職場からの通信 コロナ感染対策の最前線 保健所 京都

週刊『前進』02頁(3133号02面04)(2020/05/21)


職場からの通信
 コロナ感染対策の最前線
 保健所 京都


 新型コロナウイルス感染が全世界を覆っています。しかしこれは「自然災害」ではありません。新自由主義が社会的インフラをはじめ「生活の基盤」を破壊し続けた結果であり、そのことが労働者に襲いかかっているのです。
もう現場は限界だ
 保健所は感染対策の最前線機関として存在しています。ほぼ全ての保健所がコロナ感染に関する「帰国者・接触者相談センター」を担い、都道府県・政令指定都市などは24時間体制の相談センターを開設。しかし慢性的な人員不足で、BCP(業務継続計画、誰かが感染しても影響されないよう業務を分割して遂行する)体制すら取れない所が大半です。「電話をかけてもつながらない」「2時間かけてつながったが検査の対象外と言われた」「意図的に検査を受けさせないのではないか」——苦情の電話が殺到しています。今の体制では対応できるわけがありません。それでも何とか乗り切ろうと必死に歯を食いしばっています。
 「限界を超えている」というのが現場の声です。日常業務はもうどこかに吹き飛んでしまっています。電話相談対応、帰国者・接触者外来の案内と病院との調整。PCR検体の病院での授受、地方衛生研究所などへの運搬。陽性者の入院先医療機関の調整、患者の入院先医療機関、ホテルへの搬送。果てしない疫学調査、感染経路調査から濃厚接触者の洗い出し、濃厚接触者への連絡と状況確認。濃厚接触者が100人を超えることもあります。まさに「戦場」を超えた状況です。
団結し社会変える
 検査体制の構築と人員が必要です。保健所、医療現場などで働く労働者の安全を確保するために、労働組合が闘うことが必要です。
 自治体労働者、とりわけ専門職の労働者は住民を感染から守ろうとする思い、使命感の中で困難を乗り切ろうとするところがあります。また住民からの相談で自らの返答が正しいかどうか疑念を持ちながら対応しています。保健衛生の経験のない職員も動員されている現状に、ベテラン職員は「経験が浅い者は特に過労の前にメンタルが持たなくなる」と注意喚起しています。多忙な職場こそ、団結が求められています。現場で原則的な労働組合運動を展開することが、疲弊する職場を変える決定的な一打になります。
 コロナ危機と29年世界大恐慌をも上回る事態に際し、安倍政権は改憲と戦争へ突き進もうとしています。「緊急事態宣言」を発令して権力独裁を強化し、排外主義をも使って労働者階級を分断する意図を持っています。これに対し、自治体労働者をはじめ労働者と労組拠点が一体となって地域を動かし、闘いを開始しています。
 コロナ危機との闘いは階級的問題です。資本のための「社会防衛」的に保健所がつくられてきた歴史があります。しかし、そこで働く労働者自身は決して「腐敗」していません。労働者住民の苦悩と直面しているからこそ、社会を変える必要性をつかむことができます。民営化と非正規職化で保健所自体が機能しなくなっています。自治体労働者は自身と住民の命を守るために、団結して社会を変える闘いの先頭に立つことが求められています。
 安倍と真っ向から対決し、社会をプロレタリア的に変革する労働運動に大胆に踏み出そう。
(樋口直)
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