命と生活を守るために補償をただちに行え!」と突きつけるべきです。

4病院への23億円は解決にならない

 発熱外来センターは必要です。しかし、これらは「体制強化補助事業」とされていますが、検査、隔離、治療、療養について、区としての責任を病院に丸投げしているとしか見えません。減収補填ではなく、感染症病床の防疫、医療従事者の安全、人員体制の確保に必要な費用を保障することではないでしょうか。
 A病院の関係者からは「〝区がカネを出すからそれだけ働け〟ということか......と受け止めてしまう」「医療はカネではない」という声を聞きました。「平時」にはギリギリの人員体制で回させておいて、「緊急時」にカネを増やせば何とかなる、などということではないのです。
 区内の民間救急搬送事業者の声も聞きました。「もう大変だ。いつ崩壊してもおかしくない。政治家は現場のことをまるで分かっていない。私も感染者を搬送している。装備もドライバーも一般的な移送・搬送ではできない。万単位で移送・搬送のプロがいないと対応できなくなる」とのことです。
 このような現状があり、さらに感染拡大が予想される中、4病院だけに負担を押しつけるのでは医療崩壊は必至です。根本的な打開策を立案し、国と都に要求するべきです。

杉並単独で行うことにはリスクある

 発熱外来センターは必要です。しかし賛成できないのは、医師会任せ・病院任せでは、相当な負担を現場に強いることになり、医療崩壊を生む恐れがあるからです。最大の問題は「杉並区単独で行うことに伴うリスク」です。
 4病院にテントを設置し、開業医を派遣することで十分な診察・検査・隔離の体制ができるのでしょうか? 〝現場が対応できないことをやらせようとしている〟という印象をぬぐえません。感染が急拡大している現状を鑑みれば、もっと本格的かつ独立して診察・隔離ができるセンターを区の責任で建設すべきです。オリンピックを完全に中止し、オリンピック施設をただちに本格的な新型コロナ肺炎治療のための病院として活用するように国・都と闘うべきです。

万全の検査と感染者の療養体制を

 補正予算案には「電話相談センター拡充」はありますが、「検査の拡充」はありません。他の区では検査体制拡充が大きなテーマになっていますが、杉並には全くないことは異様です。
 「検査」は新型コロナウイルスに限らず、すべての医療・防疫の基礎ですが、こうした基礎の基礎ですら今の日本では体制をつくれていません。いま最も必要なことは、「万全の検査体制」と「感染者の療養体制」の構築です。
 1992年時点で全国に852カ所あった保健所は2019年には472カ所まで減らされました。保健所をただちに拡充し、検査にあたる職員全員を正規雇用し、充分な手当を出すべきです。

医療従事者に真に必要な予算措置を

 現場の医療従事者の意見を聞き、本当に必要な事に予算措置を行うべきです。
 ある都立病院の看護師は、「コロナに関わる医療体制は専門的で、誰でもできるわけではない。重症者には1人に対し何人ものICU経験者の看護師を他の病棟から集めて配置しなければならない。したがって他の病棟を閉めざるをえなくなる。看護師も労働者で、自分の生活のために働いているのに、死の危険にさらされながらマスクや消毒液がないなど、自分たちは『捨て駒』かと考えてしまう」と告発しています。
 田中区長は個々の病院経営者を心配するレベルではなく、命と生活を守るために何が必要なのか、もっと大きな視点で社会を見るべきです。
 まとめます。
 一つに、ウイルス感染を拡大させた国と都の責任を問う。
 二つに、「減収補填」ではなく、すべての医療従事者などへの万全の補償を求める。
 三つに、医師会任せ・病院任せの「発熱外来センター」では院内感染や区内の感染拡大を招くなどのリスクが高すぎる。
 四つに、区は真っ先にPCR検査体制と保健所体制を拡充すべきである。
 五つに、公的医療破壊に抗議し、医療従事者などの最前線の闘いと連帯する。

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 反対意見全文は洞口朋子ホームページに掲載しています。
(左のQRコード)



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