コロナ下の自治体破壊許すな 労働組合が生きる闘いの先頭に 革共同自治体労働者委員会

週刊『前進』04頁(3130号02面01)(2020/05/11)


コロナ下の自治体破壊許すな
 労働組合が生きる闘いの先頭に
 革共同自治体労働者委員会


 コロナ危機と大量解雇に立ち向かう生きるための闘いが世界中で始まっている。安倍政権は「政治休戦」を迫りながら自治体事業の民営化・公立潰し、労組破壊を継続・激化させている。この階級戦争の次に来るのは戦争だ。闘いは資本主義を倒すまで終わらない。自治体の労働組合は行政全体を掌握し組織として進めることができる。戦後革命期に続き、自治体労働者が先頭で闘う時が来た。

民営化・公立潰しを継続

 安倍は医療対策の予算も補償もまともに出さない。コロナに乗じて労働者を大リストラし労働組合を解体しようとしている。規制の撤廃と自治体事業の民営化・公立潰しを進め、改憲・戦争に向かっている。
 公立病院をはじめ自治体の事業は社会に不可欠だ。多発する大災害に続くコロナ危機はそのことを突きつけた。保健所、保育所、介護・福祉、学校、清掃、水道、交通なども命と生活の基盤だ。だから公立・公営が基本だった。それを「非効率で無駄だ」「民営化しろ」と、「命より金」の論理を横行させてきた。国鉄分割・民営化や市町村合併が地域を破壊し、新自由主義が医療や公衆衛生の危機をつくり出した。
 人口270万人の大阪市は24あった保健所を1つに減らした。全国で同じことが行われた。保健所の保健師削減と非正規職化・民間委託も急速に進んだ。さらに電話相談業務を水路に委託の全面化が狙われている。安倍政権は公立・公的病院440(424から拡大)を名指しして統合・再編、病床削減を迫ることを継続。そのために今年度予算には644億円が計上された。小池都政も都立病院の地方独立行政法人化(民営化)と病床削減、職員の非公務員化をあくまで進めようとしている。

「政治休戦」迫り解雇と労組破壊

 総務省は3月時点で非正規職労働者が前年同月に比べ26万人減り2150万人になったと発表した。自営業者・家族従業者も650万人と40万人減った。大量解雇・大失業が本格化しようとしている。これとの総力あげた闘いが必要だ。
 しかし連合、自治労など既成労組幹部はコロナを口実に当局・資本との闘いを先延ばしにしている。春闘集会を取り止め、メーデーを中止した。そんな中でコロナ解雇がどんどん行われている。「コロナで大変だから政治休戦」なのではない。むしろ安倍や資本の側はコロナを追い風に、大合理化・首切りと関西生コン支部弾圧に続く労組破壊を進めている。
 奈良市は3月、市従教育支部の支部長など非正規職を会計年度任用職員制度の導入を機に大量解雇した。組合つぶしの不当労働行為をシャーシャーとおこなっている。本部執行部は闘う気がないどころか、当該の組合籍まで奪おうとしている。この先にはさらに大きな民営化攻撃が待っている。そのことをすでに執行部は承諾しているからだ。支部の労働者は怒りを込めて立ち上がり、組合全体を巻き込む解雇撤回・民営化阻止の闘いが始まった。
 4月15日、衆院地方創生特別委員会で国家戦略特区法改悪案の採決が強行された。AI(人工知能)・顔認証技術による「スーパーシティ」構想やどんな規制も撤廃できる「地域限定型サンドボックス制度」が導入されようとしている。自治体業務を切り縮め、デジタル大合理化による職員半減、丸ごと民営化・非正規職化と監視社会化を狙う。
 さらに5月1日、総務省は「コロナ対策の業務体制確保のため」と称して、正規職の代わりに会計年度任用職員を徹底活用することを求めた。総非正規職化の推進だ。全国で公立保育所・こども園の廃止、民営化攻撃も継続している。
 コロナ後も社会は元に戻らない。それどころか大量解雇と労組破壊はさらに激化する。社会の崩壊は進み「戦争か革命か」が問われていく。だから「今は仕方ない」「がまんしよう」ではなく、闘いの時であることをはっきりさせよう。雇用を守ることは命を守ることだ。「政治休戦」攻撃をはね返し、生きるための闘いが始まっている。

自治体労働者の出番だ!

 自治体の業務は命と生活にかかわる仕事だ。地域と深くつながる自治体労働者は住民が必要とすることとその思いを知っている。独居の高齢者、障害者、ひとり親、生活保護世帯などの実態を知っている。コロナで社会が半分停止しているような時に必要なことは何か分かっている。新自由主義による民間委託・非正規職化、縦割り化で寸断された行政は全く機能していない。こういう時こそ労働組合の出番だ。自治体労働者だから行政全体を掌握し組織として進めることができる。この力の発揮こそ労働組合の使命ではないか。
 同じ自治体の仲間である保健所の労働者が24時間必死に働いている時、他の部署では閉鎖などで休暇や自宅待機になっている。あまりに落差が激しすぎる。しかし労働組合はどこにどんな仕事があり、労働者がいるかを把握している。人員をどう配置すればいいかを判断できる。
 職場で「保健所の仕事が大変らしい。要請があれば電話の対応や受付業務、検体を運ぶなど応援したいけれどどう思う?」と聞いたら「いいと思う」「私もやっていいよ」と賛同してくれた。労働者は階級的な存在だと確信できる。
 確かに誰でも病気の治療はできないかもしれない。専門性が問われる。しかしそれ以外のほとんどは先輩から教えてもらったり経験によって身についた知識と技術だ。防護の体制や適切な指示があれば労働者は喜んで応援に入るのだ。そして社会の采配も労働組合ならできる。
 このことをビラで各職場に知らせ、組合に申し入れる闘いが始まった。本当の労働組合とは何かを労働者に示していく必要がある。当局が出す形ばかりの方針ではなく、労働組合としてすべてを考え行動することが大切だ。戦後革命期以来の労働組合の出番なのだ。
 たった1カ月の休業だけで生きていけなくなる社会なんて終わっている。自分たちの社会は自分たち労働者が回していこう。それは可能だ。闘いはこの腐った資本主義国家を倒すまで終わらない。闘いの中で団結を取り戻そう。それが本来の労働組合の姿なのだ。始めよう! 職場で議論し行動しよう! 闘う労働組合をつくり出そう!
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